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中年男性に多い「隠れ肥満」の定義は?肥満の原因と対策方法も紹介

見た目の体型だけでは見分けがつきにくい隠れ肥満。痩せていると思っているあなたも、実は隠れ肥満という可能性もあります。
今回は、特に中年男性に多い「隠れ肥満」の定義や特徴をはじめ、肥満の原因や具体的な対策方法もあわせて紹介します。

「隠れ肥満」とは?

「隠れ肥満」とは?
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隠れ肥満とは、見た目が細身でも体内の脂肪量が多く、実は肥満と同じリスクを抱えている状態を指します。
「痩せているから大丈夫」と油断しやすい点が最大の特徴で、外見だけでは周囲も本人も気づきにくいのが厄介なところです。

特に運動不足の男性やデスクワーク中心の生活の人は、筋肉量が落ちやすく、そのぶん内臓脂肪を蓄積しやすくなります。
体重が標準でも体脂肪率が高ければ隠れ肥満に該当するため、一度しっかり数値を測り、自分の体の状態を把握しておくと安心でしょう。

隠れ肥満の定義は?

隠れ肥満の定義や特徴
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隠れ肥満の定義は、体重が標準範囲(BMI18.5以上25未満)に収まっているにもかかわらず、体脂肪率だけが異常に高い状態を指します。
男性の場合は、体脂肪率が25%以上あるとこの隠れ肥満に分類されます。

※BMI =体格を相対評価した肥満の国際基準(肥満度)
※BMIの計算式:体重÷(身長 × 身長)

多くの男性は体重だけは把握していても、体脂肪率までは把握していないことがほとんどです。一度、体脂肪率が測れる体重計に乗ってみましょう。
もし体重は標準でも体脂肪率が高いなら、その時点であなたは「肥満予備軍」といえる状態です。見た目が普通でも体の内側では確実に脂肪が蓄積していますので、早めに意識しておくことが大切です。

中年男性に多い「隠れ肥満」がもたらすリスクとは?

隠れ肥満の健康リスク
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見た目はスリムでも内臓に脂肪が蓄積する“隠れ肥満”。
ここでは、中年男性が特に気をつけたい代表的なリスクをまとめて紹介します。

ガンのリスクが高まる

隠れ肥満は、体内で炎症が起こりやすい状態を招くため、ガンの発症リスクが上昇するといわれています。もちろんガンの原因は複数あり、肥満だけで確率がどれほど上がるかは一概にいえません。
それでも命に関わる病気だからこそ、内臓脂肪など可能な要因は少しでも排除しておきたいところです。

生活習慣病になりやすい

隠れ肥満の人は、内臓脂肪の影響で血糖値や血圧が乱れやすく、いわゆる生活習慣病に陥りやすくなります。これら3つが同時に進行した状態は“死のトライアングル”と呼ばれ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが一気に跳ね上がるのです。
特に中年期は代謝が落ちるため、知らないうちに症状が進行するケースも少なくありません。

心疾患、脳血管疾患のリスク増大

内臓脂肪が増えると血液がドロドロになり、動脈硬化が進行します。すると血管内にできた血栓が心臓に詰まれば心筋梗塞、脳に飛べば脳梗塞を引き起こす可能性が高まります。
いずれも突然発症し命に関わることも多い病気で、後遺症が長引くケースもあります。

慢性腎不全の危険がある

隠れ肥満で血液がドロドロになり動脈硬化が進むと、腎臓への血流も低下し、長期的には慢性腎不全に繋がる恐れがあります。
この病気は初期症状がほとんどなく、気づかないうちに腎機能が落ちていくのが特徴です。
悪化すると人工透析が必要となることもあり、生活の質を大きく損ねてしまいます。

肝硬変に進行するリスクも

隠れ肥満により脂肪が肝臓に蓄積すると、脂肪肝から慢性肝炎へ進行し、最終的に肝臓が硬くなる肝硬変へ至る可能性があります。
この状態になると肝臓本来の働きができず、体内で大きな出血を引き起こす危険性も。
元に戻すのが極めて難しい病気のため、隠れ肥満の段階で食い止めておくことが重要です。

中年男性が隠れ肥満を招く主な原因6つ

隠れ肥満の主な原因
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見た目は痩せていても内臓脂肪が蓄積しやすい隠れ肥満には、生活習慣の乱れが深く関わっています。
ここでは、中年男性が隠れ肥満を招く主な原因を紹介していきます。

(1)一日の摂取カロリーが多い

まずは、一日の摂取カロリーが多いことが考えられます。
消費しきれなかったエネルギーは、体内で脂肪として蓄積されやすく、結果的に内臓脂肪を増やします。
特に毎日同じ量を食べる習慣のある男性は要注意で、その日の運動量に合わせて食事を調整しないと、知らぬ間に隠れ肥満が進行してしまうでしょう。

