運動後の飲酒はアリ?「お酒」と「トレーニング」にまつわる疑問をプロが徹底解説!

筋トレやランニングなど、トレーニング後に飲むビールが最高にうまい!という方もいるでしょう。
しかし、運動後の飲酒が筋力アップやダイエット効果にどのような影響を及ぼすのか、きちんと理解できていますか?

今回は、そんな「お酒」と「トレーニング」にまつわる疑問や関係性について、プロトレーナーの筆者がQ&Aも交えて詳しく解説していきます。
特に毎日の晩酌がやめられない…という人は、ぜひチェックしておきましょう!

飲酒がカラダに及ぼす悪影響とは?

まずは、飲酒がカラダに及ぼす悪影響から見ていきましょう。

(1)脱水症状になりやすい

脱水症状になりやすい
お酒を飲むと、カラダの水分量が減少し脱水症状を引き起こしやすくなります。
「お酒も水分なんだし、脱水症状にはならないんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。しかし、お酒に含まれるアルコールには利尿作用があり、体外に水分を排出する働きがあるのです。

例えば、自宅や居酒屋でお酒を飲んでいると、なぜかトイレが近くなる現象に遭遇した経験、誰しも一度はあるでしょう。まさにそれこそ、利尿作用が働いている証拠です。

他にも、お酒を飲んだ後にノドの渇きを感じるのも脱水症状のサイン。
特にトレーニング後は汗で水分量が減った状態のため、水分補給しないまま飲酒してしまうと、脱水症状になる危険性がさらに高まるでしょう。

(2)疲労が抜けにくい

疲労が抜けにくい
お酒に含まれるアルコール成分には、カラダの疲労回復を遅くしてしまう特性があります。
それはなぜか?というと、飲酒によって睡眠が浅くなることが深く関係しています。

睡眠の役割は、カラダや脳を休めるだけでなく筋肉の修復なども同時に行っています。その時に重要なのが「成長ホルモン」。

しかし、飲酒が原因で眠りが浅くなると成長ホルモンの分泌が減ってしまい、筋肉の回復がしっかり行われないまま翌朝を迎えてしまうことになります。
お酒ひとつでトレーニング効果を台無しにする可能性があることを覚えておきましょう。

「お酒」と「トレーニング」にまつわるQ&A

「お酒」と「トレーニング」にまつわるQ&A
続いては、「お酒」と「トレーニング」にまつわる疑問としてよく挙がるトピックを中心に、Q&A形式でお答えしていきます。

Q:お酒を飲むと太る?

A:アルコールは別名「エンプティカロリー」と呼ばれ、すぐに燃焼されるエネルギーのためお酒の飲み物単体ではそこまで太りません。
しかし、アルコール自体は摂取後すぐにエネルギーとして分解されますが、アルコールを消費している時は、そのほかの食事から摂取したエネルギーは使われず蓄積されていきます。
ですので、お酒にプラスしておつまみを摂取すると、ダイレクトに体重増加に響いてくるでしょう。

Q:トレーニング後にお酒を飲んでも大丈夫?

A:「トレーニング後の一杯が、最高!」と感じている人も多いはず。しかし、トレーニング後にお酒を飲んでしまうと、せっかくの筋肉を増やす効果が薄れてしまいます。
研究においても運動後のアルコール摂取により、ホルモンの一つ「テストステロン」の分泌量が減少し、筋肉の合成を弱めてしまうという結果が出ています。
特に筋肉を増やすことを目的に筋トレに励む人は、トレーニングを終えてからの飲酒は控えた方が良いでしょう。

Q:お酒を飲んだ後にトレーニングしても問題ない?

A:飲酒後のハードな運動は絶対にNGです。アルコールに酔った状態では、しっかりトレーニングを行うことができないだけでなく、心臓への負担が増大しスポーツ中の突然死のリスクを高めるなど、エクササイズ中の事故につながる可能性が高くなるからです。
トレーニングに限らず、お酒を飲んだらカラダを動かす運動は控えるようにしましょう。

Q:お酒を飲んだ翌日のトレーニングは問題ない?

