筋力アップだけじゃない!「プロテイン」の効果&正しい活用方法をプロが徹底解説

筋力アップに効果を発揮するものとして、主に筋トレやスポーツに取り組む人たちから親しまれる「プロテイン」。
あなたはプロテインについて、どこまで正しく理解していますか? プロテインは、単に筋肉をつけるためだけのものではありません。

今回は、日頃からトレーニングやダイエットに励む人なら知っておくべき「プロテイン」に期待できる役割と具体的な効果、またプロテインの種類や飲み方、さらにはプロテインあるあるの疑問について、プロトレーナーの筆者が徹底解説したいと思います。
自分に合ったプロテイン戦略を学んで、理想のカラダ作りを目指しましょう!

プロテインの役割とは?

プロテインの役割プロテインの役割とは、いったい何なのでしょうか。
プロテインを知らない人の多くは、“筋肉を増やせる魔法の薬”のようなイメージを持っているようですが、決してそうではありません。

カラダ作りに欠かせない栄養摂取ですが、普段の食事から理想の栄養分を取り込むのはなかなか大変です。そんな時に活用したいのが「サプリメント」。サプリメントは、不足している栄養素を適切に補ったり、効率よく体内に栄養素を取り込んだりする時に効果的な“栄養補助食品”です。

そして、この栄養補助食品でもあるサプリメントの一つが「プロテイン」です。
つまりプロテインとは、皆さんが毎日摂取している3大栄養素の一つ「タンパク質」のこと。
タンパク質は筋肉の元となる栄養素ですが、それ以外にも皮膚や髪の毛・爪などの材料に使われたり、酵素や免疫力の働きにも関わったりするなど、人間が生きていくうえで欠かすことのできない栄養素なのです。

プロテインの効果5つ

プロテインの効果では、プロテインを摂取することで得られる効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここではプロテインを飲むことによる具体的な効果についてご紹介します。

①「筋肥大」の効果

まずプロテインを摂取する多くの目的、それはやはり筋肉を大きくすることでしょう。

筋肉を増やすためには、筋トレなどによる筋肉へのストレス負荷と、それを回復させるための栄養・休養が必要不可欠。筋トレなどの運動をすると、筋肉の線維(筋線維)が微細な損傷を受けます。その損傷を修復する際に筋肉は太く強くなっていくのです。これはストレス負荷に負けないよう、カラダを守る防衛反応の一つとも言えますね。

そして、筋肉が修復する際に筋肉の元であるタンパク質が体内にたくさんあることで、効率よく筋肉が作られ太くなるのです。つまり効率よく筋肉をつけるためには筋繊維が再生している最中、体内に十分な量のタンパク質を補充しておく必要があるということ。

そこでプロテインを飲むことによって、タンパク質を効率よく摂取することができるため、筋肥大の効果を最大限まで高められるというわけです。

②「筋肉維持」の効果

筋肉は常に合成と分解を繰り返しています。筋肉の量を増やしたり維持したりするためには、筋肉の分解を極力抑え、合成を活発化させることが重要です。

たとえば、ダイエット。
ダイエット中は、摂取エネルギーを抑えるために食事の量を少な目に設定するものですが、そうすると必然的にカラダを動かすためのエネルギー量が不足しがちになり、その不足したエネルギーを補おうと筋肉が分解されてエネルギーへと変わります。
そして筋肉の分解によって筋肉量が大きく低下してしまうと今度は基礎代謝も同時に低下し、リバウンドしやすい体型になってしまうのです。

このように理想のカラダ作りにおいて、筋肉量の維持はとても大切なこと。
つまり、日常的にプロテインを飲めばタンパク質の補給、しいては筋肉量の維持に役立つというわけです。

③「ダイエット」の効果

プロテインを食事に代替し活用することで、食事中の糖質や脂質の摂取量を控えることに役立ち、結果的に体脂肪の蓄積を抑える効果が期待できます。

特に消化吸収が遅いタイプのプロテインは空腹感が満たされるため、ダイエットにも最適のメニューと言えるでしょう。その影響もあり、糖質制限ダイエットを実施される人たちにもプロテインが積極的に活用されています。

また、ダイエットにプロテインが最適な理由としてもう一つ「特異動的作用(もしくは、食事誘発性熱生産)」が挙げられるでしょう。
実は食べた物を消化するためにもエネルギーが使われています。その消化に伴う消費エネルギー量は食べた物によって異なりますが、たとえば脂質は約4%、炭水化物は約6%の消費であるのに対して、タンパク質は約30%も消費されるのです。
プロテインはタンパク質ですので、つまり食事の代わりにプロテインを摂取すると消費エネルギーが増えダイエット効果が期待できるというわけです。

