いい手袋ってどう見分ける?素材の種類から裏地、着こなし方まで徹底解説!

最近めっきり寒くなりましたね。そろそろコートやマフラーを身につける季節になりました。防寒の目的以外にも男を上げる冬の小物アイテムとして外せないメンズの「手袋」。今回は「手袋」の素材の種類と良い皮革の見分け方、身につける際の着こなしのポイントについてご紹介します。

手袋の歴史を振り返る

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「手袋」の歴史は古く、ヨーロッパでは旧石器時代には手袋が登場したと考えられており、ファッションアイテムとしての「手袋」も1,600年代にはおおよそ確立されていたと言われています。

また、当時の紳士ファッションは、着る人の動作・目的にあわせて身に着けるアイテムも変えていくという習慣があり、手袋もその一種と捉えられていました。

着る人の動作・目的にあわせて身に着けられてきたアイテムたち

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例えば、狩猟に出かける際は、“ノーフォークジャケット”や“ハンティングジャケット”のようなスポーツジャケット類で身なりを固めたり、古代のスポーツ競技として知られるクリケットでは、出場待ちまで体を温める目的として“ポロコート”と呼ばれる、今でいうベンチコートのようなコート類を身に纏う等、用途におうじて着用するモノを変えていました。
それらと同様に「手袋」も、動作の目的とされる動きにあわせて都度付け替えて使用されていたのです。

今でこそ少なくなってきていますが、ゴルファーやタクシーなど車の運転ドライバーが身に着ける手袋は、動作にあわせて身に着けるモノを変えるという古代の名残と考えられています。

現代のメンズファッションにおける主な手袋の意義は「防寒」と「ファッション性」が中心となっており、使用される素材は比較的決まっていますので、今回はひとまとめにしてご紹介していきます。

手袋に使用される素材「ペッカリー」と「ラムスキン」とは?

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手袋に使用される素材は主に「皮革」と「ニット」の2種類に大別されます。

まずは皮革素材のうち高級皮革の「ペッカリー」と一般的に手袋に向いている「ラムスキン」をご紹介します。

手袋として最高品質の素材と言われているのが「ペッカリ―」。
ぺッカリ―とは、南北アメリカに生息しイノシシ亜目ペッカリー科に属するイノシシ仲間の動物のこと。皮革の特徴は、軽くて通気性が良く傷がつきにくいこと。そして何よりペッカリー素材一番の特徴としては、指先までしっかり馴染ませ長持ちする手袋に繕えることが挙げられます。
まるで手袋を身に着けていない感覚に陥るほど、指にしっとりと馴染み、手袋をはめたままでも床に落ちたコインを拾える、素手と変わらないほど着用感に優れた最高品質の革素材です。

変わって「ラムスキン」とは、羊の皮のことを指します。羊の表革全般を「シープスキン」、生後12ヶ月以内の子羊の革を使用したものを「ラムスキン」と呼びます。
いずれも光沢感があり革質も柔らかく、手にはめた際も長年馴染ませたフィット感を得られ指の動きを制限しません。
やや傷がつきやすいことが弱点ではありますが、それを補うだけの長所と、ペッカリー素材より安価に手に入れやすいことが理由から、皮革製の手袋としてラムスキンの素材が最も多く使用されています。

手袋に使用される素材:豚皮

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豚皮を手袋に使用する際は、ほとんどがスエード素材として使用されています。豚皮を表革に*鞣(なめ)しても変に毛穴が目立ったり、折り曲げた際の皺(しわ)の風合いがあまり良く出ないため、表革にせず*スエードとして使用されるのが一般的です。また豚皮では、比較的カジュアルな服装に合う手袋が作られていることも特徴といえます。

*鞣(なめ)して:腐ってしまう前に、生の皮の毛や脂を抜き柔らかい革に加工する処理のこと
*スエード:皮革の裏側をヤスリやサンドペーパーなどで擦って毛羽立たせること

手袋に使用される素材:牛革

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牛革には、*カーフやキップ、ステアなど靴や財布でも実に様々な牛革が使われていますが、革が馴染むまでに時間を要したり、牛革の厚みを嫌うためにファッション手袋としてはあまり使われず、作業用手袋やスポーツグローブとして多く使用されています。

*カーフ:生後6ヶ月以内の子牛から作られる革のこと(厚み:0.6-0.9mm)
*キップ:生後6ヶ月から1年程度の子牛から作られる革のこと(厚み:0.8-1.3mm)
*ステア:生後2年以上経過した去勢済みの雄牛から作られる革のこと(厚み:3-4mm)

手袋に使用される素材:鹿革

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鹿皮は、牛革のような厚みを持ちつつ、しなやかさと光沢感も兼ね備えた皮革として、高級な手袋に良く使用されています。

鹿革本来の薄茶色の綺麗な色合いを生かした作りは、見た目の雰囲気がとても上品で、触った手触りや、はめた手に馴染むフィット感は独特の安心感を与えてくれます。しかし鹿皮は、雨等に濡れると他の皮革と比べてシミになりやすい欠点もありますので、着用シーンやアフターケアには細心の注意を払う必要があります。

