今さら聞けない!「BEAMS」の特徴と魅力、これからの展望について徹底解説!

洋服の購入を考えた時に、その名前を一度は耳にしたことがある、もしくは看板やネームタグを見たことのある方も多いのではないでしょうか。
日本を代表するブランド「BEAMS(ビームス)」。
今回は、BEAMSのこれまでの歴史を振り返りつつ、ショップや洋服の特徴、これからの展望、その魅力について、徹底解説していきたいと思います。

BEAMSとは?

BEAMSは、1976年に創立されたセレクトショップです。

創立当初は、アメリカンカジュアルを中心とした輸入服を取り扱うショップを展開。
そこから買い付け商品、BEAMSオリジナル、他のメーカーとのコラボレーションアイテムなど、取り扱う種目を増やしながら徐々に店舗数を拡大していきました。

今ではショップの数も、関東から西日本を中心に151店舗(2016年時点)と、全国の主要都市部に店舗を構え、出店形態もアウトレットや駅ビルの中など、設置面積の広さや知名度の高さにおいても日本有数の規模を誇るブランドと言えるでしょう。

あえて株式上場はせず、それでも売上高は706億円(2016年時点)と、アパレル業界での売上順位は集計の取り方によってメンズ部門や総合部門などのカテゴリー分けにより上下しますが、ベスト20位以内には入る大手企業になります。

セレクトショップとは?

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「セレクトショップ」とは、一つのメーカーのアイテムだけを取り扱うのではなく、そのショップがお客様に提案したい様々なブランドを、国内外から買い付け商品を紹介する小売形態の販売店を指します。またセレクトショップによっては、衣服類に限らず、文具やオモチャなどを取り扱う店舗も存在します。

ショップに置く商品は多種多様なブランドの商品から構成され、セレクトショップがある程度統一した雰囲気を出すためには、商品を買い付けるバイヤーの幅広い知識や感性が必要になります。

消費者にとっては、各ブランドの直営店や気になるブランドのお店を一店舗ごと回る必要がなく、セレクトショップに行けばバイヤーが探してくれた掘り出し物のアイテムをまとめて見られるため、単純に時間的効率性のメリットが得られるというわけです。

また、未だ無名のブランド側からしてみれば、わざわざ自社で直営店を出さなくとも、セレクトショップでの取り扱いが増えれば、自然と消費者の目にもとまりやすく、ブランド・商品の認知度、購買の訴求が図れるというメリットが得られます。

BEAMSの成長戦略と時代背景

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BEAMSは、1976年創業ですが売上高をみると1980年台後半まで微増で推移。ところが1980年台後半から急激に右肩上がりに売り上げが伸長していきます。その要因としては、もちろんBEAMSの戦略であったことも確かですが、当時のファッションスタイルの変貌も無関係とは言い切れません。

ちょうどこの時期は、DCブランド(デザイナーズ&キャラクター)が廃れてきたタイミングであり、それは同時に単一ブランドでトータルコーディネートすることや、短期間しか着ることのできないデザイン性の強すぎる洋服を選択することに対して消費者が飽きてきた時代でもあります。

そんな時代背景がある中、BEAMSが取った戦略は、まだ誰も手を付けていないメーカーやブランドのアイテムでありながらも、手持ちの服と自由自在に組み合わせることのできる服を提案すること。さまざまなブランドの服を自由に組み合わせることができ、しかも着回しも万能。
そんな理由からBEAMSのスタッフが提案する着こなしが消費者に受けいれられ、かなりの人数がBEAMSへと流れていきました。

そこからセレクトショップ自体も世の中に幅広く認知され、ブランド名に惑わされず、本当に自分が着たい服、似合う服を選ぶ趣向へと変わっていきました。

『好きな服を自由に組み合わせて着こなしを楽しむ』

これはまさに、近年のノームコアスタイルの基礎作りに繋がったと言っても過言ではありません。

BEAMSの商品展開

1980年後半から、着る服のブランド名にこだわらず、またブランドロゴを前面に押し出すような服は避け、シンプルな服を組み合わせる着こなし方は、今も変わらず主流になっています。