④「疲労回復」の効果

運動後にタンパク質と糖質の栄養素を一緒に摂取すると、何も摂取しない時に比べて筋肉のエネルギーとなるグリコーゲンの回復や筋肉の合成が活発になり、疲労を回復させる効果が高いという研究報告があります。

つまり筋トレをしている人をはじめ、カラダを酷使する肉体労働系の人にとってプロテインは疲労回復を早める効果が期待できるというわけです。

⑤「美容」の効果

プロテインには、美容効果も十分に期待できます。プロテインの中にはイソフラボンの成分が豊富に含まれている商品もあり、ホルモンバランスを整える働きを担ってくれます。

そしてこのホルモンバランスが整えば、細胞の代謝が活発になり美肌効果や、ホルモンバランスの崩れから起こる更年期障害や骨粗鬆症などを予防する効果も期待できるでしょう。

プロテインの摂取で気をつけたいデメリットとは?

プロテインの摂取で気をつけたいデメリットプロテインにはたくさんの効果、多くのメリットが期待できる一方、プロテインを摂取することによるデメリットが心配になる人もいるかもしれません。
でも、安心してください。プロテインを摂取することよるデメリットは、ほぼゼロと言えます。

ただし注意点として、“プロテインの過剰摂取”と“選ぶプロテインの品質”が挙げられるでしょう。
まずプロテインの過剰摂取は、エネルギー過多など体調に悪影響を及ぼす可能性が考えられるでしょう。プロテインは、飲めば飲むだけ効果が高まるという万能薬ではないのです。

また、インターネットなどを介して値段の安い海外製品のプロテインに手を出してしまうと、有害物質が含まれていた…なんてこともあり得ます。
日本メーカーの製品や海外メーカーの製品でも大手であれば、そのような心配はありませんが、もしプロテインに関する知識が乏しい人は、できるだけ安心できる有名ブランドの商品を買うようにしましょう。

知っておきたい、プロテインの種類3つ

プロテインの種類プロテインには大きく分けて3つの種類があります。ここではそれぞれの特徴を簡単に紹介していきます。

<種類①>ホエイプロテイン

ホエイプロテインは、牛乳で作られているプロテインです。体内での吸収速度がはやく筋肉づくりに効果が高いのが特徴。筋トレなどで筋肉づくりに活用されているプロテインの多くは、このホエイプロテインです。

<種類②>カゼインプロテイン

ホエイプロテイン同様、カゼインプロテインも牛乳で作られています。ホエイプロテインに比べて、体内での吸収速度が遅いのが特徴。またカゼインプロテイン腹持ちの効果が高いため、主にダイエットへ取り組む時に多く活用されています。

<種類③>ソイプロテイン

牛乳ではなく大豆で作られているプロテインが、ソイプロテインです。大豆に含まれるイソフラボンが摂取できるため、女性向けとして販売されていることが多いプロテイン。食物繊維が豊富で吸収速度が遅いため、主に美容目的のダイエット用として活用されています。

プロテインの選び方とは?

プロテインの選び方数あるプロテインの中から自分に合ったプロテインがどれかわからない…と悩む人も少なくないでしょう。
そんな人に向けて、プロテインを選ぶポイントを様々な視点から紹介していきます。

(1)それぞれの特徴・目的の違いから選ぶ

プロテインにはそれぞれ特徴があり、配合されている成分や比率が異なっています。まずは目的の違いによる選び方から見ていきましょう。

筋肥大、筋肉の量を増やしたい

筋肉量を増やしたい人は、タンパク質含有率(タンパク質の比率)が高い商品を選びましょう。そのような商品は、主にホエイプロテインが主流です。また、筋肉の成長を促すBCAAやグルタミンなどのアミノ酸が+αとして配合されている商品がオススメです。

ダイエットで痩せたい、体重を落としたい

体重を落とすなど、痩せるダイエット目的にプロテインを活用する場合は、タンパク質含有率が高く脂肪や糖質がほとんど含まれていない商品を選びましょう。カゼインプロテインやソイプロテインは腹持ちも良く空腹感を感じにくくなるためオススメです。

体重を増やしたい

体を大きくしたくても全然太れない…そのような悩みを持っている人もプロテインの活用をオススメします。体重を増やすことを目的とした場合は、タンパク質含有率よりも糖質の多さをチェックしてみると良いでしょう。そのようなプロテインは、摂取カロリーを増やし体重を増やすためのものとして、体重を増やしたい人向けに販売されていることが多いです。