A:お酒を飲んだ当日ではなく、アルコールの抜けた翌日であればトレーニングを行っても問題ありません。ただし、二日酔いがひどい状態では集中してトレーニングに取り組むことは難しいでしょうし、胸やけなどで気分を悪くする可能性が高いでしょう。
とはいえ、逆にカラダに少しお酒が残っている程度であれば、軽めの運動で汗を流すと、カラダと頭がスッキリします。
お酒の残り具合によって、トレーニングを行うかどうか判断しましょう。

Q:お酒の種類やアルコール度数で影響は変わる?

A:基本的には、お酒の種類やアルコール度数の高低でトレーニングへの影響は変わりません。重要なのはアルコールの「量」です。度数が高くても少量の飲酒であれば問題ないことも多いですし、度数が低くても大量に摂取すれば、悪影響をもたらす可能性が高くなります。
つまりアルコールの摂取量が増えれば増えるほど、トレーニングに悪影響を及ぼす可能性が高くなると覚えておきましょう。

お酒のアルコールには適正量があることをご存知ですか?

お酒のアルコールには適正量があることをご存知ですか?
そもそも、お酒には適正量があります。
厚生労働省によると、1日平均の純アルコール量で約20gが適正な摂取量とされていて、目安は下記の通りとなります。

・ビールや酎ハイ(度数5%程度)=【中ビン1本(500ml)】
・ワインや日本酒(度数15%程度)=【1合(180ml)】
・焼酎(度数25%程度)=【0.6合(110ml)】
・ウイスキー(度数40%程度)=【ダブル1杯(60ml)】


また、アルコール度数の違うお酒から純アルコール量を調べるには、

お酒の量(ml) × アルコール度数/100 ×0.8(アルコールの比重)= 純アルコール量(g)

という数式に当てはめることで計算ができます。
普段ご自分がどのくらいの純アルコール量を摂取しているのか、一度確認してみると良いかもしれませんね。 

また、家系の遺伝的にお酒に強い人・弱い人、男性・女性、太っている・痩せているなど、全員が同じ適正量というわけではありません。女性は男性の半分から3分の2くらいが適正量とされるだけでなく、お酒に弱い人はそれよりも少ない量、高齢者も同様にこれよりも少ない量が適正となる場合が多いです。

飲むお酒の種類を賢く選ぼう!

飲むお酒の種類を賢く選ぼう!
トレーニングを頑張ったご褒美に「どうしても一杯飲みたい!」「お酒を我慢できない!」という人もいるでしょう。そんな人は、お酒の種類を賢く選んでトレーニングに響かないように工夫しましょう。

お酒を選ぶ時は、糖質の量をチェックしてみてください。
ビールやワインなどの「醸造酒」や梅酒や酎ハイなどの「混成酒」には糖質が多く含まれているためオススメできません。
逆に、糖質が含まれていない焼酎やウイスキーなどの「蒸留酒」は、ダイエット中の方にもオススメです。

また、どうしてもビールやワイン・酎ハイなどのお酒を飲みたい!という人は、糖質オフのビールや酎ハイを選ぶと良いでしょう。

お酒を飲むなら「水」もしっかり飲もう!

お酒を飲むなら「水」もしっかり飲もう!
飲酒の悪影響でもご説明した通り、アルコールには利尿作用によって脱水症状を引き起こす可能性があります。
その対策として、お酒を飲んでいる時は、お酒と同程度の量かそれ以上に水分を摂取するようにしましょう。

飲酒中に水分をしっかり摂っておけば、脱水症状を未然に防ぐことができますし、翌日に二日酔いを招く予防にも繫がります。

二日酔いがひどくてカラダを動かしたくない…トレーニングできない…という状況を防ぐためにも、お酒を飲む時はマメな水分補給を心がけてください。

飲酒中にオススメのおつまみ、NGのおつまみとは?

