かつては“DCブランドの王者”に君臨! 日本のメンズ服ブランド「メンズビギ」とは?

皆さんは「メンズビギ」というアパレルブランドはご存知でしょうか? かつてDCブランドの王者として君臨したメンズビギは実は今でも衰えることなく存在しています。
今回は、メンズビギが過去に歩んだ歴史を紐解きつつ、現在さらに進化したメンズビギ商品の特徴、その魅力についてご紹介したいと思います。

メンズビギとは?

「メンズビギ」は1973年に設立されたメンズ服ブランド。
そしてバブル時代に流行したDCブランドは、国内ブランドを始めさまざまなブランドが乱立。その中でも当時の若者がもっとも憧れを抱いていたブランドの一つがこのメンズビギだったのです。

設立時は菊池武夫氏をデザイナーとして、ブリテツシュスタイルをベースとしたクラシカルと少し不良っぽさを伴ったデザインのスーツやジャケットを数多く発表。メンズビギは、国内工場を基地として生産され、しっかりとした仕立てでありながら若者から中高年まで着られるデザインは、主にファッションに対して敏感な層に幅広く支持されていました。

また、金額面では当時の一般的なDCブランドの価格帯が、たとえばスーツ一着あたり5万円台であったにも関わらず、メンズビギでは8万円台の品物もざらに売られていたため、手が出せる人がほとんどいなかったことも特徴的な逸話です。
さらにカジュアルアイテムにしても、一般的なDCブランドのスタジアムジャンパーが当時一着あたり3-4万円ぐらいの価格帯で売られていた時に、メンズビギでは5万円台後半のスタジアムジャンパーが平均的。

このように高級な価格帯を示すことも一つのブランド戦略として取り入れられていたため、当時このメンズビギのロゴ入りのスタジアムジャンパーを着ること・所有することは、当時の男性にとって一種のステータスになっていたのです。

メンズビギがもたらしたもの

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メンズビギが作る洋服は、高級な価格帯だけでではなく、独創的なデザインセンス等でもなく、“服を楽しむ”という一つの文化をもたらしたことに特徴があります。

当時それまでの男性ファッションといえば、①海外の洋服や着こなしをお手本にして日本国内で似たようなデザインを作る、②海外のファッションアイテムを日本に輸入してセレクトショップで販売する、この2つパターンが主に主流。

しかしバブル期に突入すると、DCブランドが流行をみせ、そのDCブランドが独自のデザインで作り販売するという流れが新たに追加されました。

若者向けに大流行したDCブランドの中でもメンズビギはその他のブランドとは違い、若年層しか着られないデザインでもなく、とはいえトラディショナルな形にも囚われない “メンズビギならでは”のデザイン性にこだわり、ずっと作り続けてきたのです。

言い換えれば、大人でも抵抗なく普通にファッションを楽しめる文化、そのデザインを提案し続けていました。

当時は、パリコレに出るような独創的なセンスをもつ日本人のデザイナーやカラフルな色使いで注目を浴びたブランドも多々存在しましたが、男性向けのコロンや整髪剤などほとんど存在しなかった当時は、いい歳の大人がおしゃれをするなんて男らしくないと思われていた時代でもあります。

その時代に、ごくごく一般人の大人の男性が普通にファッションを楽しむことができる文化を定着させることに貢献した国内ブランドこそがメンズビギだったのです。

メンズビギの商品(1)スーツスタイル

メンズビギの商品は「カジュアルブランド」と「スーツブランド」の両方のイメージを兼ねそなえています。

その中でもスーツは、ビジネス向きのデザインではありますが、ベーシックでありながらもあえて定番スタイルを持たず、毎年形や生地を変えるなどメンズビギらしさを残しつつも少しトレンド要素を加えたスーツ作りにこだわっています。

通常のメンズビギでも品質は悪くありませんが、“ディスディンクションメンズビギ”と呼ばれるメンズビギの上級ラインで作られた商品は、さらに上質な仕上がりを提供してくれます。

またこれはメンズビギの商品にもよりますが、「お台場仕立て」「本切羽」「通常のインポート生地よりさらに上質なものを採用」「芯地に毛芯を使用」「裏地はキュプラ」等々…本格的なスーツを数多く手掛けています。

生産においても、90年代はイタリアのパルマ、2000年代は国内のリングジャケットと同じ工場、現在は中国と工場の場所こそ変わってきてはいますが、品質は一流を維持。

昔からメンズビギのファンの方や高品質で本当に良い素材で作られたスーツをお探しの方は “ディスディンクションメンズビギ”の中から商品から選んでみると良いでしょう。

メンズビギの商品(2)カジュアルスタイル

一方、メンズビギのカジュアルスタイルは、アメカジとイギリスのカジュアルをベースに大人向けの休日のスタイルを提案。このスタンスは今も昔も変わりません。

また近年では、メンズビギ内のブランドが分けられており、

◆『エッセンシャル ガーメント メンズビギ』=よりカジュアルなライン
◆『ベン ザ ロデオ テーラー』=ラングラーをベースにしたデニムカジュアル
◆『メンズビギ』=王道のカジュアル
◆『ディスティンクションメンズビギ』=ヨーロピアンを意識したカジュアル

このようにデザインの傾向ごとに色分けしてありますので、メンズビギの商品をお探しの際は参考にしてみてください。

今回は、かつてDCブランドの王者に君臨していた日本のメンズ服ブランド「メンズビギ」の歴史を紐解きつつ商品の特徴についてご紹介しました。

この「メンズビギ」はあくまで数あるブランドの中の一つ。
しかし、同時期に流行した数多くのブランドが時代の流れとともに淘汰、もしくはデザイン面や品質面で大きく方向転換せざるを得ない状況を余儀なくされていく中で、基本的なコンセプトは変えず、こだわりに一貫性をもたせ洋服を作り続けていることが最大の魅力といえます。

大人の男性でも普通にファッションを楽しむことができる文化を提唱してきたメンズビギ、一度手に取り、そのデザインや生地のこだわりを体感してみてください。

Cover画像: www.mens-bigi.com

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。