アメトラにこだわり続ける「J.PRESS」ブランドを徹底解説!

メンズファッションの着こなしには、ブリテッシュやイタリアン等いくつか種類がありますが、今回は数ある着こなしスタイルの中から「アメリカントラッド(別名:アメトラ)」についてご紹介。
また、オンワード樫山が取り扱う「J.PRESS」のブレザーやトラッドスーツの特徴、違い、着こなし方までを徹底解説していきます!

アメリカントラッドとは?

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アメリカントラッドの着こなしを定義するには、遡ること1818年・イギリス創業のブルックスブラザーズが生み出した「Ⅰ型(ブルックス型とも言う)」の存在は外せません。

このI型は“ナチュラルショルダー”と呼ばれる、ジャケットの肩パット部位の作り方に独特の特徴があります。

①:ボックスシルエット(ジャケットのウエスト部分を絞り、ダーツと呼ばれる生地を内側に縫い込む仕様無しの上着)
②:ボタンは3つボタンの段返り
③:センターベント

I型の特徴は主にこの3点。
またブリテッシュスタイルのスーツは、肩パット+ウエスト部分にもダーツを入れ、体のラインに沿った絞り込みが施された着こなしスタイルが当日の主流。他の着こなしとの違いは明確でした。

アメリカ人がイギリスに渡り、イギリス流の着こなし方を学んで持ち帰り、アメリカ独自のスタイルに発展させた着こなしが「アメリカントラッド」。ボタンダウンカラーのシャツ、ブレザー、ローファーなどをカジュアルなスタイルで着こなした、アメリカのアイビーリーグの学生が着ていたスタイルを「アイビールック」と言いますが、その元にもなった着こなしがアメリカントラッドなのです。

J.PRESSとは?

J.PRESSは、1902年・アメリカのコネチカット州にあるイエール大学のキャンパス内に創業したことから始まります。以後、時代に見合ったアイテムやサイズ感を若干調整しながら、アメリカントラッドに忠実なモノ作りを行っています。

日本国内での製造・販売はオンワードホールディングスの「オンワード樫山」が展開。2015年度のオンワードホールディングスは、アパレル業界第4位の売上規模を誇り、販売商品に品質のクオリティを求める百貨店にもJ.PRESSは店舗展開を行っています。

高品質な紳士服をウリにしている他店舗の専門メーカーに比べ、J.PRESSの洋服仕立てには以下の特徴があります。
(1)ジャケット内部に接着芯が使用されている
-ジャケットの型崩れやシルエット作りの表地とは違い、芯地専用の生地を使用し高級服には手縫いで縫い付けが施されている。

(2)裏地にポリエステルを使用(パンツ等、一部の製品)
-ポリエルテルとは化学繊維の一部で、価格は安価で丈夫だが吸湿力に劣り、糸も固く静電気が発生し易い。高級服は再生繊維の一部であるキュプラやレーヨンを使用する)

この特徴2点から、J.PRESSの製造コストを重視したモノ作り戦略がうかがえます。
それでも丁寧な縫製と日本人の体型に合わせたサイズ感、良心的な価格設定など、さすがの展開力、そしてJ.PRESSならではの良さももちろんあります。


ここからは、今期の「J.PRESS」のカタログをみながら代表的なアイテムをご紹介していきます。

ブレザー

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ブレザーは、J.PRESSの代表的なジャケットであり、最もアメリカントラッドらしい雰囲気を持つアイテム。

日本では1960年代に「みゆき族」「アイビールック」が大流行。
これは元々、アメリカ・アイビーリーグの大学生たちが自分の所属するリーグのエンブレムをブレザーの胸ポケットやスタジアムジャンパーに身につけたことが始まり。
この着こなしは、アメリカ流の上品なカジュアルスタイルとして日本国内でも紹介され、その着こなしに影響を受けた東京・銀座の“みゆき通り”付近にいた若者が真似た集団のことを「みゆき族」と呼び、アメリカントラッドを用いた着こなしスタイルが日本国内でも受け入れられ、徐々に広まり始めたという経緯があります。

また、1980年代後半には「渋カジ」と呼ばれるチノパンやジーンズに紺色のブレザーを合わせるきれい目カジュアルな着こなしから派生した「キレカジ」と呼ばれる着こなしスタイルがブームとなりました。

そしてこの2つのブーム、同じようにみえて実際は全くの別もの。
「みゆき族」と呼ばれた1960年代は、日本人がアメリカのライフスタイルに対しての憧れが起因したブーム。カジュアル要素の強いアイビールックの中でもブレザーの着こなしは
ルールも多く基本に忠実な着こなしが推奨されていました。
かわって、「キレカジ」と呼ばれた1980年代は、デザイナーズブランドのサイクルの早い展開に飽きた若者が作り出したブーム。この年代では、シンプルなブレザーを幾つか他のブランドと組み合わせる着こなしが推奨されていました。

このように同じブレザーでも、ブームの発祥元や着こなし方はそれぞれ違う側面をもっていたのです。

ブレザーとジャケットの違い

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ブレザーと紺色のスーツ用ジャケットの違いは、どちらもテーラードジャケットの一部なのですが、ディテールが異なります。
ブレザーとスーツ用ジャケット、それぞれの特徴と違いは下記5つ。

