昔懐かしのアウター7選。“昔と今”で時代の変化を振り返ろう。

ファッションは、その時代に暮らす人々の生活にあわせて自然と流行り/廃りの変化を繰り広げていくもの。たとえば今どきの冬ファッションでいえば、チェスターコートやMA-1など割とカジュアルな着こなしが復活していますよね。
そこで今回は、そんなファッションの“時代変化”を少しでも感じていただくために、昔or今の着こなしの変化について、昔懐かしのアウター7つから背景も踏まえてご紹介したいと思います。

レザーフライトジャケット

元々は空軍のパイロット達が着用していたG-1やA-2などレザー生地で仕上げたブルゾンのことを総称してレザーフライトジャケットと呼び、別名ではボンバージャケットやパイロットジャケット等ともいわれます。襟にはムートンを使用。

1980年代までは“皮ジャン”といえばフライトジャケットを指していたほど定番のアウターです。

昔は、そのフライトジャケットに茶色のシープスキンをストーンウォッシュにかけハードな着こなしに仕上げるという演出方法が流行っていました。また肩パット入りで身幅も広々とした作りが基本で、ゆったりタイプのジーンズにTシャツを組み合わせる超絶ラフな着こなしスタイルが、流行の最先端だったのです。

今では軍モノを得意とする一部メーカーのみがレプリカとして販売していますが、高価すぎてなかなか手が出せないのが本音…。一部の本当に好きなファンに支えられているのが実態です。

レザーハーフコート

このレザーハーフコートも1980年代に流行ったコート。中でも黒色のシープスキンにシングルのステンカラーで仕上げたハーフコートが一番人気でした。

当時のレザーものといえば、シープスキンの生地を使用しているため、およそ10万円超えもするとても高価なファッションアイテムだったのです。また薬品と使って牛革を柔らかく加工したカウナッパと呼ばれる革タイプのレザーでも同等の値段(約10万円)が付けられていました。

レザーのハーフコートは、とてもシンプルな作りをしているためビジネスorカジュアルどちらにも兼用として利用できる点も大きなメリット。当時は肩パット入りでゆったり目のシルエットでしたが、肩パット無しの細身タイプをセレクトすれば、今でも十分に通用するコートです。

シングルライダースジャケット

シングルライダースジャケットは、厚手の牛革を使用しバイカー向けに作られた本格的なジャケットのこと。

ライダースジャケットの歴史は、今から遡ること1980年代終盤の渋カジ初期。この頃は、エンジニアブーツにブーツカットやビンテージジーンズを組み合わせて履く、割とハードな着こなしスタイルが流行でした。それ以前は、比較的ゆったり目のレザージャケットが主流でしたが、この頃から体にフィットしたタイト目の革ジャンを着るスタイルが確立しはじめます。柔らかめの革より厚く固い牛革やさらにハードな馬革を使用した本格的なライダースジャケットを街中で着はじめたのもちょうどこの頃。

今では洗いのかかった薄いタイプの革で作られたライダースジャケットを軽く羽織るスタイルが主流ですが、無骨で男っぽい雰囲気を放つには、やはり昔ながらのライダースジャケットに限りますね。

カバーオール

カバーオールとは本来の英語訳では「つなぎ」を意味しますが、ここ日本ではカバーオールとは「ワークジャケット」のことを意味します。

1970年代のヘビーデューティー(耐久性・頑丈)と呼ばれるアウトドア向けのファッションを街中で着こなす流れとともに、このワークジャケットもワークブーツと同様に定着していきました。

カバーオールの特長は、何より汎用性に優れたカジュアルアウターであること。
春夏は、デニム生地やヒッコリーストライプなどの綿素材を使用したタイプが、秋冬はコーデュロイやツイード、フラノ等のウール素材を使用した保温性の高いタイプを、各メーカーそれぞれが色・柄を変える等、工夫を凝らしながら販売していました。

春夏は、綿のワークパンツや麻のスラックスと組み合わせ、秋冬は綿の起毛素材やウールのパンツと組み合わせる等、まさに季節に応じた着こなしが楽しめるアウターでした。

レタードスタジャン

アメリカンカジュアルを代表するものといえば、スタジアムジャンパー(スタジャン)。
このスタジャンは、アイビーの着こなしがブームとなった1960年代にアメリカから日本に上陸。

このスタジャンは数年前に若干リバイバルしましたが、あくまで無地のタイプが主流でしたね。
1980年代には、このスタジャンに国内アパレルメーカーが自社ブランドのロゴやメッセージを刺繍したり、レタードワッペンをスタジャンの背中・袖に縫いつけたデザインが流行。

着こなしといえば、チノパンやジーンズを穿き、インナーにはスエットのトレーナーやパーカーを組み合わせるコーデ以外にも、ウール素材のスラックスやセーターと組み合わせてテーラードジャケットの代わりとしても着用されていました。

スイングトップ

1980年代初頭までのジャンパーといえば、このスイングトップは外せません。
スイングトップとは、おもに綿素材で仕上げた袖と裾を絞ったジャンパーのこと。日本メーカーのVANが世に提案したことで国内に広まるキッカケとなりました。

色には、ベージュや濃紺を中心とした無地生地を使用。
春夏モノは裏地無しの一枚仕立て、秋冬モノは裏地を張ったものから中綿を入れたタイプのスイングトップが数多く出回っていました。

1980年代中盤からは国内アパレルメーカーも製造を強化し、街中にはそれぞれ好きなブランドロゴが刺繍されたスイングトップを着こなす若者であふれていたほど。スラックスもしくはシャツを上着とし、そこにジャケットorスイングトップ、どちらのジャンパーを羽織るかを着こなしの選択肢のひとつとして楽しんでいました。

今ではロゴ入りのスイングトップは、敬遠される傾向となりほとんど見かけなくなりましたが、無地タイプのスイングトップは未だ販売されていますね。

ロングコート

ロングコートは、その名の通り今流行のチェスターコートを基本形とし、着丈はスネ丈まである長いコートのこと。ロングコートが最も盛んだった時期は、ウールのテーラードジャケットを普段着として着こなしていた1985年ぐらいでしょうか。その頃は、ボタン留めをダブルブレストorシングルブレスト、どちらにするかで人気を二分していました。

また黒のパンツ・ジャケット姿に、その上からさらに黒いロングコートを羽織った若者を「カラス族」と呼んでいたのもこの頃。

そこから時は過ぎ1990年初頭には、細身の服が流行。ロングコートも細身タイプのものが主流となり、モード系を意識した着丈の長さがくるぶしまであるマキシ丈のロングコートも登場。しかしその後、カジュアル系の波に押され着丈の長いロングコートは自然消滅していきました。

いかがでしょうか?
ファッションの“時代変化”を少しは感じていただけたでしょうか?今回はアウターに絞り振り返ってみましたが、もちろん他の服にも流行り/廃りの変化は存在します。
“昔”と“今”の違い・歴史が分かれば、着こなしの愛着も一層わきますよね。いま手持ちの洋服についても同様に、ブランドの歴史や変化、時代背景など調べてみると新たな発見につながり、コーディネートの幅も広げられるのではないでしょうか。

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。