【ツイード生地の魅力を大公開!】段違いに暖かい素材のヒミツから手入れの仕方・着こなし方まで。

極寒の冬シーズンはもちろんのこと、昼と夜の気温差が激しい日や、ちょっと肌寒いけど身軽な服装で出かけたい時など、一年を通して何かと身にまとう機会の多い厚めの生地。
しかし一言で厚めの生地と言っても、ウール素材を使用したごくごくスタンダードな生地から防風加工が施されている生地、化学繊維を使用した保温性に優れた生地まで、実にさまざまなタイプが存在します。

今回は、そんな厚めの生地タイプの中でも、特に男性の皆さんにオススメしたい「ツイード生地」にスポットをあてて、生地の特徴から魅力・種類やお手入れ方法まで網羅的にご紹介したいと思います。

ツイードとは?

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まず「ツイード」という名前の由来は、その昔イギリスやスコットランドで“毛織物の一種”として作られていた太い羊毛で織られた生地を指します。
ツイードの織り方は基本的に「平織り」と「綾織り」の2通り。

またツイードの歴史を紐解いていくと、およそ今から200年前の18世紀頃までさかのぼります。元々はスコットランド地方の厳しい寒さに耐えられる作業着としてツイードの織り方が誕生したと言われています。

そして18世紀以降にはイギリス本土でもツイードが幅広く認知されるようになり、主に紳士がたしなむハンティングジャケットやニッカポッカパンツなどのスポーツウエアとしてツイード生地が使用され、一気に高級紳士服地の仲間入りを果たしました。

日本国内においては、古くからイギリスの洋服文化が入り込んでいたこともあり、およそ今から100年前の1930年代頃から春・秋・冬向けの生地として流通していたと言われています。

ちなみに呼び名の観点で言うと、当時は原産地であるイギリスやスコットランド地方で生産された生地のみをツイードと呼んでいましたが、今現在ではその他の国で生産された同様の織り方もツイードと呼ばれようになり世間に広く流通しています。

ツイード生地の魅力

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ツイード生地の特徴は、なんと言っても生地が非常に分厚く、着心地が暖かいという点が挙げられるでしょう。

ツイード生地は、一般的なスーツ生地に比べて触り心地がボリューミーで、スーツ生地の中でも比較的毛足が長く厚手と評される“フラノ”や“サキソニー”の生地素材と比べてもかなり厚みがあり、ザラッとした感触のものがほとんどです。

このツイード生地が他の生地素材に比べて、厚みを生む最大の理由は、ウールの原毛が違うということが挙げられるでしょう。

一般的にスーツ生地などのウール素材には、原毛にメリノ種の羊毛を使用したメリノウールが最も流通しているのですが、メリノ種の原毛は基本的に毛が細く手触りも滑らかなため、いろいろなサイズ感の糸に変形させやすく、ウールの洋服素材として適応力抜群。

一方ツイード生地の場合は、基本的にシェットランドやチェビオット種といった寒い地方で育った羊の原毛を使用することが多いため、繊維はしなやかながら張りが強く、その糸で織ったツイード素材は風合いと手触り感がザラッとした生地に仕上がります。

昨今の細い糸を使用して織った薄く滑らかな手触り感の洋服とは真逆で、ある意味無骨ともいえるツイード生地の風合いは、他の生地ではなかなか出せない独特かつ趣のある雰囲気を漂わせます。
まさにファッション一つで、どっしりと落ち着いた大人の風格を出せる点が、ツイード生地一番の魅力とも言えるでしょう。

ツイード生地の種類。世界4大ツイードとは?

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ツイード生地に使用されている種類の中で、世界4大ツイードと呼ばれるものは以下4つ。

【1】シェットランドツイード

シェットランドツイードは、スコットランドのシェトランド諸島で生産される羊毛を使用し、梳毛(そもう)と呼ばれる滑らかな糸で織られたツイードです。無骨なツイード群の中でも比較的滑らかな手触り感が特徴的な生地素材と言えます。

【2】ドネガルツイード

ドネガルツイードは、アイルランドのドゴニール地方で生産されるツイード生地です。一番の特徴は、ホームスパンと呼ばれる意匠糸(太さにムラのある糸や一部分に色の付いた糸)を採用している点が最も有名です。

【3】チェビオットツイード

チェビオットツイードは、イングランドとスコットランドの境付近にあるチェビオットヒルズ周辺で作られるツイード生地です。
比較的ツイードの中でも織が詰まっていている生地である点が特徴的です。

【4】ハリスツイード

ハリスツイードは、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で生産されるツイード生地です。
また生産されたツイード生地の中でも、ハリスツイード協会が認める、ある一定の基準を満たした生地には、オーブの独特なブランドタグが付けられます。
ハリスツイードは、他のツイード生地に比べてもゴツゴツとした手触り感が特徴的。
このゴツゴツとした手触り感を生み出す生地の織り方として、ホームスパン・千鳥格子・大柄なチェック模様、そしてヘリンボーンと呼ばれるニシンの骨に似た折り柄が有名です。
こちらのハリスツイードについては、次の項目でさらに詳しく解説したいと思います。

ハリスツイードとは?

