ストレス社会がもたらす「パニック障害」とは? 具体的な症状と主な原因、正しい対処法を解説!

皆さんはパニック障害という言葉を聞いたことがありますか?
突然の不安やめまい・動悸、死ぬかもしれない…という恐怖に襲われることもある深刻な病気です。普段から、気持ちの浮き沈みが激しかったり、突如ハァハァと息切れしたりする方は、一度医師に相談した方がいいかもしれません。

今回は、そんなストレス社会がもたらす「パニック障害」の具体的な症状から考えられる原因、また正しい対処法までを詳しく解説したいと思います。

パニック障害とは? 具体的にどんな症状や影響がでる?

パニック障害とは?パニック障害の主な症状は、人に会うことが怖い、死に対する恐怖心に襲われるなどの精神的ストレスに加えて、突然の動悸や倦怠感・発汗・呼吸困難など、身体にも悪影響を及ぼします。

パニック障害の特徴は、理由もなく突然起きること。
特にパニック障害時の発作は、周りからは心臓発作のような症状にみえることもあります。呼吸困難や意識障害など、その症状だけでは判断できず、一度は救急車で病院に運ばれたものの、到着すると発作が治まるケースもあります。

大場久美子さんや堂本剛さんなど、多くの有名人もこの病に悩まされ、克服したことでも話題になりました。

そして、一度パニック障害を経験すると「また同じ症状が出たらどうしよう…」という再発に恐怖心を抱きながら生活していくことになります。また、恐怖心によってパニック障害が起こりやすくなるなどの悪循環に陥ることもあるでしょう。

パニック障害の原因として考えられること4つ

パニック障害の原因パニック障害は、まだ医学的に解明されていない謎の多い病気。しかし、次のような原因が関係していると言われています。

(1)脳の神経伝達異常

人間の脳に恐怖や不安を与える神経伝達物質を「ノルアドレナリン」と呼び、逆に興奮を抑える神経伝達物質を「セロトニン」と言います。
この“ノルアドレナリン”と“セロトニン”のバランスが崩れたときに、パニック障害を引き起こすと言われています。

そもそも、パニックとは死の危険から逃れるための反応。地震や火災など、命が危険に脅かされれば人は必然的にパニックを起こします。
また命の危険以外にも、例えば職場の上司からの叱責や仕事上のトラブルなど、精神的に強いストレスを感じたときもパニック障害を引き起こす原因になりますので覚えておきましょう。

(2)幼いころの家庭環境

幼いころの家庭環境も、パニック障害の原因に関係していると言われています。
例えば、家族との離別・死別や虐待など、生活環境の問題。それから過度な受験勉強や親による支配、人格否定や批判・指示など教育環境の問題が挙げられるでしょう。

子どもの頃から怒りや悲しみなどの感情を抑圧されて育った結果、自己防衛反応として無意識的に「いい子でいなければならない…」と思うようになり、目立った反抗期がないのも特徴です。
このように小さい頃からずっといい子で育った大人が、ある日ふと張りつめた糸が切れ、これまでの抑圧に反発するかのようにパニック症状を引き起こすこともあります。

(3)ストレスを受けやすい生活環境

日常生活のストレスもパニック障害の原因に関係していると言われています。
生きている以上は、ストレスを完全に避けることは難しいもの。しかし、日常的に大きなストレスを受けていると、パニック障害のきっかけになる場合があるのです。

例えば、会社の部下による突き上げや上司からのパワハラ、育児や姑問題など、毎日大きなストレスを受け続けている場合は、パニック障害のリスクが上がるでしょう。
現代はストレス社会とも呼ばれており、ストレスをまったく受けないで生きていくことは困難です。

(4)親の遺伝的要因

パニック障害に関わる遺伝子が両親から引き継がれることも、症状を引き起こす原因に関係していると言われています。

ただし、仮に両親がパニック障害であっても、子どもがパニック障害になるとは限りません。あくまで、要因の1つです。
このように、遺伝的要因の可能性も念のため覚えておきましょう。

パニック障害の危険性とは?