(2)ホエイプロテインは製法の違いに注意して選ぶ

筋肉をつける効果の高いホエイプロテインには、様々な製法が取り入れられています。特に牛乳などを飲むとお腹が緩くなったり痛くなったりする人がホエイプロテインを購入する際は、買う前に必ず製法を確認するようにしましょう。

ホエイプロテインは「乳糖」でお腹を壊しやすい

牛乳には乳糖と呼ばれる成分が含まれています。この乳糖は体質によって消化することができない人もいるのです。乳糖を消化できないと腹痛やお腹の不調の原因になり、このことを「乳糖不耐症」と言います。
中でもホエイプロテインは、製法によってこの乳糖を含んでいたり、排除されていたりなどの違いがありますので気をつけて選びましょう。

WPC製法=乳糖が含まれる

一般的に安価で販売されているプロテインはWPC製法と呼ばれるもの。タンパク質を抽出する際のろ過の精度が低く、乳糖が含まれたままのプロテインです。その一方で、タンパク質以外の糖質やビタミン、カルシウムなどの栄養素も含まれています。

WPI製法、WPH製法、CFM製法=乳糖を含まない

これらの製法はWPC製法よりもろ過の精度が高いため、乳糖が除去されています。
まず、「WPI製法」はろ過を細かく行う製法で高純度のタンパク質が摂取でき、「WPH製法」は細かくろ過したタンパク質を半分消化された状態にし、体内に吸収しやすいように加工されている製法です。
「CFM製法」はWPI製法で抽出したタンパク質に加え、筋肉づくりに効果的な栄養を追加で配合した製法です。
どれも手間がかかっているため、WPC製法よりも値段が高い商品が多いのが特徴です。
これらの製法で作られたプロテインは、乳糖不耐症の人でも安心して飲むことができますので、購入時の製法確認の参考にしてみてください

プロテインを正しく&美味しく飲む方法

プロテインの飲み方プロテインは何に混ぜて摂取しても問題はありませんが、一番オーソドックスな飲み方は水に溶かして飲む方法です。水に溶かす理由は、牛乳やジュースなどで溶かすよりもプロテインの吸収率が高くなるからです。

また、水で溶かした時の味が苦手…という人は、牛乳で溶かして飲んでみましょう。まろやかになってグッと飲みやすくなるでしょう。ただし、乳糖不耐症の方は顕著にお腹に影響があらわれますので注意してください。

プロテインを飲むベストタイミング3つ

プロテインを飲むベストタイミングプロテインは、いつ・どのタイミングで摂取するのが効果的なのでしょうか。プロテインの効果を最大限に高めるベストタイミング3つをお教えします。

◎筋トレ直後

まずプロテインを摂取するうえで絶対に忘れていけないタイミングが、筋トレ直後です。
筋トレ後30分以内はタンパク質の吸収率が高く、その効果の高さからカラダ作りの“ゴールデンタイム”と呼ばれています。また、筋トレ直後は成長ホルモンや筋肉の合成を促すインスリンの分泌が活発になるタイミング。そのタイミングで筋肉の材料となるプロテインを摂取し、筋肉の元となるタンパク質を補給することで、筋肉の合成を効率よく行うことができるのです。

ちなみに、プロテインを飲むタイミングで得られる効果を検証したデータがあり、「筋トレ後30分以内」と「筋トレ後2時間過ぎ」に摂取した時を比較すると、その差は歴然で、トレーニング後2時間後に摂取した場合は、筋トレによる成長ホルモンやインスリンの効果がほとんど得られなくなってしまうという研究結果があります。

スポーツジムでプロテインを飲んでいる人もよく見かけますが、これは効果を最大限に出すための摂取方法だからなのです。
なお筋トレ直後にプロテインを飲むのであれば、吸収の早いホエイプロテインの摂取をオススメします。

◎就寝前

筋トレ直後と同じくらい重要なタイミングが就寝前です。
就寝中は筋トレ直後同様、成長ホルモンが多く分泌する時間帯。しかし、就寝中は途中で栄養摂取ができず大体6~7時間程度、何も食べていない状態が続くため筋肉の分解が進んでしまいます。その筋肉の分解をできるだけ抑える目的で寝る前にプロテインを摂取し、体内にしっかりタンパク質の量を増やしておくことがカラダ作りを効率よく進めるポイントです。

なお就寝前にプロテインを飲むのであれば、吸収の遅い「カゼインプロテイン」か「ソイプロテイン」の摂取をオススメします。

◎起床後

起床時のタイミングは、体内のエネルギー量が減っている状態。そのまま栄養補給をせずに一日の活動を開始してしまうと、カラダを動かすためのエネルギー消費によって筋肉が分解されてしまいます。

そのため起床後のタイミングもしっかりとプロテインを補給し、タンパク質の量を最低限保っておくことが重要です。また、朝食を食べるとなると準備や食事に時間を要しますが、プロテインの摂取であれば調理する手間もなく、時間の短縮につながります。

なお起床後にプロテインを飲むのであれば、吸収の早い「ホエイプロテイン」の摂取をオススメします。

プロテインの適切な摂取量は?

