プロトレーナーが解説! トレーニングに効果的な「量」と「時間」はどのぐらい?

ダイエットや肉体改造など、トレーニングに取り組む目的は人それぞれですが、筋トレにせよランニングにせよ、いざカラダを動かしてみると「どれぐらいやればいいんだろう?」という疑問が湧いてくるもの。
「たくさんやればそれだけ効果が高いの?」「今の運動量って正しいの?」「やり過ぎは良くない?」など、今のトレーニング量がベストなのかどうか悩む人もいることでしょう。

そこで今回は、プロトレーナーの筆者がトレーニング1回あたりに取り組むべき最適な「量」と「時間」の考え方について、トレーニングの目的別に詳しく解説していきたいと思います。

トレーニングの「量」や「時間」に決まりはない

トレーニングの「量」や「時間」に決まりはない基本的には、トレーニングの量や時間をどれくらいにすべきかという正しい解はありません。個人の好みによって決めていただいて構いません。

実際に1回あたりのトレーニングを30分しかしない人もいますし、2時間以上かけて念入りに鍛える人もいます。

トレーニングの「量」や「時間」を増やしたからといって成果が上がるわけではない

トレーニングの「量」や「時間」を増やしたからといって成果が上がるわけではない痩せる目的でエクササイズのメニュー数をたくさんこなしたり、筋力アップを目的に長時間トレーニングしたりすれば、その分比例して成果が上がるとは限りません。
たしかにある程度の量は必要です。しかし、毎回2時間も3時間もトレーニングしていたら、飽きるのも早く、何より心身ともに疲れ果ててしまいます。

また、長時間のハードトレーニングは、1日24時間という限りある日常生活において他の時間を圧迫してしまいますし、結果的にスケジュール調整をすることも困難になり、高頻度でトレーニングを続けられないという悪循環に陥るケースも少なくないのです。

トレーニング量をいくら増やしたからといって、1回のトレーニングでカラダが劇的に変化することはありません。長期的なトレーニングをコツコツ積み重ねることによって、徐々にカラダが変化していくのです。

例えば、1回あたりのトレーニングを3時間行うよりも、1時間のトレーニングを3回行った方が効果は高いと言えるでしょう。

予めトレーニングの終了時刻を決めておくと、効率性が上がる

予めトレーニングの終了時刻を決めておくと、効率性が上がる
トレーニングを実践するにあたり、その日の気分次第でなんとなく取り組んでしまうと、結果ダラダラと過ごして、無駄に時間が長くトレーニング全体が非効率になってしまいます。

その非効率さを無くすためには、予めどれくらいの時間をトレーニングに費やすのかという終了の時刻を決めておき、その時間内でやりたいトレーニングを行っていくやり方のほうが集中して取り組めます。
例えば「今日は1時間だけ」や「○時までにはトレーニングルームを出る」など、終了の目安時間を決めてから開始するようにしましょう。
もし、事前に決めた時間内だけでは少し物足りなさを感じるようであれば、余った時間をみた上で追加のトレーニングメニューを増やせばいいのです。

また、トレーニングの開始直前になって「今日はナニしよう…」などと、あれこれ計画を練ることも時間の無駄遣い。トレーニングウェアに着替える前、またジムに着く前には、今日はどの部位を鍛えて、どんなエクササイズをしようかという大体のメニュー・時間配分を決めておくと、よりスムーズにトレーニングを始めることができるでしょう。

【目的別】トレーニングに効果的な「量」と「時間」を考えよう

ここからは、トレーニングの目的別に最適な「量」と「時間」の考え方についてご紹介したいと思います。

(1)筋肉をつけたい場合

筋肉をつけたい場合
筋肉をつけたい場合は、ある程度筋肉に負荷をかけなければ目立った効果は期待できません。そのため、1回あたりに取り組むべきトレーニングの量としては比較的多い方が望ましいと言えるでしょう。

例えば、毎回トレーニングのたびに全身を鍛えるようなメニューの組み方をしていては、当然1箇所の部位を鍛えるための負荷に時間がかかり、結果的にトレーニングの時間が長くなってしまいます。
そのため、筋トレ1回あたりにおいては「胸」「肩」「背中」「下半身」「腕」など、鍛えるべき筋肉の部位を分け、それぞれターゲット毎に追い込んで取り組んだ方が効率的と言えるでしょう。
そうすれば、トレーニングの時間は短くなり、集中力を保ちながら狙った部位にしっかり負荷を加え、筋力アップにつなげることができます。

また、筋肉の部位をそれぞれ分けて追い込んだとしても、大体1時間近くはかかってしまうもの。ですので、より効率的に筋肉を鍛えたい人は、まず1時間という限られた時間配分を目安にトレーニングのメニューを作成してみるのが良いでしょう。

