過去の「猟奇殺人事件」と「座間9遺体事件」の共通点、自殺志願者達の心理とは?

座間市のアパートで9体の遺体が発見されるという猟奇殺人事件が発生しました。
この事件では、多くのマスコミで事件に至った経緯や動機が解説されています。マスコミでは、これまで事例のない事件として扱われていますが、実際には、類似の猟奇殺人事件が多数発生しているのです。
今回は、同じような猟奇殺人事件史を幾つかご紹介した上で、白石容疑者をはじめそれらの事件の犯人たちが猟奇殺人事件を常習化してしまう理由を心理の側面から筆者が解説していきたいと思います。

屍姦(しかん)とは?

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屍姦(しかん)とは、死亡した女性をレイプすることで、昔から秘密裏に行われていた形跡があります。例えば、古代エジプトについてヘロドトスの「歴史」、中国の「晋書」や「捜神記」に屍姦の記載があります。また、予想外にこの日本でも屍姦の事例は多く、歌舞伎の演目になっていたりもします。そして1900年半ばには、屍姦の事件が連続で発生しており、屍姦を題材にした小説も多数出版されています。

また屍姦と似た行為として「淫楽(いんらく)殺人」があります。強姦した挙句に相手を殺害してしまうプロセスに興奮を覚える行為を淫楽殺人と言います。
強姦している途中で、首を絞めることによって、女性は死亡する直前に失神します。この時に、膣が縮小し男性の性器を強く締め付け、刺激することによる快感(実際にはそんなことはありません)と、相手を死に至らしめる達成感に興奮を覚えるのです。

現時点において、白石容疑者か本当に屍姦をしたかどうかは定かではありませんが、強姦と死に至らせる快感が、連続猟奇殺人事件の動機になった可能性はあると考えられます。

死体を愛する「死体コレクター」

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1900年代前半のルーマニアにベラ・レンツィという女性がおり、その家の地下室には35の遺体がありました。ベラ・レンツィの自供によると、「男たちが、私を抱いた腕で別の女を抱くのではないかと思うとガマンできなかった。」とのことですが、この言葉と「自分が殺さないと、ほかの男が殺してしまう」という白石容疑者との発言がよく似ています。

また本来、殺人を隠すためには、自分が殺害した遺体は遠方に遺棄するところですが、白石容疑者は遺棄することなく、遺体とともに生活をしており、このこともベラ・レンツィ事件と共通していると言えるかもしれません。

過去にもあった「自殺サイト殺人事件」

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2005年8月には今回の座間事件と同じような事件も発生しています。大阪府の河川敷で、行方不明の女性の遺体が発見されました。これを機に発覚した殺人事件が「自殺サイト殺人事件」と呼ばれるものです。そして、当時堺市に住んでいた容疑者の男が逮捕されました。

被告は、自殺サイトのことを知り、多重債務やいじめに悩む自殺志願者に「集団自殺をしよう」と呼びかけ、自殺志願者たちを騙した挙句、窒息させ殺害するに至りました。また被告は、中学生の頃から他人を窒息させ被害者が苦悶する姿に興奮したとのこと。自殺サイトを悪用することは、座間の事件が初めてではないことが分かります。

死体を集める「死体マニア」

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2006年7月、死体マニアと呼ばれる事件が明るみに出ました。愛知県でベトナム国籍の女性が殺害されているのが見つかった事件です。愛知県警は事件翌月の8月6日、岐阜県高山市のコンビニ店員を殺人容疑の疑いで逮捕。これに伴い、連続殺人が明らかになりました。これも白石容疑者が起こしたとされる座間事件との類似点が存在します。

また、2011年にはロシアの高名な言語学者が若い女性のミイラ29体を隠し持っていたという事件が発覚。これは厳密にいえば殺人ではありませんが、遺体は墓地から盗んできたとみられ、遺体は人形のように可愛い服を着せられていたと言います。

なぜ「猟奇殺人事件」は頻発して起きるのか?

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以上のとおり「猟奇殺人事件」は決して珍しいものではなく、頻発してきたことがお分かりになったと思います。

それでは、白石容疑者は、なぜ連続殺人に及んだのでしょうか?

その一つの可能性としては『依存症』が考えられます。依存症とは、何かの原因で快感を得ると、快感を得たいために、その原因を繰り返してしまう精神的疾患のこと。依存症には様々なタイプがあり、例えば、ニコチン依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、アルコール依存症、セックス依存症…など、多数のケースが考えられます。芸能人でも、覚せい剤の依存症として何度も逮捕されることもあり、マスコミでも頻繁に取り上げられることから、読者の皆さんにも依存症は完治が困難であり常習性が強いことはご存知のとおりかと思います。

この『依存症』については、脳内に放出される神経伝達物質が関連することが分かっています。例えば、覚せい剤を使用すると、快感を得て、それを脳に伝えるドーパミンという神経伝達物質が放出され、脳が快さを感じます。脳は、その快感が忘れられなくなり、覚せい剤を使用するように脳から命令を出すようになり、どうしても止められなくなってしまうのです。

これと同じように、猟奇事件の加害者は、強い快感を経験することにより、放出されるドーパミンの量も増加します。そのために、依存性の度合いが徐々に強くなり繰り返し殺人に及んでしまうことも考えられるのです。

自殺志願者の心理

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人間という生き物は基本的に、辛いことがあると「もう、死にたい」という気持ちに共感してもらいたい感情が湧いてきます。

特に若い女性は、自分の辛い気持ちに共感を求めSNSに投稿している姿も散見されます。
自殺志願者の多くは、突発的に「死にたい」という感情は芽生えても本当に自殺を実行するレベルに至らない人がほとんど。これは白石容疑者も述べているとおりで、自殺志願者の多くは、様々なことで悩み苦しみ、本来は、自分の話を聞いてもらいたいだけなのです。
ですから、第三者の誰かに「一緒に死のう」と言われると、同じ悩みを共有できると考え、疑うことなく無防備のまま、ただ話をするためだけに出かけて行ってしまうのです。

白石容疑者による座間の遺体事件は、決して珍しい猟奇殺人事件なのではなく、常習性の強い心理に基づくものであることがお分かり頂けたかと思います。

もしご自分の周囲に元気のない人がいる場合は、話をよく聞いてあげてください。そして、自殺をお考えのときは、いのちの電話など相談窓口があり、信頼性に欠ける個人や団体には関わらないことをアドバイスしてあげてください。

そして今回の事件の発端にもなったSNSの活用問題についても、行政による早期の対応が望まれます。

ライフスタイル #自殺 #心理 #依存症 #事件

この記事のライター
村田 芳実
村田 芳実
心理士の村田です。 認定心理士として、おもにビジネス・モチベーション・メンタル・恋愛・摂食障害など、誰でも使える心理学の記事を執筆しています。 人間の心は不思議でいっぱい。男性の皆さんが恋愛や仕事に活用できる心理をご紹介していきたいと思います。