(2)運動不足で代謝が落ちている

デスクワーク中心の男性に多いのが運動不足によるエネルギー消費の低下です。身体を動かす時間が少ない生活を続けると基礎代謝が落ち、結果的に中性脂肪が蓄えられやすい体質へと変わってしまいます。
日常的に移動以外の運動がない人は隠れ肥満に陥りやすいでしょう。

(3)ストレスによる暴飲暴食

仕事のプレッシャーや家庭の悩みなどで強いストレスが続くと、食欲が急増したり甘い物や脂っこい物を求めやすくなり、余分なエネルギーが内臓脂肪として蓄積されます。
「仕事のイライラでつい食べる」「夜中の暴食がクセ」など心当たりがある男性は、隠れ肥満が進む可能性が高いでしょう。

(4)ミネラルが不足している

ミネラルが不足するとタンパク質の代謝が落ち、筋肉がつきにくい身体になります。筋肉量が低下すると基礎代謝が下がり、痩せにくく太りやすい体質へ変化してしまうのです。
特に普段から魚介類や肉類をあまり食べない男性は、隠れ肥満に注意した方がいいでしょう。

(5)便秘

便秘気味な男性も、隠れ肥満になりやすいでしょう。
便秘になると腸内環境が乱れ、エネルギーの吸収効率が上がってしまい、脂肪が蓄積されやすくなるとされています。
普段から野菜や果物を食べない、水分の摂取量が少ない男性は便秘が慢性化しやすく、結果的に内臓脂肪が増えやすくなるかもしれません。

(6)無理なダイエットでリバウンドする

短期間で体重だけを落とそうとする極端な食事制限は、筋肉量を減らし基礎代謝を低下させます。その結果リバウンドを招き、脂肪だけが増え隠れ肥満の原因になることも。
さらにリバウンドを繰り返すと、以前よりも内臓脂肪がつきやすい体質になり、隠れ肥満が一層進むこともあるでしょう。

隠れ肥満の改善におすすめの対策方法6つ

隠れ肥満の改善におすすめの対策方法
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内臓脂肪が増えやすい中年期は、無理な食事制限よりも生活習慣を整えることが大切です。
ここでは、日常に取り入れやすく、仕事が忙しい男性でも続けやすい隠れ肥満の対策方法を紹介します。

(1)1日3食を欠かさずとる

1日3食を規則正しくとることで、空腹による食べ過ぎを防ぎ、血糖値の乱高下も抑えられます。特に朝食を抜きがちな働き盛りの男性は代謝が落ちやすく、太りやすい状態になりがちです。
まずは無理のない範囲で、簡単な朝食からでも習慣化していきましょう。身体のリズムが整いやすくなりますよ。

(2)食事の栄養バランスに配慮する

肉中心の食生活は、脂質の摂りすぎにより内臓脂肪を貯えやすくなります。
野菜や豆類を日々の食事に取り入れ、タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよく補いましょう。
ジャンクフードやコンビニ飯に頼りすぎると太りやすくなるだけでなく、疲れが抜けにくくなるため注意したいところです。

(3)アルコールの量を見直す

アルコールには糖質が多く含まれており、毎日の晩酌は隠れ肥満の大きな原因になります。
また、アルコールの分解で消費される亜鉛が不足すると筋肉がつきにくく、代謝も落ちやすくなるのです。
飲酒習慣が強い男性は、休肝日をつくったり量を少し減らしたりして、無理のない範囲から見直してみましょう。

(4)有酸素運動を取り入れる

ランニングやウォーキングなどの有酸素運動は、脂肪燃焼に欠かせません。ただし、中年男性の場合は膝や腰に負担がかかりやすいので、まずは散歩や軽めのウォーキングからスタートすると続けやすいでしょう。
慣れてきたらジョギングやサイクリングへと少しずつ運動量を増やすと、無理なく習慣化できます。

(5)生活リズムを整えて睡眠時間を確保する

睡眠が不足すると食欲が増えやすくなり、夜遅い時間の間食につながることもあります。毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠を確保することは、内臓脂肪の蓄積を防ぐうえでも重要です。
仕事が忙しい男性ほど睡眠が削られがちですが、体調管理のためにも無理のない範囲で生活リズムを整えていきましょう。

(6)ストレスを溜めこまない

ストレスが溜まると飲酒量が増えたり、過食に走ってしまったりと肥満につながる行動が増えやすくなります。
仕事の悩みを抱え込みすぎず、信頼できる人に相談したり、趣味や運動で気分転換をしたりして、こまめにストレスを発散しましょう。
精神的な余裕が生まれることで、食生活の乱れも改善されやすくなります。

隠れ肥満の予防、改善に努めよう

見た目では気づきにくい隠れ肥満は、中年期の男性に多く、放置すると生活習慣病のリスクが一気に高まります。
内臓脂肪は増えやすい一方で、生活を整えれば徐々に減らしていけるため、まずは毎日の習慣を見直すことから始めてみましょう。