飲酒中にオススメのおつまみ、NGのおつまみとは?
お酒を飲む時のおつまみを賢く選ぶことで、筋肉の合成を促したり体脂肪の蓄積を抑えたりすることができるため、トレーニング効果を落とすことなくお酒を楽しむことができます。

まず基本的な点として、おつまみは「高タンパク質・低糖質」のものを選ぶことが重要。
例えば、野菜は食物繊維によって糖質の吸収を緩やかにしてくれますし、ビタミンなどの栄養素も豊富ですので、海藻やキノコの入ったサラダや、おひたし、ピクルスなどは一番始めに食べておきたい一品です。

そして、実は「お肉」もオススメのおつまみ。お肉はタンパク質のかたまりだからです。
居酒屋のメニューであれば、焼き鳥やから揚げなどが定番メニューとして挙げられるでしょう。また、味付けはできるだけ糖質を控えるために塩で食べるのがポイントです。
その他にもタンパク質が多い食べ物として、豆腐や魚のおつまみも良いでしょう。冷奴やお刺身などもお酒に合うのでオススメです。

逆に、NGなおつまみは「炭水化物」。主食となるご飯やパン、麺類のほか、芋類なども当てはまります。
どんぶりやお茶漬けなどのご飯もの、うどんやパスタなどの麺もの、ピザやガーリックトーストなどのパンもの、餃子やたこ焼き、お好み焼きといったような粉ものや、フライドポテトなどの芋もの、揚げ物などのおつまみは避けた方が良いでしょう。

飲酒後のシメが、実は一番のリスク…!

飲酒後のシメが、実は一番のリスク…!
お酒を飲んだ後はお腹がすくこともありますよね。しかし、この飲酒後シメの食事が実は一番大きな悪影響をもたらすのです。

シメの食事として代表的なお茶漬けやラーメンは、糖質が非常に高い食べ物。どれだけカラダに気を配いながらお酒の種類やおつまみを工夫して選んでいても、最後のシメで全てが水の泡になるケースもあります。トレーニング効果を台無しにするどころか、ほぼ確実に太る原因になるでしょう。

特にダイエット中や筋肉量を増やしている最中の人は、お酒を飲んだ最後にもう一軒「シメのラーメンでも…」は、絶対にやめましょう。

飲酒にはデメリットだけでなく、メリットもある!

飲酒にはデメリットだけでなく、メリットもある!
ここまで飲酒のデメリットを中心にご紹介しましたが、お酒の力をプラスに考える方法もあります。

たしかに飲酒を控えた方がトレーニングの効果に繋げやすいですが、絶対にお酒を飲まない!というスタンスではなく、週に1回ご褒美として飲酒できる日を作ることで、トレーニングに対するモチベーションが上昇し、多少きついトレーニングも継続しやすくなるというメリットが期待できます。

また、飲酒によって摂取カロリーを増やすことで、それが刺激となり代謝の低下を抑えることができます。
ストイックにトレーニングへ打ち込む人も、例えば1週間トレーニングを頑張ったご褒美として、1日だけお酒が飲める日を作るのもアリでしょう。

お酒は計画的に飲みましょう!

運動後にお酒を飲みたくなる気持ちは十分にわかります。たしかに、スポーツやトレーニングで汗を流した後に飲む一杯はいつもより美味しく感じますよね。
しかし、アルコールの摂取はダイエットや筋トレの効果を求める人にとっては、基本的にデメリットしかありません。

本気でカラダ作りに励むのであれば、毎日飲んでいるお酒を週1回に減らすなど、改善の工夫をする必要があるでしょう。
カラダ作りのためにはトレーニングはしっかり、飲酒はほどほどに、の考え方が大切です。

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この記事のライター
和田 拓巳
和田 拓巳
プロスポーツトレーナー歴16年。 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガに関する知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関す...