実はあまりよく知らない!? DCブランドの草分け的存在「タケオキクチ」の魅力を徹底解説!

DCブランドの中で、ポールスミスと同じくらい知名度の高い「タケオキクチ」。
中高年の男性には比較的なじみの深いブランドですが、名前自体は聞いたことはあるけど、実はあまりよく知らない…という方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、DCブランドの草分け的存在であり、いまだに最前線で活躍する「タケオキクチ」のブランドが誕生した時代背景を紐解きつつ、それぞれの特徴や魅力について初心者の方でも分かりやすく解説していきたいと思います。

「タケオキクチ」とは?

タケオキクチは、1984年にメンズ服ブランドとして設立。
ブランドの立ち上げから既に30年以上が経過しており、DCブランドの中でもかなり歴史のあるブランドですが、いまだに多くのファンに支持されているブランドです。

そして「タケオキクチ」のブランド創立者およびデザイナーは菊池武夫さんですが、この菊池さんは1975年に設立された“メンズビギ”の創立者でもあります。

当時のメンズビギといえば、数あるDCブランドの中でも最も人気のあるブランド銘柄。
たとえば街中で、メンズビギのスタジアムジャンパーを持つことがステータスになるほどの人気っぷり。そんな人気絶頂期にあるビギから独立して、改めて自分のやりたい事をやるために株式会社ワールドでタケオキクチを立ち上げます。

デザイナーとして、ブレない方向性と過去の栄光に縛られない姿勢は、今でもタケオキクチのDNAとして息づいているのです。

DCブランドが苦境に立たされた時代背景

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洋服は常に“新鮮さ”と“飽き”を繰り返しながら変化していくもの。それが流行であり、時代の流れでもあります。

そして、DCブランドも例外なく1990年代前半から徐々に始まった、シンプルさの追求やライフスタイルの変化によって、さほどファッションに予算をかけず、低価格帯の洋服がより消費者に好まれる流れに飲み込まれていきます。

あるDCブランドは倒産、または消滅し、あるブランドは経営権を大手企業に売却したりと、時代の変化にあわせて四苦八苦しつつも、各社生き残りをかけ、その時代にあった商品作りに邁進していくのです。

そんな時代の中作られた洋服は、無難なシルエットに色柄は無地、素材は綿を中心と、DCブランド最大の強みでもある自社で開発したオリジナルの生地や、各ブランドで異なる特徴的な尖りのようなものは一切なくなり、ごくごく平凡で無難な商品展開へと変わってしまいました。

それらの洋服も、はじめの頃こそ売れ行きはそこそこ好調でしたが、しかしそれは各DCブランドが、これまでコツコツと築き上げてきたクリエイティビティと名声による貯金で売ったようなもので、それから数年が経ち、普通の服屋さんで買った洋服とあまり変わらないことに気付いた消費者は、徐々により安い普通の服メーカーへと流れていきます。

時代に取り残されたDCブランドは差別化を図るべく画策しますが、その頃のDCブランドにはもはやオリジナルの生地を作ることも、新たなスタイルを提案する余裕もなく、多くのDCブランドが消えゆき、或いは店舗数や売上の縮小を余儀なくされていくのでした。

キクチタケオが生き残ってきた理由

シンプルな服、安価な服が求められる時代背景においても、タケオキクチは立ち上げ当初から変わらない洋服を作り続けました。

もちろん、各世代や顧客毎の要望に応じるためのセカンドライン的なブランドやファミリー向けのショップ展開はしていますが、同じく生き残りをかける他のDCブランドと大きく違った点は、メインブランドであるタケオキクチのブランドコンセプトを変えなかったこと。コンセプトの軸が変わらなかったため、セカンドラインのブランド展開時においても『あのタケオキクチの〇〇!』と、新ブランドにも箔がついた状態で販売できた点は勝算の理由として挙げられるでしょう。

また当時のDCブランドは比較的小規模な経営体制が多かった中、タケオキクチの母体はアパレル大手のワールドで、DCブランドが全体的に冷え込んだ冬の時代でも資本力で持ちこたえられたという点もタケオキクチが生き残れた理由として挙げられるかもしれません。

しかし資本力に優れていたとはいえ、本当に厳しい時代もあったはずです。日本経済のバブル崩壊、そしてリーマンショックなど消費を大きく冷え込ませる事象は、DCブランドのみならず、アパレル産業全体に多大な影響を与えます。しかしそんな時代背景があっても、タケオキクチはブランドコンセプトの方向性を一切変えませんでした。