パニック障害の危険性パニック障害を引き起こすことで呼吸困難の症状に陥る可能性はあるものの、パニック障害で死ぬことはありません。

ただし、不安定な精神状態からウツ症状に陥ると、自殺願望が生まれて死の危険につながることもあるでしょう。
例えば、広場恐怖症などによって外へ出ることが怖くなり自宅に引きこもりがちの生活になれば、必然的にウツ病も併発しやすくなるため、そこから死の危険が近づく可能性があります。その他、車の運転中などにパニック発作が起こると事故に繋がる恐れもあるでしょう。

また、パニック障害はぱっと見だけでは見分けがつかず、周囲からは「また大げさに騒いで」「嘘つきだな」「いちいちオーバーなんだよ」などと冷ややかな視線を集めやすく、本人は苦しい思いをしているのになかなか周囲の理解を得るのが難しい病です。
そういったパニック障害に理解がない周囲の態度が、ウツ病へと走らせてしまうリスクも考えられるでしょう。

パニック障害は、薬を服用することで発作が起こりにくくなる可能性があります。さらにパニック障害は1つの病気である認識を持ち、きちんと治療を受けることが大切です。

パニック障害の向き合い方&正しい対処法5つ

パニック障害の向き合い方&正しい対処法パニック障害を完治させることは難しいとされていますが、次のような向き合い方と対処法を実践することで、発作が起こりにくくなるでしょう。

(1)うつ伏せor前かがみの姿勢になる

パニック障害による発作が発生したら、まず応急処置としてその場にうつ伏せになって寝るか、前かがみの姿勢になりましょう。
急に苦しくなって呼吸のリズムが乱れると、胸式呼吸(きょうしき こきゅう)になってしまうのですが、前傾姿勢になることで腹式呼吸(ふくしき こきゅう)へと変わり過呼吸を防いでくれます。

(2)冷たい水を飲む

パニック障害は、気温が高いときに発症しやすくなると言われています。そのため、水を飲んで体温を下げることもパニック障害の対処に役立つでしょう。
水は一気飲みをするのではなく、あくまで気分を切り替えるきっかけとして飲むイメージを持つことが大切です。

(3)好きな香りを嗅いで深呼吸する

好みの香りを嗅いで深呼吸をすると、気持ちがスーッと落ち着いてパニック障害の発作が起こりにくくなります。
アロマオイルを1~2滴たらしたハンカチを鼻にあてましょう。鼻の粘膜が受け取った香りの信号が脳へと伝わり、リラックス効果を得られます。

(4)周囲へのカミングアウト

自分がパニック障害持ちであることを周囲にきちんとカミングアウトしておくことも大事です。万が一のときにサポートしてくれる人が周りにひとりでもいると、気持ち的に楽ですよね。
夜ひとりぼっちで不安になっときは、恋人や友達・家族など親しい人に電話をして声を聞きましょう。
「大丈夫だよ」「すぐ治まるから安心して」「落ち着くまで話すよ」などと励ましてもらうことで、冷静さを取り戻し落ち着くことができます。

(5)専門医で正しい診察を受ける

パニック障害の発作は、ASD(急性ストレス障害)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、適応障害などの症状と似ています。
自己判断は禁物ですので、必ず医師に相談するようにしましょう。

パニック障害は、早め早めの対処を。

パニック障害の問題は、突然パニック発作が起きることです。
さらに、放置にしておくとパニック発作に対する恐怖心で、かえって発作が起こりやすくなります。
薬を飲むことで発作が起こりにくくなる可能性もありますので、早めに専門医へ相談するようにしましょう。

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この記事のライター
木下京子
木下京子
旅行が大の趣味。子持ちの母です。 これからもたくさんの国を訪問したいです^^