職場の「部下」や「若手社員」の理解できない言動にはどんな心理が隠されているのか?

いつの時代も若者の言動には理解が苦しむもの。
職場の若手社員に対して「あいつは何を考えているんだ?」「どうすれば意欲的に仕事に取り組んでもらえれるのか?」などと、日々葛藤し頭を悩ませている上司もたくさんいることでしょう。
そんな年齢差に開きがあり、生まれ育ってきた時代の背景も異なる若手社員と上手く関係性を築くには、極力上司側が若者の心理を汲み取り、相手側に歩み寄る必要があります。
そこで今回は、職場の部下や若手社員の理解できない言動3パターンを取り上げ、そこに隠された心理を心理カウンセラーの資格を持つ筆者がご紹介したいと思います。

パターン①|叱られるとすぐにヘコむ

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若手社員の多くは、これまで誰かに本気で叱られた経験が少ないため、仕事のミス等で上司に怒られるとすぐにヘコんでしまいます。

その影響からか、最近では若手社員を叱らずに、ホメて育てようとする企業が増えているようですが、本当は間違っている時にはきちんと「間違ってるぞ!」と叱ってあげなければ本人の自己成長には繋がりません。

そこでまずは、若手社員がなぜ叱られただけでヘコんでしまうのをご説明します。

多くの若手社員は叱られることに慣れていないため「叱られた=人格を否定された」と、極端な解釈をしてしまう傾向があります。
例えば「記入漏れがあるぞ。しっかりしてくれよ」と叱った場合、「こんな簡単なことでミスするなんて、本当にグズで使えないな」といった具合に、単なる業務上の指摘を人格否定にまで結びつけてしまうのです。

そんな若手社員を叱る時には「どこが」「どのように」間違っていたのかを具体的に指摘してあげることが大切。そして叱った後は「お前の成長を俺は楽しみにしてるぞ」などと一言フォローの言葉をかけてあげること。そうすることで「自分を否定したわけじゃないんだ」「期待されてるから叱ってくれたんだ」と叱られたことをポジティブに捉えてくれるはずです。

パターン②|3人以上の会話に入れない

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自分と若手社員と取引先の3人で会話をしているときに、一向に話しに加わってこない若手社員に対してヤキモキした経験はありませんか?

基本的に2人同士の会話は、“話し手”と“聞き手”の役割が明確に分かれるため難しくありません。しかし3人以上の会話になると、それぞれのバランスや流れに合わせる必要があり、各々の役割も曖昧になるため、途端に会話の進行難易度が上がります。

そして若手社員は、自分にとって居心地の良い空間でしかコミュニケーションを取ったことがないため、気遣いも伴う複雑なシチュエーションに大半の人が対応できません。

もし若手社員が、3人以上の会話に尻込みしている、もしくは全く会話に入る様子がみられない時には、少し強引にでも「○○はどう思う?」などと適度に話を振り、会話に参加する機会を増やしてあげましょう。
そして会話が終わったら注意するのではなく、「複数人で話す会話って難しいよね。」「こういうタイミングなら、自分の意見を言いやすいんじゃない?」といった具合に、共感やアドバイスの言葉をかけてあげると、若手社員も安心して次のチャレンジに臨めるはずです。

パターン③|始業時間ギリギリの出社

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会社の始業1分前、ギリギリのタイミングで出社してくる若手社員もいます。

しかし上の世代の方々は「決められたルールは疑問を持たず従う」という考えのもと教えられた経験があるため、若手社員の規律を乱しかねない行動に「そういうルールだから」「部下が偉そうに口ごたえするな!」などと、真っ向からストレートな物言いで叱ってしまう人も少なくありません。

しかし、若手社員の立場からすれば「始業15分前には出社しておきなさい」と言われても、「時間内に間にあってるじゃないですか?」「若手だと早く出社しなきゃいけない理由はあるんですか?」と、根拠の乏しいルールに従う意味、そこに疑問を抱く傾向が強く、始業ギリギリのタイミングで出社することに何ら問題も感じていません。

そんな若手社員を納得させるためには、「始業前に今日のスケジュールを確認したいんだ。そうすれば、スムーズに仕事にとりかかれるし、残業しなくてすむだろ?」といった具合に、「なぜ」の部分や双方にとっての「メリット」をきちんと提示する必要があります。

若手社員も理由なく反抗しているわけではありません。
まずは“自分達とは価値観が違う”ことを念頭に置いた上で、若手社員の「なんのために?」「どうして?」という視点の疑問を解決できる説明の仕方を心掛けましょう。

年齢の離れた若手社員の言動は理解しがたく、上司のイライラや悩みの種となるのはいつの時代も同じこと。
しかし会社の将来、日本を支えるのは間違いなくこの若い人達です。
これからのビジネスマンの在り方としては、頭の良さや体力のアリ・ナシ以外にも、若手の心をグッと掴み、上手に彼らをコントロールできる人材こそが本当の意味で生き残れる時代なのかもしれません。

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この記事のライター
高萩 陽平
高萩 陽平
心理カウンセラーの資格を持つフリーライター。 国内だけでなく海外の文献もチェックしており、その幅広い心理学の知識をベースにした合理的な内容の記事を執筆する。