顧客からみた際の“いつも変わらない”という安心感が、10年・20年と長く付き合えるブランドとして、これまで永続的に繁栄してきた秘訣とも言えるでしょう。

キクチタケオの魅力その①|品質の良さ

タケオキクチの魅力を語る上で、まず1つ目に挙げられる特徴は「品質の良さ」。
立ち上げ当初から、こだわりのある品質を保ち商品開発を続けています。

たとえば、スーツの芯地には当時から毛芯を使用し、裏地もキュプラ素材を使用していましたが、いま現在も6万円代後半以上の価格帯のスーツには、同様の仕立てで作られています。
今から30、40年前と言えば、人件費や素材費が高騰し世の中の食べ物や様々な品物が値上げを余儀なくされている時代です。そんな経済状況が極めて不安定な中、タケオキクチは商品の値上げをほぼほぼ実施せずに、高品質な洋服作りに励んできたのです。

もちろん、カジュアルウエアに関してもカジュアルジャケットにはスーツで培われた技法として大見返しやお台場仕立て等を取り入れ、シャツのボタンには天然の貝ボタンを使用するなど、一切の手抜きはありません。

キクチタケオの魅力その②|オリジナルの生地を使用している

そしてタケオキクチの魅力を語る上で「洋服にオリジナルの生地を使用している」という点も見逃せません。

一般的に、アパレルメーカーが洋服を作る際、洋服に使用する生地は、生地メーカーが作った生地サンプルを見て服を製造する分だけ生地メーカーから買うものです。

そして生地メーカーが作る生地というものは、基本的に多くのアパレルメーカーに使われやすいような生地が中心で、たくさんのアパレルメーカーが同じ生地を購入することで、生地自体の販売価格を抑える仕組みになっています。

しかし、たくさんのアパレルメーカーに買われた生地は、必然的に同時期に発売される他のアパレルメーカーが作る洋服にも同様の生地が使用されることとなり、“形やデザインは違っても、中身の生地が同じ”という洋服が世の中に流通されやすくなってしまい、消費者にとっては少し残念な状況を招くことになります。

一方のオリジナル生地は、自社で独自に生地を開発したり、あるいは生地メーカーに糸の種類や織り方等を個別で指定し、そのアパレルメーカー独自の生地を製造するなど、他のアパレルメーカーと被ることのないオリジナリティの高い生地を使用します。

そしてタケオキクチのスーツに使われている生地は、95%がオリジナル。
カジュアル服に関しては、具体的な数字こそ公開はしていませんが、筆者が製品を見る限りかなりの高い比率でオリジナル生地を使用していることが伺えます。

キクチタケオの魅力その③|菊池武夫さんの存在

タケオキクチのデザイナーは、言わずもがな「菊池武夫さん」です。
菊池武夫さんは、1939年生まれ。
菊池武夫さんと同じく1970年代~80年代にDCブランドを立ち上げたり、最前線でデザイナーをしていた方々は時代の変化とともに廃業したり、引退したりとさまざまな理由でほとんどのデザイナー達はファッション業界から身を引いています。

しかし菊池武夫さんは、2003年にブランドの責任者こそ後任の方に譲りましたが、2005年に「40CARATS&525」というブランドを新たに立ち上げ、さらに2012年にはタケオキクチブランドに戻って来ています。

1970年に創立したメンズビギから数えると、実に50年近くになりますが、それだけ長い年月このファッション業界に関わって来たデザイナーは日本国内には数えるほどしか存在しません。

そんな時代背景をきちんと心得ているデザイナーさんが作る洋服というものは、デザインやコンセプトも一貫して論理的で、実際に着用する人のことを考え抜いて作られているものです。

そういう意味では、ブランドの設立者が数十年に渡って服に関わってくれていることがタケオキクチの一番の魅力と言えるかもしれません。

長くファンに愛され続けているブランド「タケオキクチ」の魅力を少しはお分かりいただけたのではないでしょうか。

日本国内の重鎮デザイナーの一人である菊池武夫さん。
今まで名前は知っていて興味もあったけど、どんなブランドなのかよく分からなかったという方の参考になれば幸いです。

「タケオキクチ」公式サイト

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この記事のライター
Ambassador
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MENDYのアンバサダーとして活動しています。 得意ジャンルは「ファッション」。