おとなしい男が、まんまとハメられた……小悪魔女子が描く、オトコを確実に落とすためのシナリオ。

部屋の中にチャイム音が響く。
モニターを観ると、スーツを着た いつもの男性が立っている。
「こんにちは。お久しぶりです」と玄関に招き入れ、その男性の前にハイブランドのバッグ、財布、ネックレス、靴を置く。

男性は両手に薄手の白手袋をはめ、目の前に置かれた品物を手に取った。

出会いバーで出会う3人の男女

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2ヶ月前、ヒトミは女友達2人に有楽町駅付近のオシャレなお店で少し早めのバースデー会を開いてもらった。
その帰りに、銀座の「出会い系バー」とも言われる、週末になると人でごった返す立ち飲みバーに3人で訪れたのだ。



噂通り週末だからか、店内は少し動いただけで肩がぶつかるほど混み合っている。
カウンターでドリンクを買い、人混みをかき分け店の奥に進むと、仕事帰りかスーツを着た30代前半と思しきサラリーマンの男3人がいた。

サラリーマンの1人がヒトミたちに気づき、近づいてくる。
「3人で来たんですか?よかったら俺らも3人なんで、一緒に乾杯しません?」

ほろ酔い笑顔で話しかけてきたサラリーマンのおかげで、すぐ一緒に飲む男性陣が見つかった。

乾杯後、一人一人自己紹介がてら下の名前を言っていった。
男性陣はアキラ、トシヒロ、ケンジ。
「普段何してるの?みんな同じ職場の友達?」と話は早々“職業”に。
女3人は適当に新宿のIT会社で働いている、ということにしておいた。
男性陣は八重洲の大手証券会社に勤務していて、皆 彼女はいないらしい。

話をしていて気付いたのだが、アキラとトシヒロはノリがよく喋るタイプなのに、ケンジだけは人見知りなのか、どうもおとなしい……。


大手証券会社に勤めていて、彼女がいない上におとなしい……。
ヒトミはケンジに目をつけた。

ヒトミの狙い通り、ケンジがハマり始める

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23時も回り終電も近くなってきたので、とりあえず皆で連絡先の交換をし、女3人は帰ることにした。

翌日、ヒトミはケンジに「ヒトミです。昨日はありがとうございました。よかったら今度、仕事後に軽く2人で食事でもどうですか?」と、やや積極的なLINEを送ってみた。
1時間もしないうちにケンジから「昨日はありがとうございます。食事行きましょう」と、淡白だが了承の返事が来たのだ。

4日後。
仕事後にケンジと待ち合わせをして、東京駅近くのオイスターバーへ向かった。
店員に対面テーブルへ案内され、ケンジはヒトミに奥のソファーへ座るよう促し、自身はテーブルを挟んで反対側に座った。

とりあえず牡蠣の盛り合わせを頼み、「お疲れさま」とビールで乾杯。
緊張しているのか何も話し出さないケンジに、ヒトミはわざとやや前のめりで「彼女、どれくらいいないんですか?」と楽しそうに問うた。
「えっと…。2年くらいいないよ……」
「どういう女性がタイプなんですか?」
「どういう……?んー…。優しくてしっかりしている女性かな…?」
優しくてしっかりしてる女性、というが、この手の男性は男を翻弄する小悪魔系の女にハマりがちだ。

ヒトミはケンジの目を見つめ「この前会った時からケンジ君のこと素敵だなぁって思ってたんです。私のこと、どう思います?」と、柔らかい声でどこか唆すかのように訊いてみた。
すると「え!?えっと……明るくて、可愛いらしい女性だなぁって…思うよ…」と、少し戸惑いながらとつとつと答えた。

その後、恋愛の話もしたが、ケンジが本当に証券会社に勤めているのかを確認したかったため、仕事の話を振り「名刺が見たい♩」とせがんで名刺をもらうことに成功した。

本当に八重洲の証券会社で働いている…。
しかも役職はすでに「課長」。思った以上にお金はありそうだ。


帰り際、駅まで一緒に歩く際 ヒトミからケンジの手をつないだ。
するりと手を離されるかと思ったが、むしろ軽く握り返してくる様子も感じられる

ヒトミは軽く下を向き、薄ら笑いを浮かべた。

―――ケンジは完全に落ちた。


案の定、その日を境にケンジから毎日のようLINEが届くようになったのだ。

ヒトミが描くシナリオ通り、ケンジが落ちていく

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「ヒトミちゃん、次の日曜って何してる?忙しいかな?」と、デートを示唆するLINEが来た。
ヒトミはスマホを持ったまま、ほくそ笑む。
次の日曜日、予定なんて一つも入っていないが「ちょっと待ってね。予定確認して後から連絡するね♡」と一旦待たせ、夕方のタイミングを見計らい次の日曜日が空いている旨を伝えると、ものの数分で日曜の昼間一緒にランチをしないかと誘ってきたのだ。
当然 OKだ。


