【ビジネススーツ】生地素材の種類と特徴、それぞれの価格帯まで詳しく解説!

男性が仕事で着用する機会の多い「ビジネススーツ」。実際に店頭などでスーツを購入する際『何を基準に選べばいいのか?』と判断に迷うことも少なくないでしょう。

そこで今回は、ビジネススーツに使用されている生地素材の種類と特徴・それぞれの価格帯まで、実際にビジネススーツを選ぶ時に見るべきポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

スーツを「買うor買わない」の判断基準

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昨今は、わざわざ店舗に足を運ばずとも、インターネットを介すなどで、実にさまざまなモノが手に入りますが、男性の仕事着「ビジネススーツ」においても、百貨店・量販店・オーダースーツを取り扱う注文服店以外にも、アウトレットや大型スーパーなど、いろいろな場所でスーツを購入することができます。

販売価格も1万円を下回る安価なスーツから、20万円以上もする高級スーツまで、値段ひとつを見ても商品ラインナップはさまざま。それでも私たち消費者にとっては、販売店舗・メーカー各社の価格戦略により、スーツの購入時に選択肢の幅を広げられるという点においては間違いなくメリットといえるでしょう。

しかし、スーツの購入を単純に”安いor高い”という値段重視の判断のもと決めてしまうのはド素人の考え方。そもそもスーツの販売価格は「生地」「裏地」「芯地」「形」「縫製」「生産数」、そこに「流通」なども加わり、複合的な要素から決定されているのです。もちろんスーツを購入する際には、すべての要素を理解したうえで”買うor買わない”の判断ができればベストですが、すべてを理解することはとても困難なこと。またプロの販売店員ともなれば話は別ですが、購入を主目的とする一般消費者の私たちがすべての要素を理解する必要もありません。

そこでビジネススーツを購入する際の判断基準として重要なことは、見るべきポイントを絞り、見極めるべき項目を明確に理解すること。

ここでは、市販のスーツにタグ付けされている「品質表記」の項目と見方、確認すべきポイントについてまとめています。

これで大方のスーツは、自分自身の目で「最低限の良し悪し」「買うor買わない」の判断が可能になるでしょう。

スーツの生地素材「糸」と「〇番手」の関係

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ビジネススーツに使用されている「生地素材」は、見た目はもちろんのこと値段の違いにも密接にかかわるため、スールの購入を判断する上でも最重要チェックポイントといえるでしょう。

一般的に服飾の生地は織り方と織り糸の性質でチェック柄やストライプ柄、また生地の厚さや硬さを表現できますが、今回はスーツ生地の中でも「素材」に注目していきます。

まず、スーツ生地は「糸」を原材料として作られています。そして織ったときにわかる生地の堅さ・柔らかさも、実は原材料であるこの「糸」が関係しているのです。

さらに、このスーツ生地に使用される原材料「糸」の基本的な考え方は、細い糸で織った生地の方が、仕上がりが柔らかく、しなやかで上質であること。

*「糸」の太さは〇番手と表現され、数字が大きくなるとより細い糸になります
(例)60番手よりも80番手のほうが「細い糸」として区分されます

スーツ生地を見る際は、この「番手」が高い数字ほど、上質で高価格帯となる傾向がありますが、一般の既成服を販売しているお店ではスーツの品質表記タグに「番手」を記載していることは、ほとんどありません。
確認する手段としては、(1)自分の手で触り生地の堅い・柔らかいを感じて判断する、(2)店頭スタッフに聞く。実際には、この2つの方法しかありません。

スーツ選びは「毛100%」が基本

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もう一つ、スーツに使用されている生地素材が本当に良質なモノかどうかを見極めるための方法としては、主にスーツの袖口部分に付いている“品質表記タグ”に記載されている内容を見て判断することをオススメします。

まず素材表記欄には、スーツに使用する生地素材の基本である「毛100%」が記されているかどうかをチェック。
「毛100%」のスーツ生地は、吸湿性・復元性・光沢感・手触りなど、すべての項目において人工素材の化学繊維よりも優れている点が多く、スーツに使用する生地素材としてふさわしい条件が揃っています。

実はこれ、昔からの伝統を重んじて作られるビジネスアイテム全般に当てはまる特徴でもあります。
たとえば、「時計」はデジタル表記ではなくアナログ表記がいまだに主流。「ビジネスシューズ」も紐で締めるタイプが主流で、マジックテープ式のタイプが流行ることはありませんよね。
このようにビジネスやフォーマルシーンで使用されるアイテムには、家電やスポーツウエア、自動車などとは一線を画した昔ながらの素材やスタイルが残っているのです。

タグ内「生地メーカー」を調べる

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さて、スーツの生地表記のご紹介に戻ります。

「表地」と表記されていることの多いスーツ生地ですが、「毛100%」の中でも『舶来(はくらい)』の生地素材を使用しているケースが、ここ10数年の主流になっています。外国製の『舶来』で仕上げたスーツの価格は、安くても4万円、高いものでは20万円を超える金額の相場感になります。

このスーツに使用している生地素材が舶来かどうかを確かめる方法としては、スーツの袖口部分に付いている品質表記タグの「生地メーカー」を調べればわかります。それなりに名のある店舗であれば、生地メーカーがどこかを、そこまで不安視する必要はありませんが、もしメーカー名の表記がない場合や聞き覚えのないメーカー名が表記されている場合は、店頭スタッフに直接聞いて確認してみるのもいいでしょう。