(2)痩せたい場合

痩せたい場合
ダイエットなど痩せることが目的の場合、運動の量がそのまま体重の変動に反映しやすいため、ある程度の時間を費やしトレーニングに取り組むのが望ましいでしょう。

ダイエット中は、筋トレで筋肉の量を増やしカラダを引き締めることはもちろん、毎回のトレーニングで15分程度を目安に有酸素運動も合わせて取り入れ、筋肉を増やすことと同時にカラダを絞るメニュー設計がより効果的です。
そのため、ダイエット中は筋トレや有酸素運動など、比較的取り組むメニューの内容も多く、それなりに数や量をこなす必要があるため、大体1回あたりに費やすトレーニング量としては、1時間くらいを目安にメニュー設計すると丁度いいでしょう。

その上で、例えば「筋トレだけで1時間かかってしまう…」など、トレーニングの時間配分が上手くいかない人は、おそらくセット間やエクササイズ間のインターバル(休憩)が長い可能性が考えられます。
本来、ダイエットで痩せることが目的なのであれば、運動中の心拍数をなるべく落とさないことが大事ですので、極力インターバルに費やす時間は短めに設定するのがベスト。インターバルの時間は、大体20秒~長くても1分以内に抑え、時間がきたら次のエクササイズを再開するくらいのスピード感が望ましいでしょう。

インターバルの時間を短く設定することによって、もちろんトレーニング全体にかかる時間も短縮できますし、何より有酸素運動としての効果も加わり、その分脂肪も燃焼しやすくより効率的に痩せることができます。
特にダイエット中は、全体的にダラダラしてしまいやすい傾向がありますので、トレーニング中は世間話に熱を入れないよう十分に注意しましょう。

(3)健康維持やストレス発散したい場合

健康維持やストレス発散したい場合健康維持やストレス発散が目的の場合は、「いかに楽しめるか?」がポイントになります。そのため、筋力アップやダイエットを目的としたトレーニングと違って、そこまでカラダを追い込むほどの負荷は必要ありません。

例えば、ストレス解消を目的に筋トレを行うのであれば、最終的にリフレッシュすることが大事になりますので、大体30分くらいを目安に全身を動かすようなエクササイズメニューを組むのが望ましいでしょう。

また、ジムに行けばスタジオレッスンによるエアロビクスやプールなど、ひとつの場所でさまざまなプログラムに取り組むこともできます。筋トレと組み合わせながら、自分好みのトレーニングを楽しみましょう。

(4)トレーニング初心者の場合

トレーニング初心者の場合
初心者の場合は、トレーニングの量や時間にこだわらず、まずはトレーニングに対する習慣づけを行うことが第一ステップです。
そのため、予めトレーニングの時間を30分くらいと短めに設定しておき、その分トレーニングに取り組む頻度を増やすことを目標にしましょう。

もしくは、比較的時間に余裕のある方であれば、事前に取り組むエクササイズメニューを作っておき、それを一通り消化したら終えるという、あえて制限時間を設けず全メニューをこなして終了というやり方でも構いません。そうすれば、トレーニングの初心者によくありがちな「何をすればいいか迷ってしまう…」ということも無く、時間を効率的に使ってカラダを鍛えることができます。

「もう少しやっておきたいな…」と思うくらいで止めておくのが、トレーニングを継続させるコツです。

(5)トレーニングが習慣化されてきた場合

トレーニングが習慣化されてきた場合
トレーニングの負荷にも慣れ、ある程度毎日の運動が習慣づいてきた場合は、同時間内で取り組めるトレーニングの量を増やしていきましょう。トレーニングの内容もその日の時間に合わせて自分で柔軟に選べるようになれば尚ベストです。

「今日は30分の予定で〇〇と〇〇をしよう」や「今日はちょっと疲れてるから〇〇をしよう」など、その日の時間やコンディションなど、さまざまな条件の中で最適なエクササイズの方法を選び、効率よくトレーニングに取り組めるようになれば一流です。

その日の天候や状況、目的に合わせて、トレーニングの量や時間配分・内容を自分自身で調整することによって、より高い効果の実現が期待できるでしょう。

トレーニングの目的毎に、最適な「量」と「時間」を決めましょう

トレーニングをこなす数や量、また取り組む時間の長さは、あくまで効果を出すための一要素にすぎません。
量や時間を多めに設定するあまり、トレーニングの質が低下したりトレーニングに対するモチベーションが下降したりしてしまっては、肝心の目的を達成することは難しいでしょう。

今回ご紹介した、トレーニングの量や内容はあくまでも目安です。トレーニングの時間配分に迷った時など、メニューを組み立てる際の参考に役立ててください。

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この記事のライター
和田 拓巳
和田 拓巳
プロスポーツトレーナー歴16年。 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガに関する知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関す...