手袋に使用される素材:ニット

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毛糸で編んだ生地を使用するニットの手袋には、現在のセーターと同じ位の種類の色柄と細い編み(ハイゲージ)から太い編み(ローゲージ)まで数えきれない程の種類が存在します。

カシミア素材を使用したハイゲージの手袋はフォーマル向け、アンゴラ・アルパカの様な毛足が長くしなやかな素材は女性向け、メリノウールやシェットランドウールを使用したローゲージの手袋はカジュアル向けなど、それぞれに特徴と傾向があります。

また皮革製品よりも保温性が高く、さまざまな編み方で多種多様な折柄を表現できることに加え、気軽にクリーニングとして洗濯できる点もニット手袋の特徴です。

手袋の裏地の種類

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ここまでは、手袋の表部分に関してご説明してきましたが、裏地にも種類があります。

まずレザーの革手袋に裏地をつける目的には、(1)手を入れた時のすべりを良くする事(2)保温性を高める事、この2点があります。

ナイロン・アクリルなど化学繊維の素材を使用した裏地は、安価であることに加え手袋の内側に汚れが付きにくく、強度があり手入れも簡単で長持ちしやすいことが特徴です。
弱点としては繊維自体が天然素材と比べて固く、手触りも少し劣ることから手汗をかいても吸水性があまりなく、蒸れやすいことが挙げられます。

続いてウール素材の裏地には、メリノウール等の汎用的な原毛を使用したニット編みの裏地を使うことが一般的で、高級手袋の裏地にはカシミアを使用し、より手触りを良くする施しがされています。『皮革の手触りを楽しみたい!』『指先の感覚を落としたくない!』等を気にされる方は裏地のない手袋もありますので、そちらを選ぶことをオススメします。

また、取り扱いの製品としては少ないですが、再生繊維の素材で少しお高めのスーツやコートの裏地にも使用されている「キュプラ」や「アセテート」「レーヨン」を手袋の裏地として使用している手袋もあります。
薄い裏地で加工されているため、若干保温性には欠けますが、手に触れた際の滑りが良く、吸湿性と指先の動作に優れた特徴があります。

良い皮革素材の見分け方

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ここからは、良い皮革の見分け方についてご紹介します。
良い皮革素材とは、手袋に限らず、ほぼ全ての皮革に言えることですが、以下の4点がポイントとして挙げられます。

①キメが細かい。
②指で触った時にしっとり感を得られる。
③革の厚さが均等。
④匂いを嗅いだ際、良い香りかする。

キメの細かい素材と粗い素材を見分ける手段としては、手袋をはめた際、キメの細かい素材には細かい綺麗な皺(しわ)ができますが、粗い素材の場合、太い皺(しわ)が入り、手の馴染み方にムラが出来てしまうのが特徴としてあります。
また革の厚さが均一ではなく、革の厚い箇所と薄い箇所がみられる皮革も良い革とは言えません。
このように、ひとつでも優れない皮革素材の手袋は、控えるのが賢明な判断です。

手袋メーカーとして歴史があり一流といわれる「DENTS(デンツ)」や「MEROLA (メローラ)」のようなブランドでは、基本的に良質な皮革を使用しているため特に品質を気にすること無く、デザインやフィット感重視で選択しても問題ありませんが、たとえ有名ブランドでもライセンス物を使用しているケースや、あまり馴染みのないブランド銘柄のケースでは良質とはいえない皮革を使用していることもありますので、実際に手に取って手袋の皮質を確認することをオススメします。

良い手袋を買うためには、良い皮革素材の見極めが大切です。

手袋×着こなしのポイント4つ

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手袋はファッションアイテムとしては小物のカテゴリに属すため、あまり目立つものではありませんが、少しのポイントを気にかけるだけでも全体の着こなしが断然仕上がり良くまとまります。

【ポイント①】
手袋の色を靴やベルトの色と統一させる。

【ポイント②】
手袋の色が黒・茶以外のオレンジやモスグリーン色であれば、コート・靴・ベルト・鞄を黒で統一し、手袋のカラーを指し色として目立たせるコーデに仕上げる。

【ポイント③】
手袋の素材・テイストにあわせた着こなし方を意識する。

――皮革の素材としては、ペッカリーやキメの細かいラムスキンは、スーツやフォーマル向け、鹿革やスエードはカジュアルな着こなし向け等。

【ポイント④】
ニットの手袋は同柄タイプとの同時購入がおすすめ。

――ニットタイプの手袋は同じメーカーから販売されるマフラーや帽子などセットで購入しておくと、アンサンブルの着こなし等、後々バリエーションの幅を広げた着こなしコーデが楽しめます。

手袋は最高級のモノでも5万円前後から手に入ります。高級な時計やスーツの価格帯と比べても断然手が出しやすいファッションアイテムの一つです。

これまでの手袋選びから少し視点を変えて、皮革の素材や裏地にも着目して探してみてください。

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この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。