【ビジネス向け?カジュアル向け?】メンズ向け冬コートの種類と特徴、着こなしマナーを大研究!

冬本番のこの季節、防寒服として欠かせないアイテムが「コート」。
今回はメンズ向けコートの種類と特徴、ビジネスとカジュアルどちらの着こなしに向いているのかという観点からご紹介していきます。

チェスターコート

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チェスターコートは、19世紀にチェスターフィールド伯爵が初めて着用したことが由来とされています。

チェスターコートの基本シルエットは、ジャケットスーツの着丈を膝丈程度まで長くしたもの。基本的な生地にはウール素材が使用され、上襟(首後ろにあたる部分)をベルベット等に切り返し、ボタンを閉めても外側からボタンが見えない比翼仕立て(ひよくじたて)に作られているのが特徴です。

現代では、テーラード仕立ての膝丈の長さのコート類を総称してチェスターコートと呼ぶことが多いようです。

ボタンの閉め方には、最近主流のシングルブレストとクラシカルなダブルブレストの2タイプがあります。現代のメンズファッションにおけるコート類の中では、最もフォーマル寄りのコートであり、ビジネスシーンとの相性も抜群です。

2年ほど前から街中では、チェスターコート×カジュアル着を組み合わせたコーデスタイルがチラホラ見かけるようになりましたが、本来のチェスターコートは、きちんとしたフォーマルな場にスーツと合わせて着こなすコーデスタイルがチェスターコートの正しい使い方です。

キルティングジャケット(コート)

キルティングジャケットの元祖は、イギリス発祥のブランド“ラベンハム”が、馬用に使うブランケットからヒントを得たことからはじまります。1972年そのヒントを元に、乗馬をする人向けにナイロン素材を使ったジャケット制作が本格化していきました。
そしてキルティングジャケットの日本上陸は1990年前半。当時、一部のセレクトショップとデザイナーの間でコラボが組まれ、キルティングジャケットを紹介したことがキッカケとなり一般層へと瞬く間に広がりをみせました。

キルティングジャケットの基本的な着こなし方は、コーディロイやツイードのパンツ類に、ニットやカットソーのインナーを組み合わせる、カジュアルコーデが最適です。そのキルティングジャケットも最近の2010年あたりまでは、スーツコートとして着用するシーンもみられました。
そんなスーツに羽織る際は、サイズ感に要注意!スーツの上からキルティングジャケットを羽織っては「ジャケットonジャケット」となり、外羽織のキルティングジャケットから内羽織のスーツ裾がはみ出てしまい、なおかつ肩幅も窮屈な状態でとてもダラシナイ印象になってしまいます。

いまでは、着丈とアームホール(肩回り)が広いタイプのキルティングジャケットのコートも販売されていますので、スーツの上から着用する際は、コートタイプの選び方に気をつけましょう。

また、このキルティングジャケットは、元々スポーツジャケットが由来となり、ビジネスシーンでの畏まった席にはあまり向かないコートと言われています。場をわきまえて身につけるよう心がけましょう。

スタンドカラーコート

襟の形が立ち襟になっているタイプのコートを、総称してスタンドカラーコートと言います。

スタンドカラーは“軍服”や“学生服(詰襟)”などに代表され古くから日本にも存在していましたが、コートとしてデザインされ誕生したのは最近のこと。
1980年代に様々なデザイナーがスタンドカラーのジャケットやスーツを発表していましたが、どれも一過性のデザインで結局定着する事はありませんでした。ここ10年間をみる限りでは、最も一般層まで広がったタイプのコートといえるのではないでしょうか。

使用される素材には、ウールやナイロン、ポリエステルの化学繊維を多く含んだものまで多種多様のタイプが作られています。

このスタンドカラーコートは、紳士服や量販店でもみかけるタイプで、ビジネスシーンで着ることは問題ありませんが、伝統的なスタイルが求められる冠婚葬祭などフォーマルなシーンには、近代的なデザインのスタンドカラーコートは不適切と判断されることもあります。参加メンバーの客層や年代、目的を事前によくよく確認して選択するよう心がけましょう。