たとえば、1990年台に流行った“チビTシャツ”や“マキシ丈コート”のような若干の流行り廃りがある服でも、綿素材中心、体にあったサイジング、無地などのテイストは残しつつ今でも世の中に存在しています。
このように時代の背景にあわせて消費者が求めているモノ、未だ価値観が明確に定まっていないモノを提供することによりBEAMSはターゲット層を広げてきています。

一例を挙げると、下記のとおり、それぞれ各ターゲット層向けに店舗を場所やネーミングを変え、展開しています。

■「B:MING by BEAMS」
-家族全員の服がまとめて手に入るよう、休日に家族でショッピングを楽しむファミリー層向けに展開
■「International Gallery BEAMS」
-高品質な服を求める消費者向けに展開
■「BEAMS PLUS」
-アメカジを中心としたカジュアル中心の消費者向けに展開
■「BEAMS mini」
-子供服をファミリー層向けに展開

このようにBEAMSは、顧客のターゲット層の差異をはっきりさせた上で、ブランド展開を行っています。

この戦略においても、株式上場をしていないBEAMSだからこそ、比較的経営戦略の舵を切りやすい傾向も、もしかしたら影響しているのかも知れません。

BEAMSの服の特徴

冒頭でご紹介した通り、BEAMSは本来セレクトショップであり、商品を買い付けて店舗に置くという販売形態からスタートしています。

しかし今では、従来に比べて商品構成の幅も広くなり、アメカジテイストの服以外の販売も開始しているのが特徴と言えるでしょう。

■オリジナルアイテム
-BEAMSが提案したい服を自社で製造・販売。これは「ショップオリジナル商品」と言われています。自社で企画から製造工場の指定、販売までを一貫して行えるため、生産コストを抑えられ、リーズナブルな販売価格で高品質な洋服を買うことができます。

■スーツ
-BEAMSではビジネススーツも展開しています。
今では珍しくなくなったインポートの生地を使用したスーツ。バブル期までは、ほとんどのメーカーが国産の生地を使用しスーツを製造していましたが、BEAMSなどのセレクトショップがいち早く高品質で手触りの良いイタリア産中心の生地を使用したスーツを販売し、これがヒット。そこから時間をかけて徐々に定着させていきました。

■他企業とのコラボレーション
-ジャンルが異なる他のメーカーと一緒に商品を共同開発するコラボレーション企画も、国内ではBEAMSが最初に取り組んだ施策。
まだ一部の人にしか知れ渡っていない商品や新しいデザイン・機能など、メーカー同士が手を組むことで、全く新しい価値観を消費者に与えることができます。

これからのBEAMS

BEAMSは、ただ服を作り売るだけではなく、人々のラフスタイルをトータルで充実させるコンセプトも持ち合わせています。
雑貨はもちろん、レコードレーベル、日本をキーワードにした食やアート、カルチャーと、ライフスタイルの幅も広範囲に渡っています。

かつて、バブル時代にはアパレル業や小売業を営む企業の中には、子供服への展開、飲食店や不動産など、生活に関わる部分をトータルでコーディネートしようとする試みを行った事例もありますが、メンズ服と子供服売り場を切り分けて失敗したり、飲食店にいたってはブランド色を出し過ぎてしまい消費者の反感を買ったり、、不動産経営のノウハウが無いままバブル崩壊の波にのまれたりと、目覚ましい成果を挙げた企業は皆無といえる状況でした。

しかし、BEAMSのこれまでの実績を踏まえると、時代の背景にあわせて消費者が求めているものを先取りする力、また現在BEAMが展開している店舗数の数・規模から考察するに、小規模なセレクトショップが行う新しい試みに比べて、市場に与えるインパクト然り、その成功確率もずっと高いように思われます。

今後BEAMSが、洋服に限らず、世の中全体のライフスタイルをどのように受け止め、そして変革していくのか、注目していきましょう。

今回は、現代のセレクトショップ御三家の一角であるBEAMSの、これまでの歴史とショップや洋服の特徴、これからの展望についてご紹介しました。
これも時代の背景なのか、近年ではシンプルなアイテムを扱う量も増えてきた印象のBEAMS。
これからもどんどん珍しい商品を世に送り出してくれるであろうBEAMSの動きからますます目が離せません。

Cover画像: wear.jp

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。