タグ内「super 〇〇〇'S」の見方

生地メーカーを確認した後は、品質表記タグの下部「super 〇〇〇'S」と表記されている部分をチェック。

ここに表記される「super 100'S」や「super 120'S」とは、糸の元となる『原毛』の基準値を示すもの。数字の定義としては「原毛1㎏=糸の長さ(距離)にして120㎞」という理論値からきています。そしてSuper以後の〇〇の数字が高い値ほど、より細い糸で作られている証明にもなるというわけです。
また、本来のビジネススーツとしては「super 100'S~120'S」の値が、日常的にもっとも使用に適した数字であることも合わせて覚えておくと良いでしょう。
この原毛の基準値を兼ね備えたビジネススーツであれば、5万円〜10万円の価格帯が多く、日常的にスーツを着用する方であれば、強度・着心地の面を考慮すると一番ビジネスシーンに適したスーツといえるかもしれません。

この原毛クラスのひとつ上、super 130'S以上にもなると、繊維の素材が柔らかく、綺麗な光沢感が出る反面、糸が細すぎてシワの原因にもなりやすく、とても繊細な生地のため、場合によっては破れやすくなる傾向が見て取れます。
さらにsuper 130'S以上の原毛は、金額も一気に跳ね上がり、最低でも10万円を超える高級価格帯。この手のハイクラスな生地素材は、お祝いのパーティやここぞ!という勝負スーツとして着用するのが最適でしょう。

「super 〇〇〇'S」 =「番手」ではない

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「番手」にはじまり、品質表記タグの「生地素材の種別」「生地メーカー」そして「super 〇〇〇'S」についてご説明したところで一つ注意点。

・【番手】=糸の細さ
・【super 〇〇〇'S】=糸の原料を示す表記

この理解から「super」の数字が上がれば「番手」も高くなり、結果『細い糸』につながりますが、ここの数字は決してイコールではありません。


これは、例えばsuper 120'S表記の生地があった場合、この生地には必ずしも100%のsuper 120'Sの原毛を使用しなくとも、1%でも使用してさえいればsuper 120'Sと表記出来てしまうことが関係しています。事実、同じ120'Sと表記されたスーツ生地の中にも、手触りが良いものとザラザラと手触りの悪いスーツが存在しています。

しかしそうはいっても、比較的誰にでもスーツ生地の「良し悪し」を簡単に見分けられる判断材料の基準であることに変わりはありませんので、覚えておいて損はありません。

「ポリエステル混紡生地」を使用したスーツの特徴

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続いて、「毛65%ポリエステル35%」や「毛50%ポリエステル50%」等と表記され、ポリエステルの素材が10%以上混入され生地を使い作られたスーツも存在します。
ポリエステル素材が使用されたスーツの魅力は、なんといってもその安さ。おおよそ2万円以下の価格帯で購入することが可能です。

そしてポリエステルの生地素材で作られたスーツの特徴は、以下4点。
(1)生地が安価であるため、販売価格を抑えることが出来る
(2)水に濡れても縮んだり固くなったりし難い
(3)シワになりにくくアイロンプレスをしたパンツの折り目が取れにくい
(4)ジャケットの肘やパンツの膝が出難い

しかしその一方で、ポリエステル素材を使用したスーツには短所も多く見られます。
ポリエステル生地が固く伸び縮みしない(伸縮性が低い)、吸湿性がほとんど無いため、ゴワゴワした着心地で、蒸れやすく、不自然な光沢感が出やすい等の欠点があるのです。

しかしこれらの欠点を理解した上で、悪天候時の通勤用・出張時の着替え用・普段スーツを着る機会が少ないため出来るだけ安くスーツを購入したい等、使い方や利用用途などを考慮すれば、いくらでも短所を長所に変えられるでしょう。

「ポリウレタン混紡生地」を使用したスーツの特徴

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続いて、「毛97%ポリウレタン3%」等と表記され、ポリウレタンが数%混入された生地を使って作られたスーツは、、おおよそ2万円台から5万円台の価格帯で購入することが可能です。

そしてポリウレタンの生地素材で作られたスーツの特徴は、以下2点。
(1)スーツの伸縮性が高く、体にフィットした着心地が得られる
(2)生地が伸び縮みするので肘や膝が出難い

「ポリウレタン混紡生地」を使用したスーツの特徴は、なんと言っても数%(10%以下)のポリウレタンを織り込むことで生まれる、独特の伸縮性。「毛100%」でも伸縮性のある生地は作れますが、ポリウレタン繊維を使うことで、より金銭コストを抑えたスーツ生地を作ることが可能になるのです。

一方こちらの欠点としては、ポリウレタン繊維は劣化が早く、数年経つと古いゴムのように切れてしまいます。またポリウレタンが数%でも混ざった生地が劣化すれば、スーツ生地全体が白っぽく色褪せてしまい、全体的に毛羽立ちが目立つこともあります。

普段から外回りが多い営業職や、作業などで体を動かす機会の多い人など、日常的にビジネススーツを身につける機会の多い方に向いたスーツといえるでしょう。

今回は、ビジネスマンの仕事着「スーツ」に使用されている生地素材の種類と特徴・それぞれの価格帯など、実際にビジネススーツを購入する時に見るべきポイントについて詳しく紹介してみました。

スーツの色や柄・形などは、人それぞれ好みの分かれる部分ではありますが、自分がスーツを身につける着用頻度・着用シーンにおうじて上手に選んでみましょう。これからスーツを購入する方の参考になれば幸いです。

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。