スーツ・ネクタイに似合う「ワイシャツ襟」の特徴、全9タイプ

ビジネス向けのワイシャツは、実に様々な種類・タイプが存在します。
スーツスタイルの下地にもなるワイシャツの特徴を理解しておかないと、トータルバランスもズレた着こなしに仕上がってしまいます。そこで今回は、ワイシャツ襟の形(タイプ)、特徴のご紹介から、それぞれのワイシャツがどのスーツやネクタイに似合うのかについて解説していきたいと思います。

襟タイプ①|レギュラーカラー

レギュラーカラーとは、ワイシャツの中でも定番中の定番。基本的な構造/形をしたワイシャツのことを言います。

現代のワイシャツの原型ができたのは19世紀初頭。それまでの装飾的かつ派手な形をした襟からシンプルな立ち襟となり、その後に折り襟、レギュラーカラー等のスーツに合わせる襟へと進化していきました。

襟の長さは75ミリ程度、開きは75度〜90度前後のとてもシンプル。さらに襟の中には芯が挿入されているため、ハリのある襟先に仕上げています。

スーツの生地・形を選ばず、割とどんなタイプにも合わせやすい汎用的なワイシャツといえます。

襟タイプ②|ボタンダウンカラー

元はアメリカ・ブルックスブラザーズから発案された、襟先をボタンで留めるタイプをボタンダウンカラーといいます。

襟の中には芯を入れない構造のため、ネクタイ締めにボタン留めをすれば、襟元から襟先まで一直線上にきれいなカーブを描きます。

最近では、シャツ屋さんでもボタンダウンカラーのワイシャツを良くみかけますが、襟の形としては、比較的カジュアル向き。発祥元であるアメリカントラッドのスーツやブレザーに良く合いますが、反対にエレガントな細番手生地のスーツや繊細なイタリア仕立てのスーツにはあまり合いません。

また、ビジネスシーンに着用しても問題はありませんが、かしこまった商談時や海外のビジネスパーソンと面談する際には避けるほうが無難でしょう。

襟タイプ③|タブカラーシャツ

襟先に付けられたスナップボタンのつまみ紐が特徴のタブカラーシャツ。

このタブカラーシャツが誕生したと言われる1980年代は、実にさまざまな色付けしたシャツが製造されていました。

襟の開きはレギュラーカラーよりも狭く、襟中には芯が挿入されていないためネクタイを締めた際、襟元をコンパクトかつエレガントに彩ってくれます。
さらにワイシャツの生地に用いる素材もとても柔らかく、繊細な生地をもとに作られたスーツや細身タイプのネクタイに良く似合います。

少しカジュアル寄りでおしゃれに着飾りたいビジネスシーンやパーティー等のドレスアップするシーンに着こなしたいワイシャツといえるでしょう。

襟タイプ④|ピンホールカラー

ピンホールカラーは、襟の開きや襟中に芯が挿入されていない点はタブカラーと同じ仕様ですが、襟先に穴(ハトメ)を開け両端の穴をピン(金属の丸いバー)で留めるという襟の仕様が異なり、それがピンホールカラーの特徴でもあります。

また、今どきのビジネスシーンでアクセサリーを身につけることは、あまり好まれることではありませんが、このピンホールカラーのピンはその中でもネクタイを留めるタイバー、袖のカフスボタンに次いで嫌味なく身に着けられるアクセサリーでもあります。

ワイシャツ留めのピンは、単品でも販売されており、色はシルバー・ゴールドの他に真鍮の色をいかしたクラシカルなもの、ピンの先端に石や刻印されているものまで様々あります。

襟タイプ➄|ショートカラー

ショートカラーのワイシャツは、襟の開き方こそレギュラーカラーと同仕様ですが、襟が短く、コンパクトになっている点が特徴的。

このショートカラーのワイシャツは昔から存在こそしてはいたものの、カジュアル向けの着こなしがほとんどで、ビジネス向けに取り入れられるようになったのはごく最近のこと。