日曜日、わざと少しくたびれたバッグを腕にかけデートへ向かった。

ランチ中、ケンジはヒトミのことをもっと知ろうと「家族とは仲いい?」「元カレはどんな人?」と、この前とは打って変わって次から次に質問をした。
ヒトミは、両親の虐待がひどく保護され施設で育ったこと、元カレからDVを受け貯金も全部取られてしまったことなど、過去の苦労話を、辛さを隠すかのような健気な笑顔で語ってみせた。

こういう女性慣れしていないおとなしめな男性は、ことさら苦労話に弱い。
ケンジの庇護欲(ひごよく)を掻き立てるために狂言を並べただけだ。
神経の細い女性には真似のできない芸当だろう。

案の定、疑うことなく「そっか…。辛かったね」と、本気で同情してきた。


ランチ後、歩きながら路面店のショウウィンドウに飾られたバッグを眺め、ヒトミが「そろそろバッグ買え替えなきゃなぁ…」と、わざとケンジに聞こえるような声でつぶやくと、ケンジはヒトミの少しくたびれたバッグに目をやり、「お店、見ていこうか?」と誘ってくれた。
「いや…、ここのバッグ高いから、お店に入っても…」と拒んだが、ヒトミの手を優しく引いて店に入った。

「どんなバッグがいいの?」
「んー。仕事でも使えるようにA4ファイルが入るバッグかなぁ…」
「これとか可愛いし、大きさも丁度じゃない?」とケンジは薄ピンクのバッグを指した。
「デザインは可愛いけど、値段が可愛くないから…」と苦笑いすると、ケンジは店員さんを呼び「これください」と、そのバッグを指した。
動揺するヒトミに「ランチしてくれたお礼」と、にっこり笑う。

「え!?いいんですか!?」と目をキラキラさせて喜ぶ、が……計算通りだ。


帰宅後、ランチデートが楽しかったこと、バッグがとても気に入ったことをLINEで伝えたら、ケンジからすぐ「喜んでもらえてよかった」とスタンプつきで返ってきた。
すかさず「実は来週誕生日で、早めのバースデープレゼントな感じでうれしかったです!」と誕生日の話題を入れて送った。


翌日、「来週どこかで、仕事のあと会えない?」と、ヒトミのシナリオ通りの返信が来たのだ。

恋心に火がついてしまったケンジのプレゼント攻撃

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デート当日、もちろん買ってもらったバッグで出勤した。
仕事後、ケンジに連れて行かれたお店は夜景の綺麗なレストラン。
窓際の一番いい席で、サプライズのバースデーケーキにハイブランドのネックレスをプレゼントされた。

そして「お付き合いしてほしい」と交際を申し込まれたのだ。

やっぱり告白してきた。

「嬉しい!お友達からでよければ♡」と、今はまだ友達でいてね、というケンジからしたら煮え切らない、じれったい返事をしてやった。


「お友達からでよければ」という距離のある言葉のせいか、ケンジの恋心に本気で火がつき、会うたびにプレゼント攻撃が始まる。

ただ、予想以上に連絡は多くなるし、不信感が出てきたのか会うたび「いつになったら、ちゃんと付き合ってくれるの…?」と重くなってきたのだ。
おとなしめな男性は恋愛に対し消極的なくせに、一旦恋心に火がつくとねっちこくしつこいのが難点だ…。

ケンジと出会って2ヶ月。
もう少し搾りとりたかったが、そろそろ切りどきだなと判断し、「長期入院が必要な病気になったので、私のことは忘れて他の人を探してください」と送り、一方的にLINEをブロックした。

「全部で14万5千円ですね。今回も結構貢いでもらいましたねー」
買取業者の男性が感心しながら、電卓の数字を見せた。
「このバッグ3回しか使ってないんです。あと5千円あげてくださいよー。また近々買取お願いするんで。ね?」と、可愛く両手を合わせ頼んだら、少し悩んで「じゃぁ…、今回は15万円で」と5千円あげてくれた。
男性はヒトミに現金を渡し、バッグや財布を丁寧に箱に詰め、立ち上がると「あ、ヒトミさん。そういえば最近、恵比寿にも出会い系のバーができたらしいですよ。外資系や大手の広告会社に勤める男性もよく来るらしいです」とお店の名刺を渡した。
ヒトミは名刺を受け取り、玄関で男性を見送ると、すぐに「今日の夜何してる?恵比寿にいいバーあるって聞いたんだけど、行ってみない?」と友達にLINEを送った。

恋愛・デート #小悪魔女子 #おとなしい男 #ハマる #出会い

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