【特徴と違い その①】
ブレザーの生地には「サキソニー」や「サージ」と言われる素材を使い、主なスーツ用生地に比べ厚みがあります。
【特徴と違い その②】
ブレザーのボタンは、金色または銀色の金属ボタンを使い、スーツ用ジャケットは水牛の角など天然素材のものを使用しています。
【特徴と違い その③】
ブレザーの腰部分のポケットには、パッチポケット(ジャケットの外側、ポケット全体に生地を縫い付けること)タイプを使い、スーツ用ジャケットには、ポケットの入り口のみ外側にみせる仕立てにして作られています。
【特徴と違い その④】
ブレザーのエリ部分には、ラペルの外側から7㎜程内側に沿ったスリークォーターステッチを施しているのに対し、スーツ用ジャケットにステッチを入れる場合は、通常ラペル外側から2㎜程度に調整されます。
【特徴と違い その⑤】
ブレザーのベント(背中側下部の切れ込み)は、真ん中のセンターベントに入り、スーツ用ジャケットには、サイドベント(両腰部分に2つの切れ込み)とセンターベント、ベントの無いノーベントがあります。

主に5つの特徴・違いがありますが、すべてを兼ねそなえていなくても一律してブレザーと呼ばれることもあります。また、ブレザーとして特徴の数が少なくなれば、正統派ブレザーから離れて紺ジャケットに近くなる傾向もあります。

J.PRESSのブレザー

J.PRESSのブレザーは、基本的なディテールはキチンとおさえつつ、近年のトレンドも織り込んだ非常に良いブレザーを作っています。

例えばサイズ感に関していえば、ナチュラルショルダー、ボックスシルエットは変わりませんが、近年のブレザーは若干細身に作られており、J.PRESS 30年前のブレザーと比べて袖丈も長く、その分アームホールを狭く施し、今どきの主流である細身スーツの着こなしと比べても、違和感のないシルエットに仕上げています。

裏地には滑りの良いキュプラを使用し、生地にはメリノ種から採取される“ピピンメリノ”と呼ばれる上質な糸を使用、織にはサキソニーという若干厚めでしなやかな手触りをした生地を採用しています。その他にもJ.PRESSでは、サージ(サキソニーよりもしっかり目の生地)や、カレッジフラノ(サキソニーよりも厚手で保温性の高い生地)を使用したブレザーも販売しています。

ブレザーの着こなし

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ブレザーは、上下揃いで着用するスーツ用ジャッケットとは異なり、ブレザー単品に多種多様なパンツを別々に組み合わせる着こなし方が相性◎。

そしてブレザーとパンツを別々に組み合わせる場合、ブレザーとパンツ共に違うタイプの生地・柄を選択します。

例えば、紺色のブレザー×グレーの無地かチェック柄のウールパンツを組み合わせる着こなし、チャコールカラー×無地のウールパンツを組み合わせる着こなし等があります。とくにビジネス向けには、ウール素材のパンツと組み合わせる着こなしがオススメです。

近年主流の“ジャケット×パンツ”を組み合わせたビズネススタイルは、通常テーラードジャケット×パンツの組み合わせが一般的とされていますが、ここにJ.PRESSのブレザーのような通常ジャケットとは異なる上着を選ぶことで、いつものスーツスタイルとは違ったメリハリのある着こなしが楽しめます。

また、厚めの生地タイプでパッチポケット仕様のブレザーは、カジュアルファッションにも適しています。
例えば、洗いざらしたベージュ色のチノパンを組み合わせればインナーを選ばない着こなしに、白の綿素材のパンツと組み合わせればとても清潔感のある着こなしに仕上がります。

スーツスタイル

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J.PRESSの中でもORIGINALSシリーズのスーツは、これぞアメリカントラッドと呼べる要素が詰まったトラッドスーツです。

ナチュラルショルダー、ボックスシルエット、段返りボタン、スリークォーターステッチを取り込んだスタイルはまさに伝統的なアメリカンスタイル。

通常の量販店では、ノーマルスーツの取り扱いがほとんどで、J.PRESSが提供するこのORIGINALSシリーズのスーツは中々手に入りにくい商品です。

ブレザーはビジネス向けに着こなすことも可能ですが、業界の習わしで上下揃いのスーツが通例とされる職場やよりフォーマルでかしこまったシーンに、このトラッドスーツは大変オススメです。

それ以外にも「通常のスーツに飽きた」「他の人と違うスーツを着たいけど、あまり目立ち過ぎないスーツで固めたい」「アメリカントラッドを一度着てみたい」そんな方にはJ.PRESSのドラッドスーツがおすすめです。

いかがでしょうか?
今回は、メンズファッションの着こなしスタイル「アメリカントラッド」について、オンワード樫山が取り扱う「J.PRESS」のブレザーやトラッドスーツの特徴、違い、着こなし方とあわせて一挙にご紹介しました。

近年、ワイシャツの襟先をボタンで留めるタイプの“ボタンダウンカラー”が主流ですが、実はアレもアメリカントラッドから派生しているシャツ。イタリア産のエレガントな生地を使用したスーツには向かないシャツ襟といわれています。
その点、J.PRESSのブレザーやスーツには“ボタンダウンカラー”のワイシャツも安心して組み合わせることができますよ。

「いつものスーツスタイルを少し変えたいな…」そんな時にぜひ参考にしてみてください。

ONWARD CROSSET

ファッション #アメリカントラッド #ブレザー #トラッドスーツ #J.PRESS #ブルックスブラザーズ #オンワード樫山

この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。