ショートカラーが登場した1980年代当時は、細身や結び目の小さいネクタイをワイシャツに組み合わせる際、ワイシャツにはタブカラーもしくはピンホールを選ぶことが一般的。しかし近年では細身タイプのネクタイと組み合わせる際は、このショートカラーを選ぶことが主流となりました。

また「ショートカラーのワイシャツ×細身のネクタイ」を組み合わせた着こなしは、全体がよりシャープに仕上がるため、上着には着丈が短くラペル(ジャケット襟の折り返しのこと)幅が細いスーツを組み合わせることでトータルバランスが一層美しく仕上がります。

襟タイプ⑥|ロングポイントカラー

ロングポイントカラーのワイシャツは、1930年代に誕生。レギュラーカラーよりも襟の長さが特徴です。

このロングポイントカラーのワイシャツには、ネクタイは厚手のタイプもしくは結び目の大きいタイプとの相性が◎。上着のジャケットにはラペル幅が広く、着丈の長いスーツタイプが良く似合います。

1994年前後の日本国内において、ロングポイントカラーのワイシャツはダブルカフスの袖と共に一時的な流行をみせましたが、今どきのビジネスシーンで着こなしている姿はあまり見かけずまだまだ少数派といえます。

しかしTPOの観点からみても、ビジネスシーンでの着用は何の問題もありません。とくにクラシカルなスタイルを演出したいとき等にはピッタリの着こなしアイテムではないでしょうか。

襟タイプ⑦|ワイドスプレッドカラー

ワイドスプレッドカラーとは、襟中の芯の挿入はレギュラーカラーそのままに、名前の通り襟の開き角度が100~120度まで広がったワイシャツのことをいいます。また英国のウインザー公が好んで着用していたことからウインザーカラーとも呼ばれています。

このワイドスプレッドカラーは、ジャケットのラペルが広いスーツと太いネクタイもしくは、結び目の大きいネクタイを身につける際にとても相性良く着こなせます。

しかし今の時代は、細めのネクタイにワイドスプレッドシャツを組み合わせる着こなしも主流のため、そのうち定着する可能性もありますね。

襟タイプ⑧|クレリックカラー

クレリックカラーとは、襟と袖部分が白無地のシャツ生地で折り返してあるワイシャツのことをいいます。1920年代のイギリスが発祥元で、同じ時期に襟先が丸いラウンドカラータイプのワイシャツも数多く発売されていました。

着こなしとしては、ブリテッシュスタイルのスーツをドレッシーに着こなす際などに最適なワイシャツですが、イタリアンスタイルやアメリカントラッドのスーツと組み合わせても特別違和感はありません。

日本国内ではクレリックカラーのワイシャツ一枚でも様になってしまうため、ネクタイを締めなくとも襟のロールを綺麗にみせられるボタンダウンシャツと同様、クールビズ向けとして着用されることも珍しくはありません。

襟タイプ⑨|ダブルカラーシャツ

ダブルカラーシャツとは、2枚重ねの襟のうち1枚の襟をシャツ本体とは別の生地を使用したワイシャツのことをいいます。別名2枚襟と呼ばれたりもしますね。
同様のタイプに襟先のみ別素材が使われたカラーがありますが、あれをマイスターカラーと呼び、このダブルカラーとは分けて使われます。

最近ここ10年ほど前から量販店でも良くみかける襟の形で、襟先がボタンダウンになっているタイプのワイシャツも数多く販売されています。

歴史的な背景はほぼ見当たらず、イギリス・イタリア・アメリカ等の伝統的なスーツや靴との相性はあまり良くありません。

着こなしのシーンとして、フォーマルな場には不適切ですが、襟元にインパクトを残したい時やいつもの着こなしスーツに新しいスタイルを取り込みたい時などに着用されてみることをオススメします。

今回はスーツの着こなし時に欠かせない「ワイシャツの襟」に注目して形・タイプから特徴についてご紹介してきました。たかだかワイシャツといえ、種類やタイプは実にさまざま存在しますね。
これからスーツにネクタイを着用する際は、ぜひワイシャツの選び方にも意識を向けてみると、よりオシャレな着こなしを楽しめるのではないでしょうか。

ファッション #ワイシャツ #襟 #スーツ #ネクタイ

この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。