【“高齢化社会”の当事者になって分かること】「介護」と「恋愛」の両立が、かなり難しい件……

内閣府が発表している、平成28年度の「高齢社会白書」によると、日本の高齢化率は27.3%となっています。
実に国民の4人に1人以上の割合が高齢者。日本は既に老人だらけの国ということがわかります。
また、少子化も加速している状況であるため、今後ますます長期的に見てもこの高齢化率は高まることとなるのでしょう。

既に何年も前から日本は超高齢化社会と言われていますが、現状を見るだけでも、お金がなく、施設に入れないため、子供世代に世話をしてもらうという高齢者もかなり増えてきました。

実際に筆者も祖母の介護をしている“高齢化社会”の当事者にあたるわけですが、これをやるようになって、ある楽しみがかなり不自由になってしまいました。
そう、その楽しみとは、恋愛です。
介護問題と直面した現在、確実に恋愛をすることが負担になっています。
そしてこれは何も筆者に限ったことではないはず。これだけ世間には高齢者が増えているのです。
同じようなジレンマを抱える方々は、日本中に増えていることでしょう。

そこで今回は、介護をしながらの恋愛が難しいと感じるポイントについて、具体的事例もふまえてご紹介していきたいと思います。

「介護」と「恋愛」を両立するためには、睡眠を削るぐらいしか方法がない…

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「介護」と「恋愛」。どちらも当事者になれば大事に思えるものなのですが、そうは言っても体は一つ。
何もかも完璧に、というわけには行かなくなります。
介護と恋愛を両立することは、基本的に不可能と考えておいたほうが、のちのち自分を苦しめずに済みます。

そもそも1日は24時間単位で区切られます。仕事、介護、そして自分のしたいことをする時間。本当にもう、それだけで手一杯なのです。
そこに新たに、恋愛というタスクを入れるとなると、後は無理して睡眠を削るぐらいしか方法がないのが実情なのです。
当然それでは何事も長続きせず、破綻しやすくなってしまいます。

介護の当事者が恋愛にばかりうつつを抜かしていられないのは、誰が見ても明らか。
そういった事情のせいで、日本に高齢者や要介護者が増えるにつれて、せっかくの若い時期に恋愛を思うように楽しめない男女も同時に増えていくのです。

「介護」と「恋愛」を両立する上で、最大のネックは「お金」問題…

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また、介護と恋愛の長期的な両立が難しい原因の一つとしては「お金」の問題も横たわっています。
はっきり言って、これは当事者になってはじめて痛感するのですが、介護ってとにかくお金がかかるんです。
デイケアを雇ったり、介護用のベッドをレンタルしたり、それから消耗品としての介護用品の日々の調達。これを介護がいつか終わるその日まで続けるわけですから、金銭的な負担は洒落にならないレベルです。

ましてや、要介護度が低い高齢者のお世話をしている場合には、国から十分な金銭的支援を受けることができず、日に日に家計を圧迫してしまいますし……。

しかし、だからと言って恋愛をする上で、デート中に全く財布を出さないわけにもいきません。
男性の場合は特に、デートでも多めに支払うか、全額出してあげるのが当たり前という風潮がありますが、これはある種当然の傾向です。

ところが、介護でかかる費用を差し引いたデートでは、全く味気ないデートになりがち。
すると恋人からも辟易(へきえき)される可能性は増えますし、結局お金の問題によって、恋愛関係も終息に向かうことが珍しくなくなります。

何より「介護」をしつつの「恋愛」に、明るい未来が見えない…

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介護と恋愛の両立を難しくしている、ある懸念の一つについても書いておきましょう。

自分が介護をしている以上、一番優先すべき相手は介護者になり、恋人との将来なんて考える心の余裕もないのが現実です。
無理をした挙句、介護と恋愛を両立させるだけで手一杯になり、とても未来に目を向けるなんて余裕はなくなります。

ましてや現代においては、医学の発展によって高齢者が長生きするため、介護をしている間に40代50代を迎えてしまうケースもあり得ます。

そうなると、いざ介護がひと段落ついて結婚しようにも、相手はとっくに別の男性と幸せになっていることでしょう。

また、無理に介護をしている間に彼女と結婚した場合も、これはこれで問題が降りかかります。
結婚相手の女性に、最初から義理の親の世話をさせるという気負いは、これは自分にとっても大きな心の迷いになってしまうものです。
介護をする間に婚期を逃し、親が死んでからではとうに手遅れという状況は、この高齢化社会において、自宅介護者がいる者にとってはある種の宿命とも言えるかもしれません。

はっきり言って、こんな状況では恋愛関係の発展性など見込めなくて当然です。

デイケアの利用や、家族間の協力など、介護と恋愛を両立するための対策もあるのですが、結局それを何年続けられるのか、という観点で考えると、不安は尽きません。
こういった対策は根本の解決にまではなかなか結びつかず、付け焼刃でしかないと感じる部分も多いところです。

現実的には家族の介護をする年齢に差し掛かる前に結婚しておくこともまた、色んな意味で対策になり得るのかもしれません。
ただし、そのために結婚相手の伴侶を犠牲にしてしまうことも、これはこれで問題であるという認識はあるのですが……。

急激に増えている高齢者を、社会が支えようにもマンパワーが足りず、支える側は結局恋愛や、場合によっては仕事も制限をされてしまう。
これが今の日本の介護の現実なのかもしれません。
少なくとも筆者は、毎日生活していくだけでも結構ギリギリですし。

恋愛・デート #介護 #恋愛 #両立 #高齢化社会

この記事のライター
松本 ミゾレ
松本 ミゾレ
2013年よりフリーで活動開始。自宅に引きこもり原稿をこなす日々で慢性腰痛に。 趣味は怪獣フィギュア収集。 特技は猫あやしと怪獣フィギュア製作。 座右の銘は“休まず書け”で、野菜ソムリエの資格を持つ野菜嫌い。