筋力にはない「筋持久力」が日常生活に与える3大メリットとは? 鍛え方のポイントも解説!

同じ筋肉でも、役割はそれぞれ異なるもの。
例えば代表的な筋肉として、大きい力を発揮する「筋力」と、繰り返し力を発揮できる「筋持久力」が挙げられるでしょう。

そして、皆さんにとって普段あまりなじみが少ないであろう「筋持久力」こそ、実は筋力以上に日常生活過ごすうえで欠かせない筋肉なのです。
今回は、そんな筋力にはない「筋持久力」が日常生活に与える3大メリットと、筋持久力を効果的に鍛えるポイントも合わせて解説していきます。

筋持久力とは?

筋持久力とは?筋持久力とは、重量など負荷がかかった状態で動作を繰り返し長く続けることができる能力のことを指します。

「筋持久力」と「筋力」はどう違う? 事例で解説!

筋持久力は、単純に力の強さをあらわす “筋力”とは明確に異なります。
例えば「ベンチプレス1回につき挙げることのできる重量(RM)が増えた」という状態は、“筋力の向上”であり、「腕立て伏せが20回しかできなかったのが、30回連続でできるようになった」という状態のことを、“筋持久力の向上”といいます。
筋持久力がアップすると、持ち上げられる重さの重量が増えるのではなく、同じ動作を繰り返し行うことができる回数が増えるのです。

「筋持久力」と「筋力」それぞれの筋肉を使った代表的なスポーツは?

筋力をメインに使うスポーツ競技としては、ウエイトリフティングや短距離走、ハンマー投げをはじめとした投擲競技など、短時間や1回で全力を発揮する種目が挙げられるでしょう。
一方で、サッカーやバスケットボール、野球のピッチャー、マラソンなど長時間同じ動きを繰り返す競技には筋持久力が欠かせません。

「筋持久力」は心肺持久力のことではない

マラソン競技など長時間走ることで息が苦しくなるといった、よく皆さんがイメージする持久力は「心肺持久力」といい、筋持久力とはまったく異なりますので勘違いしないように注意しましょう。

「筋持久力」が日常生活に与える3大メリットとは?

「筋持久力」は、スポーツ競技におけるパフォーマンス向上のみならず、日常生活にもさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、筋持久力を高めるメリットについて具体的な事例もふまえて解説していきます。

(1)疲れにくくなる

疲れにくくなる普段の生活を過ごすなかで、全力のパワーを発揮するタイミングはそう多くなく、あまり筋力を必要としません。日常生活では、軽い負荷を繰り返し行う動作の方が圧倒的に多いため、筋持久力が高まればカラダの疲れを感じにくくなります。

例えば、階段の上り下りや軽い荷物の持ち運び、掃除や洗濯をはじめとした家事などは、日頃から意識的に筋持久力を鍛えておけば、長時間カラダを動かしても疲れにくくなるでしょう。

また、立ちっぱなしや座りっぱなしといった、長時間にわたって一定の姿勢を保つ行為も、筋持久力が高まることで同じ体勢を維持しやすくなります。

(2)疲労の回復が早まる

疲労の回復が早まるここで少し、筋肉について専門的な説明をしましょう。

筋肉には「遅筋線維(ちきんせんい)」と「速筋線維(そっきんせんい)」があります。
遅筋線維は血流量が多いため赤く見え、速筋線維は血流量が少ないため白く見えるのが2つの違い。また、遅筋線維は強い力を発揮できませんが持久力のある筋肉、反対に速筋線維は、強い力を発揮できますがすぐに疲れてしまう筋肉という特徴があります。

話を戻すと、トレーニングで筋持久力を鍛えることで遅筋線維が発達し、より太くなり血液量が増します。それだけでなく、筋持久力を鍛えると血流量の少ない速筋線維にも血液量が流れ、持久力が高まります。元は色が白い速筋線維も、筋持久力を鍛えることで血液量が増しピンク色に変わるのです。

このように、筋持久力が高まると筋肉の毛細血管が発達し、筋肉の内部を流れる血液量(筋血流量)が増加します。そして筋肉内部の血流量が多くなれば、その分疲労物質の除去スピードも上がるため、疲労回復が早まるというメリットが期待できるでしょう。