世界4大ツイードの中で最も有名かつ人気のあるハリスツイード。
ファッションに詳しくない男性の皆さんも、これまでに一度くらいはハリスツイード協会が認めた王冠タグを見たことがあるのではないでしょうか。

しかしここで一つ気を付けたいのが、ハリスツイードは生地メーカーでは無く特定の生地を示す総称であること。
ツイード生地の製造が得意なメーカーとしては主にMOONやLOVATなどが挙げられ、それらのメーカーは基本的に自社で企画した柄を自社工場で織りますが、ハリスツイード生地は協会が規格を定めて、その基準に達した生地のことを指します。

かつては、日本国内のメーカーにもハリスツイードに似た風合いを持つ生地を製造する会社はいくつか存在しましたが、今ではほとんど姿を消しました。
またイギリス本土に行けば、今でもハリスツイードに似た生地は手に入りますが、残念ながら日本国内においては本家のハリスツイードのみしかなく、他で類似する生地素材を探すのはかなり困難でしょう。

その年によって色柄は変われども、他のツイード生地にはない段違いの軽さとその割に厚みのあるボリューム感、そしてゴツゴツとした独特な手触り感をもつ生地を国内市場へ安定的に供給できるのは、今や本家のハリスツイードだけなのです。

ツイード生地の手入れ方法

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ツイード生地の手入れをする基本は、その他の羊やアルパカ・アンゴラ生地の手入れと同じくブラッシングを行うことです。

ツイード生地の衣服を着用した後は、必ず豚毛で作られた洋服用のブラシで埃や繊維の絡まりを取るように優しくブラッシングしてください。特にツイード生地は、襟袖やパンツの内側など着用して擦れる部分は毛玉が出来やすく、他の部位よりも念入りにブラシを掛けましょう。

もし毎日のブラッシング掛けでも毛玉が出来てしまう場合は、それもツイードの味と捉えても良いですし、どうしても気になるようであれば、毛玉を手で摘まんでハサミで切ってください。
ちなみにツイード生地の毛玉を手で引きちぎると、ちぎれた繊維が毛羽立ち、そこからまた新たな毛玉が出来やすい点は、セーター類と全く一緒の原理です。

またツイード生地は、クリーニングに出し過ぎるともともと繊維にある羊の油が抜けてしまいます。

そのため、ある程度の汚れは基本的にブラッシングのみの手入れでカバーし、出来るだけクリーニングに出す機会を避けることもツイード本来の風合いを保つコツになります。

ツイード素材を使った着こなしの作り方【ビジネスシーン編】

ここからは「ビジネスシーン」と「カジュアルシーン」で、それぞれツイード生地を使用した着こなし方をご紹介します。

まずはビジネスシーンでツイード生地のアイテムを選ぶ場合は、テーラードジャケットが断然おすすめ。
ツイード生地を使用したテーラードジャケットには、無地タイプのものからホームスパンやヘリンボーンなど凝った柄タイプもあります。

たとえば紺色の無地生地を使用したテーラードジャケットであれば、グレーのフラノやサキソニー生地のパンツを合わせてみましょう。着こなしのイメージとしては、ブレザーを羽織る時と全く同じ感覚です。
ただしパンツに同素材のツイード生地を持ってくると、若干カジュアル寄りが強く出てしまいますので、カチッとしたビジネスの場には避けたほうが無難でしょう。

またワイシャツにネクタイを合わせる場合は、ジャケットと同様にニットや毛足の長いウール素材を使うと、全体的なまとまりが良くなります。

ツイード素材を使った着こなしの作り方【カジュアルシーン編】

続いては、ツイード素材を使用したカジュアルシーンの着こなし方。

おそらくツイード生地を使用した着こなしコーデの中で、一番扱いやすいアイテムはカジュアルジャケットとブルゾンの2つでしょう。これら2つは、市場に最も多く出回っているアイテム群になります。

まずカジュアルシーンに着こなすアイテムを選ぶ際は、全体的なシルエットやボタンなどの細かいディティールが、よりカジュアル寄りのものを選ぶとコーディネートも作りやすくなるでしょう。

たとえば上着のテーラードジャケットも、あえて肩パットのないものや革ボタンや木のボタンが施されたタイプのものを選ぶと、カジュアル感とオシャレ感で全体的にラフな印象を与えられます。
またジャケットに合わせるパンツも、基本的にはチノパン・コーデュロイ・カーゴ・デニムなどカジュアル寄りのパンツから選んで穿きましょう。もしさらなるカジュアル感を演出したいのであれば、テーパードタイプの少し太めのパンツを穿くのもアリです。

カラダの動作時に多少のシワが入っても、生地が毛羽立ち、逆に“味のある着こなし”が作れてしまうのもツイード生地ならではのメリットです。

昔から寒さを凌ぐアイテム素材として重宝されてきたツイード素材。
ツイード生地を使用したファッションアイテムの魅力は、なんといっても厚めの生地で保温性が高く手軽に暖かいコーデが作れることです。

織り方やデザインタイプなど、さまざまなツイード生地がある中から、ぜひ自分に似合うお気に入りの一着を探してみてください。

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。