オスとメスでは役割がまったく異なる! 男と女の「セックス戦略」に見る心理の違い

同じホモサピエンスでありなから、どうして男と女ではこうも違うのでしょうか?
たしかにホルモンや脳の違いによる影響もありますが、進化心理学の側面から見た場合は「セックス戦略」にも違いが認められています。
そこで今回は、男女それぞれの「セックス戦略」から見る心理の違いについてご紹介したいと思います。

性的役割の違い「男は子供を作り、女は子供を育てる」

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哺乳類の生き物は、基本的にメスが妊娠し授乳するため、子供の養育に関する労力はメスの負担が大きくなります。これに対して、オスは出産後の養育よりも子供を作る行為に多くの労力を費やすことになります。

実はこれこそが、男女それぞれの「セックス戦略」の違い。

哺乳類の状況を見ると、およそ9割以上がオスは自分の子であっても養育を行わず、一夫多妻の関係を作り子供をたくさん作ろうとします。

よく人間の中でも特に日本人が正しいと主張する“一夫一妻”の関係は哺乳類全体の割合で見た場合は少数派で、その中でもオスが子の養育に関わるケースは全体の約5パーセントに過ぎないのです。
人間という生き物は、この5パーセントに入る哺乳類としては例外的存在です。

人間は、他の哺乳類に比べて養育の普段が大きい

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哺乳類の本能ともいえる一夫多妻を貫くオス達は、皆メスの獲得競争(オス同士の争い)に有利となるよう体つきや歯(キバ)が基本的にメスより大きいことも特徴です。たとえばゴリラ。ゴリラのオスの体重はメスの約2倍にもなります。

しかし人間の場合は、他の類人猿と比較しても男女間の差がそこまでありません。
この違いから見えることは、人間は哺乳類の中でも男性間の競争がきわめて少なく穏やかに過ごしているということ。

また、オスが子供の養育に協力する哺乳類は、協力しない哺乳類に比べてメスの養育に対する苦労が大きくなるという違いもあります。
野生動物は、出産後、子供は直ぐに立ち上がり、走り回り自分の命を守り、また、養育する時間も1年程度で済みますが、人間の場合は、ほぼ胎児状態の新生児を出産するため、走れるようになるまでに2年程度かかり、社会的モラルを身につけ成人し独立するまでに20年も歳月を要してしまいます。

このように人間の母親が背負う子供の養育負担は、野生の動物たちに比べてはるかに大きいものなのです。

セックスという言葉・行為自体は男女に共通するものですが、セックスに対して子供を作ることを要求する男性心理と、セックスに対して子を育てる責務を与えられる女性心理では、それぞれ違うという点については、きちんと認識を改めておくべきでしょう。

男性器(精巣)のサイズ

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セックス戦略を語る上で、ヒトの男性器についても触れておきましょう。

霊長類における精巣サイズを比較した研究データがあります。
その研究結果として、体重に対する精巣サイズは、一夫多妻の霊長類に比べて一夫一妻の霊長類の方が小さいというもの。人間の場合は、精巣の大きさは一夫一妻を示しているため、チンパンジーの精巣のような大きな生殖器は持っていません。

進化心理学者も明らかにした、男女のセックス戦略の違い

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アメリカの進化心理学者のバスは、子作りや養育に男女の戦略が異なることを明らかにしました。男性はより多くの女性との性的交渉の機会を望み、短期的な傾向があるということに対して、女性は限られた男性との長期的な婚姻関係を望む傾向があることを明らかにしました。

バスはまた,嫉妬にも大きな男女の差が見られることを示しました。自分の配偶者が,自分以外の相手と性交渉を持つことと(肉体的浮気)、相手に心を奪われること(精神的浮気)のどちらが許せないかという問いを尋ねると、男性は肉体関係について、女性は恋愛感情がある場合(精神的浮気)についてより強い嫉妬を感じることも明らかにしています。

DVやストーカーが生じる原因

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DVやストーカーと呼ばれる行為は、普通は男性から女性に向けられるものですが、これらは主に、男性の性的嫉妬が原因で起こる行動であり、動物のオス本来がもつ配偶者防衛が働く影響によるものです。

この「配偶者防衛」とは、他のオスから自分のパートナーを守ること。
つまり男性は、配偶者の肉体的浮気が許せない(防衛本能が働く)ために、女性を独占するようになるのです。

そして、他の異性との交流・接触を禁止する目的から暴力を振るいDVへと発展し、ストーカー行為も同様に、独占欲が強いために特定の女性を追いかけ回し、わが物にしようと試みるのです。

セックス戦略を皮切りに、男性心理と女性心理それぞれについてご紹介しましたが、少しは違いをご理解いただけたでしょうか?
男性本能としては、セックスを通じて子供を作ることを考え、短期的に多くの女性とセックスの機会を求めますが、女性本能としては、セックスを通じて子供の養育を考え、特定の男性と長期的な絆を持とうとします。
同じホモサピエンスでありなから、男女それぞれでセックスにおける心理はまったく違うのです。
今お付き合いをする彼女、また付き合いたいと願う女性と接する際に役立ててください。

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この記事のライター
村田 芳実
村田 芳実
心理士の村田です。 認定心理士として、おもにビジネス・モチベーション・メンタル・恋愛・摂食障害など、誰でも使える心理学の記事を執筆しています。 人間の心は不思議でいっぱい。男性の皆さんが恋愛や仕事に活用できる心理をご紹介していきたいと思います。