(3)脂肪を燃焼させやすくなる

脂肪を燃焼させやすくなる筋持久力を鍛え血流量が増えることによって、疲労回復だけでなくエネルギー消費のメリットも期待できるでしょう。

基本的には、血液量が多くなることで必然的に酸素を取り込む量が増えるため、エネルギーをよりたくさん生み出すことができるようになります。
この時に消費されるエネルギーの対象となるのが「脂肪」。

つまり筋持久力を高めることで、体内に取り込まれる酸素量が増えるため、エネルギー消費によって脂肪が燃焼されやすくなり、ダイエット効果に優れたカラダ作りができるようになるというわけです。

「筋持久力」を効率よく鍛えるためのポイント3つ

「筋持久力」と「筋力」は、それぞれ鍛え方も異なります。筋持久力を狙って鍛えるのであれば、それに適したトレーニング方法を実践しましょう。
ここからは、筋持久力を鍛えるためのポイントについて解説していきます。

(1)低負荷×高回数でトレーニングする

低負荷×高回数でトレーニングするまず、筋持久力を高めるためには「低負荷×高回数」で鍛えるのがポイントです。取り組むトレーニングメニューは、バーベルやダンベルなどを使ったフリーウエイト、またマシントレーニングや自重トレーニングなど、なんでも構いません。

だいたい、12~20回で限界を迎えるくらいの重量設定でトレーニングを行いましょう。
ただしこれは、12~20回やればいいというわけではなく、その回数で限界に到達する重さである必要があります。
30回や40回もできてしまう軽めの負荷ボリュームで、20回しかやらないのでは効果がありませんので注意しましょう。

(2)インターバルの時間を短く設定する

インターバルの時間を短く設定する筋持久力を効率よく鍛えたいなら、トレーニング時におけるセット間のインターバルの時間を短めに設定しましょう。
インターバルの時間は、およそ10~30秒の間に設定し、長くても1分以内には次のセットへ移るようにすると効果的です。

また、エクササイズ間のインターバルも、できるだけ短い時間で移動することが大切です。
「次はどのエクササイズをしようかな…」と考えたり、迷って立ち止まったりすることがないよう、その日に取り組むトレーニングメニューをあらかじめ決めておき、内容を頭の中に叩き込んでからトレーニングを開始しましょう。

また、1人で黙々とトレーニングに励んでいる時はいいのですが、例えば、知人と一緒にトレーニングしている時やジムに知り合いがいる場合は、インターバル中に話が弾んでしまい、気づかないうちに休憩時間が長くなってしまうことがありますので、トレーニング初心者の人は特に注意が必要です。

(3)限界の先まで追い込む

限界の先まで追い込む「筋持久力を高めるには軽い負荷で…」ということを耳にすると、一見ラクそう感じるかもしれませんが、実は違います。軽い負荷設定で多くの回数をこなすトレーニングは、大きい力を数回発揮するトレーニングよりもよっぽどツラいものです。

より効率的に筋持久力を鍛えるためには、最後まで筋肉をしっかり追い込む必要があります。そのためには、多少のことでは折れない強いメンタルが欠かせません。
本来人間のカラダは、脳内で「もう限界だ…」と感じてから1、2回は続けて行えるもの。まさに、その最後の1、2回が効果を最大限に引き出すポイントなのです。

追い込んでいる途中に限界を感じても、筋肉が動かなくなるくらいまで続けることを意識しましょう。

筋持久力を鍛えよう

筋持久力は、日常生活をラクにしてくれる能力です。ただし筋持久力を高めるためには、筋力アップ同様に日頃の継続的なトレーニングが欠かせません。
また、筋持久力のトレーニングは重い重量を扱う必要がなく、フォームが崩れる心配があまりないためトレーニング初心者でもケガのリスクが低く安全に取り組めます。
トレーニングを毎日の日課としてこなしている人、またこれからトレーニングを行うという人も、日常生活にたくさんのメリットをもたらす「筋持久力」の向上に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

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この記事のライター
和田 拓巳
和田 拓巳
プロスポーツトレーナー歴16年。 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガに関する知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関す...