ステンカラーコート

ステンカラーとは折り返した襟の後ろが高く立ち、前は低く折り返している襟の形をしたコートのこと。古くは昭和時代に最も定番かつポピュラーなビジネス向けコートとしてサラリーマン達に着用されていました。

また当時のステンカラーコートは、ほとんどがベージュ色で、“ラグランスリーブ”と呼ばれる袖と肩のデザインが襟下から繋がっている仕立て方がメイン。しかしラグランスリープを着用するとなで肩が強調され過ぎてしまうため、今では“セットインスリーブ“と呼ばれる肩と袖を地面に対して垂直に縫い合わせ、肩まわりをスタイリッシュにみせる仕立て方に仕様変更されています。

使用される素材は、綿100%のコットンギャバジンと呼ばれる強度性の高い生地が中心でしたが、最近ではウールやゴアテックスの素材も多くみられます。

このステンカラーコートは、チェスターコートと同じく流行り廃りがなく、なおかつ伝統的なコートとしてビジネスシーンはもちろん、綿タイプの素材を使っているためカジュアルスタイルとして着こなすことも可能な万能コートといえます。

ピーコート(Pコート)

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ピーコートの発祥は、19世紀はイギリス海軍の「防寒着」が由来とされています。

このピーコートの特徴は、何と言っても左右2列に配置されたボタンを両脇どちらからでもボタン留めが可能なこと。風向きにあわせて変えられる仕様が独特です。
加えてコート生地には、メルトンと呼ばれる非常に厚い生地が使われている点もピーコートの特徴。

ダブルのチェスターコートとの違いは、ピーコートのボタンの方がサイズも大きく、ボタンにイカリのマークが刻印されている点がひとつ。ふたつ目はピーコートの方が着丈の長さが短く、ロングタイプのピーコートを着用した際でも、モモ部分に掛かる程度の長さしかなく短めに設計されている点があげられます。

スーツに合わせるのであれば着丈の長いロングタイプがおすすめ。生地には、手触りが良く、メルトン生地よりも少し薄めの生地を選ぶと比較的しっくり着こなすことができます。

また近年のピーコートは、着丈がウエスト付近までのショートタイプが主流で、フォーマルよりはカジュアル向きとされています。

トレンチコート

トレンチコートは、第一次世界大戦時に作られた軍事用コートが由来とされています。

このトレンチコートの特徴は、双眼鏡などを肩に掛けてもずり落ちない“エポレット”やウエストベルトに“Dリング(元々は手榴弾などの軍事用品をぶら下げておく為のパーツ)”
が付いている点がひとつ、ふたつ目は、襟部分のチンストラップ(首元の防風用)やベルト・袖口にもストラップ機能が設けられており、全体的に防寒対策に優れている点がトレンチコートの特徴としてあげられます。

トレンチコートに使用される素材は、高密度かつ織った折り目が斜めにみえるコットンギャバジンと呼ばれる伝統的な生地を採用しています。

また元々トレンチコートは、軍事用のコートがはじまりですが、スーツ用のコートとしても古くから着用されており、綿素材のビジネスコートとしては「シングルタイプ=ステンカラーコート」「ダブルタイプ=トレンチコート」が長く主流として愛用されています。

近年では、ショート丈やシングルタイプのトレンチコートも数多く販売されています。オーソドックスな膝丈の長さにコットンギャバジンのトレンチコートであれば、畏まったビジネスシーンでも問題なく着用できます。

欧米と比べ、日本のビジネス向けコートは着こなしに寛容的であると同時に比較的何でも合わせやすいことが特徴としてありますが、コートの由来や最低限のTPO、基本的な着こなしスタイルを知ることで、これまで以上に幅広い着こなしとコート選びに役立ちます。

今お持ちのコートが、“ビジネス向け“”カジュアル向け“どちらにあたるのか、一度確認してみてはいかがでしょうか。正しいコートの着用マナーを身につけ冬コートの着こなしライフを楽しみましょう。

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。