高い靴には理由がある。日本の靴ブランド「三陽山長」の特長と魅力

日本の紳士靴メーカーを代表するブランド「三陽山長(さんようやまちょう)」。商品全般、割と値段の高い価格帯で、もしかしたら敷居の高いイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
しかし、そこにはしっかりとした理由があります。
今回は、海外の老舗メーカーにも引けを取らない匠の技術をもつ「三陽山長」の魅力と特長、そして「三陽山長」を代表するビジネスシューズ、至極の3足をご紹介します。

「三陽山長(さんようやまちょう)」とは?

三陽山長は、長嶋正樹氏を中心に2000年10月に「山長印靴本舗」の名のもと高級紳士靴として産声を上げたのがはじまり。そして2001年10月に現名称「三陽山長」として再スタートします。

創業から 「品質本位」を念頭に掲げ、物の価値を見極められる本物志向の人達に向け「技」「匠」「粋」の和精神に基づきメイド・イン・ジャパンの靴をつくり続けている日本を代表するブランドです。

リーガルやスコッチグレインに比べ、やや知名度では負けてしまう感のある三陽山長ですが、国内最高峰の品質にこだわり抜いた靴を提供してくれるブランドです。

特長①:「グッドイヤーウェルト製法」で、靴底がエレガント

「グッドイヤーウェルト製法」とは、19世紀初頭まで手作業行われていた「ハンドソーンウェルテッド製法」を、チャールズ・グッドイヤー2世という人物が機械化し確立したもの。

アッパー部分とインソール、そしてコバ(靴底の側面部で、ウェルトとも言います)をすくい縫いによってつなぎ合わせ、その後アウトソールとコバをつなぎ合わせています。

そして、この「グッドイヤーウェルト製法」の大きな特長は、アッパー部分とアウトソール部分が直接つながっていないため、アウトソール単体で交換ができること。

その他にも、通常この「グッドイヤーウェルト製法」で縫った場合、靴底に縫い糸がみられるものなのですが、三陽山長の靴には、その縫い糸がみえない工夫が施されており、エレガントな仕上がりを実現させています。

特長②:手間・コスト高の「ハンドソーンウェルテッド製法」も採用

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繰り返しとなりますが「グッドイヤーウェルト製法」とは、機械化された縫い方のこと。

機械化される以前の製法は、職人が一足一足、手作業で靴を縫っていました。その手縫い製法の一つが「ハンドソーンウェルテッド」と呼ばれる方法です。

4mm程の中底の厚みの中に麻糸を通しアッパーと細革とを縫い合わせ、その細革に対して底材を縫い合わせるという複雑な工程を経ています。この手縫い手法の革靴は、職人の中でもより優れた技術が必要とされ、製造コストも高く、「三陽山長」をはじめ、ごくごく限られたメーカーのみが行っている生産方法なのです。

特長③:日本人向けに「木型(きがた)」から靴を製造している

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高品質な靴といえば、主に海外製のシューズを思い浮かべますが、海外製の靴はイギリス製ならイギリス人、イタリア製ならイタリア人と、基本的には生産国を基準に「木型(きがた)」と言われる”足の原型サイズ”が決められています。

日本人と西洋人の足を比べると、日本人の足の方が幅広で甲の高さも高い傾向にあります。そんな日本人がイギリス製の靴を履いた場合、靴幅の狭さに窮屈さを感じたり、足の甲に違和感を覚えたり…。

その点「三陽山長」では、木型の段階から日本人向けに作られており、足と靴のサイズ、フィット感に懸念する心配もなく、履きやすさはお墨付きです。

特長④:「矢筈仕上げ(やはずしあげ)」で靴を仕上げる

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矢筈仕上げ(やはずしあげ)の「矢筈」とは、矢の一端のつるにかける部分のことを言い、靴の本底のエッジを矢筈の形(三角形に尖らせた形状)に仕上げることを指します。

厚みのある本底を華奢(きゃしゃ)に尖らせることで、スーツスタイルをよりエレガントに彩る効果が期待できます。

またこの「矢筈仕上げ」は、主に靴を手作業で製造する際に取り入れる手法で、日本発祥の技術としても知られています。

特長➄:「靴」の名称が日本人に馴染みやすく、実にユニーク!

最後にご紹介したい「三陽山長」の特長として欠かせないのが、それぞれの「靴」につけられたユニークな名前たち。

「定之介」「勇太郎」「準之助」など、日本人に馴染みやすく、スッと頭に残る、実に魅力あふれる名称が特徴的です。

まさに「三陽山長」が日本発祥ブランドである証。そして日本人が海外に誇れるネーミングではないでしょうか。

三陽山長のコンセプトにも沿った素敵な名付け方ですよね。


さて、ここからは「三陽山長」を代表するビジネスシューズ、3足を紹介します!

<三陽山長の靴 その1>友二郎

小ぶりなトゥキャップにアイレット横のスワンネックステッチが印象的なストレートチップ。

ラストは小ぶりなヒールカップ、絞り込んだ土踏まず、低く落とした二の甲が特徴のR2010を採用し、しっかりとしたホールド感を味わえます。

まさに三陽山長のマスターピースと言えるモデルです。
商品名

友二郎

【価格】 ¥71,280

<三陽山長の靴 その2>勘三郎

「友二郎」と並ぶ三陽山長を代表するもう一つのマスターピース「勘三郎」。

革の断面を手で縫い合わせるスキンステッチは熟練職人による匠の技です。

木型は定番のラウンドトゥR2010を採用しています。
商品名

勘三郎

【価格】 ¥97,200

<三陽山長の靴 その3>奏之介

「奏之介」の素晴らしい点は、竪琴(たてごと)を模した羽根、アデレイド仕様のセミブローグ、そしてスクエアなトゥとアデレイドの曲線がシルエットを美しく際立たせているところ。

さらにアッパーは、濃淡のあるハンドフィニッシュな仕上げを実現しています。

木型には定番のR309を採用しています。
商品名

奏之介

【価格】 ¥73,440


いかがでしたか?
「三陽山長」の靴は、ただ単に値段が高いわけではなく、高価な買い物だからこその理由がきちんと存在しています。
革のきめ細やかさ、皺(しわ)の美しさ、色合いの深さは、手に取れば誰にでもわかるはず。そして履き続けた人にこそ分かる、アッパーや靴底のなじみ方は、他メーカーにはない「三陽山長」ならではの特長・魅力といえるでしょう。

『本物の靴』とは本来、すり減り具合にあわせた靴底の張り替えなど、適切な手入れを定期的に行えば、10年間は履き続けられる代物なのです。

自分の足だけに馴染んだ「靴」を履く気持ちよさ、ぜひ一度体感してみてはいかがでしょうか。

「三陽山長」Webサイト

Cover画像: jp.pinterest.com

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。