プロテインの適切な摂取量それでは、プロテインはいったいどのくらいの量を摂取するのが効果的なのでしょうか。

効率よく筋肉をつけるためには、だいたい1日で体重1kgあたり2gのタンパク質が必要と言われています。
仮に体重が60kgの人の場合は、120gが摂取目安になります。

ちなみに、その摂取目安の量を全てプロテインで補う必要はありません。普段の食事で達成できるのであればプロテインは必要ないのです。
しかし、普段の食事だけで目安量を摂取するとなると、牛肉は約700g、卵は20個以上が必要になります。食べるのが大変なうえ、必要のない脂質などを多く摂ってしまうことがデメリットとして挙げられます。

そのため、たとえば予め食事で摂取するだいたいのタンパク質量を計算しておき、それ以外で不足している分をプロテインで補うような食事戦略を立てると良いでしょう。

プロテインの疑問あるある…Q&A形式でプロが徹底解説!

プロテインの疑問をQA形式で解説最後に、よくプロテインに関する疑問や不安な点として取り上げられることをQ&A形式でお答えしたいと思います。

【Q1】プロテインを飲むと太る?

【A】基本はプロテインも食事と同じですので、運動をしていないのにただプロテインを飲んでいるだけでは太ります。

ただ糖質や脂質に比べてタンパク質は体脂肪になりにくいため、きちんとマメに運動をしたり、食事のコントロールをしたりしていれば太る心配はありません。もしプロテインで太ってしまうのが心配であれば、食事の摂取量を少なくすることを心がけましょう。

【Q2】運動をしない人もプロテインは飲むべき?

【A】運動をしない人でもプロテインは活用できます。ただし、食事にプラスして摂取してしまうと太ってしまう場合があります。
体重を減らすダイエット目的にプロテインを活用するのであれば、食事の置き換えとしてプロテインを飲むようにしましょう。

また、残念ながらプロテインを飲むだけで筋肉がつくことはありません。筋肉をつけたい人は、必ず筋トレなど運動を取り入れるようにしましょう。

【Q3】プロテインって不味くない?

【A】昔のプロテインは味気がなく、一気に飲み干すには少々苦しいタイプもありましたが、最近のプロテインは驚くほど味が良くジュース感覚で美味しく飲めるものも多く販売されていますし、味のバリエーションも豊富です。

また、バナナなどのフルーツ類と一緒にミキサーで混ぜると、高タンパク質のオリジナルドリンクを作ることができます。フルーツを入れることで糖質も同時に摂取することができ、味も美味しく、カラダ作りの効果も高まるためオススメです。

【Q4】プロテインを飲んだ時の食事はどうすればいいの?

【A】カラダ作りを効率的に行いたいのであれば、プロテインの摂取同様、食事の内容も変えるのがベストでしょう。

食事のメニューをタンパク質中心の糖質を少なめに摂取することで、筋肉がつきやすくなります。
また、普段から外食が多くなかなか食事の内容を変更できない…という人は、あえて食事の量を少なくしその分プロテインを摂取することを心がけましょう。

【Q5】1回に消化できるタンパク質は30g?

【A】プロテインについて調べると、タンパク質は1回につき30gしか消化できず、それ以外は体外に排出されてしまうという情報をよく目にします。

この情報は、正しくありません。タンパク質を30g以上摂取しても消化することは可能です。ただし、大量のタンパク質で胃腸の調子が悪くなってしまうという人もいます。その場合は1回の摂取量を少なめに設定し、プロテインを小まめに摂取するようにしましょう。

プロテインについて正しく理解しましょう

プロテインは、筋トレをはじめとしたトレーニングを行う人にとっては強い味方。カラダ作りを行ううえで、積極的に活用したいアイテムです。
また、プロテインの知識を正しく理解し効果的に摂取することで、効率よく筋肉をつけることができます。
日頃の運動にプロテインをくわえて、理想のボディ作りに励みましょう!

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この記事のライター
和田 拓巳
和田 拓巳
プロスポーツトレーナー歴16年。 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガに関する知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関す...