ミリタリーブランドの元祖!「アヴィレックス」の定番アイテムにみる、色褪せない人気の理由。

今ではメンズファッションの定番になりつつあるミリタリースタイル。陸軍の軍服のデザインをインスピレーションしたスタイルとして、多くの男性に支持されています。
そのミリタリースタイルの定着に一役買ったブランドの一つが「AVIREX(アヴィレックス)」です。

今回は、アヴィレックスの歴史、生い立ちの背景を紐解きつつ、定番アイテムをいくつかご紹介したいと思います。

「アヴィレックス」とは?

元々アヴィレックスは、1975年にアメリカで誕生し、主に空軍向けのフライトジャケットを製造・納品してきた会社です。

その後、このフライトジャケットをより多くの人に知ってもらうために“街着”としての商品展開を発表。
今では総合アパレルメーカーとして、メンズウエアのみならずレディース、キッズ向けの商品展開も行っています。

アヴィレックスの服の特徴は、ミリタリーウエアが得意なだけあり、シンプルなデザインと防寒性にとても優れている点。これまでも高機能なウエアを数多く世に送り出しています。

では次項からは、アヴィレックスの商品の中でも、特に定番と呼ばれるブランドアイテムをいくつか紹介していきましょう。

「アヴィレックス」の定番アイテム①|G‐1

まずはアヴィレックス定番アイテム「G‐1」。
その歴史は古く、1930年代まで遡ります。前身となるM‐422Aという型番がG-1となり、開発から80年以上経ちますが、未だに軍服の支給品として現役で活躍しています。

基本的な仕様はヤギ革を使用し、襟はムートンを施し防寒性を高めた作り。また、腕を動かしやすくするために、後ろ身頃にはアクションプリーツを施している点が主な特徴です。

このG‐1フライトジャケットは、1970年代~1980年代までの日本国内における“革ジャンの最も基本的な型”として流通。当時は、海外の革ジャン情報はほとんど入手できず、日本の各メーカーは独自の解釈で革ジャンを製造していたため、革が羊革だったりストーンウオッシュ加工を施していたり、サイズ感が大きすぎるものなど、さまざまなタイプの革ジャンが流通していました。

中でもこのアヴィレックスのG-1は、“革ジャンのお手本”として存在しており、特にレザーウエアが好きな男性は、わざわざ上野のアメ横まで出向いたり、雑誌の通販を利用し購入していたほどの人気商品なのです。

ちなみにこのG-1は、街着としてのファッションのみならず、冬のバイク乗車時にも着用されるなど、バイカーも含め実に幅広い層から支持されていました。

「アヴィレックス」の定番アイテム②|B-3

アヴィレックスの「B-3」も歴史は古く、G-1と同じく1930年代頃に登場。
しかし1940年代に突入すると、戦闘機のコックピット内の環境が改善され、過度な保温性を持つB-3は次第に姿を消していくのですが、主に陸軍航空隊が寒冷地で活動する際など、冬期向けの商品として開発されました。

このB3のアイテムは、表裏が一枚に繋がるムートンをたっぷり使用して作られている点が主な特徴。

日本国内で、1980年代後半に渋カジが流行った一環でレザーウエアが注目され、B-3を着た男性を多く見かけました。当時は電車をはじめ、街中には空調設備が未だ普及していない場所も多くB-3が活躍する場面は多かったのです。

近年では、手入れの簡単さや重量の軽さなどの観点から、すっかりその地位をダウンジャケットに奪われた感は否めませんが、着こなしの男らしさや風を通さない肉厚なムートン素材を使用したB-3は、昔も今も変わらずアヴィレックスの定番商品として生産されています。

「アヴィレックス」の定番アイテム③|MA-1

近年アウタ-として流行中のモッズコートやチェスターコートと並んで有名な「MA-1」。
秋冬向けでは中綿を入れて防寒性を保ち、春夏向けは中綿を外す薄着タイプのMA-1も数多く販売されていました。

このMA-1もフライトジャケットとしては定番中の定番として、長い間ファンに愛されている商品。
フライトジャケットとして登場したのは1950年代で、革製品のフライトジャケットに変わって広く採用されてきました。

同じメーカーという立ち位置では「アルファ・インダストリーズ」のアイテムも知名度はそこそこ高いですが、アヴィレックスの方が、生地と襟・裾・袖のリブニットがしっかりしており、やや頑丈な作りになっている点が特徴です。

G-1と共に、1986年のアメリカ映画「TOP GUN」でトムクルーズが着用したことをキッカケに、日本国内ではレザーウエアよりも安価に買える事情も重なり、このMA-1は実にさまざまな年齢層から支持されています。

アヴィレックスが、カジュアルブルゾンに与えた影響

1970年代までに日本国内で流通していたカジュアルブルゾンは、襟付きで裾と袖がゴムで絞られた“スイングトップ”や“ドリズラー”と呼ばれる形のブルゾンが主流でした。

そして1980年代に入り、アヴィレックスが中心に販売していたMA-1を原型としたカジュアルブルゾンが国内各社から大量に発売。
主にDCブランド(デザイナーズ・キャラクターズブランド)を中心としたMA-1のモデルをベースに、素材を綿やポリエステルに変更したり、背中にブランドロゴを刺繍した商品や全体的にド派手な柄をプリントした商品など、毎年さまざまなタイプのデザインが発表されました。

これはミリタリーウエアの無駄のないシンプルな形であるアヴィレックスのMA-1をベースに、各社がロゴや色柄を足し、各ブランドの特徴を出しやすかったことが主な理由として挙げられるでしょう。

そして襟・裾・袖をリブの形状に仕上げたブルゾンは、1990年代に入り暫くは下火になっていましたが、近年再び復活を遂げています。これは昔から親しまれた、ブルゾンという普遍的でシンプルなデザインのアイテムが、現代のユーザーにも受け入れられた証拠と言えるでしょう。

アヴィレックスが、レザーウエア業界に与えた影響

日本国内において、革ジャンの基本形の一つであるG-1フライトジャケットを古くから製造・販売し続けているアヴィレックスは、ホンモノのG-1を忠実に再現し、他のメーカーのお手本的存在となりました。

また、より当時を忠実に再現するレプリカを作る「リアルマッコイ」や「バズリクソンズ」のような高額商品を取り扱うブランドの土壌を作ったり、フライトジャケット道の登竜門的な存在も担っています。

そして価格の安いものや、デザインの背景がはっきりしない怪しげなメーカーで買うよりも、革ジャンといえばアヴィレックスで購入しようという消費者へのブランディングに成功し、革製品は多少高くてもしっかりと名の通った店で購入した方が最終的に得であるという認識を世の中に広め、自社のみならずレザーウエア業界全体に多大な好影響を与えた存在と言えるでしょう。

今回は、フライトジャケットメーカーの雄、アヴィレックスのこれまでの歴史を振り返りつつ、同ブランドの定番アイテムをいくつか紹介してみました。

今では総合アパレルメーカーとして、カジュアルなカットソーやパンツも数多く展開されるようになったアヴィレックス。
昔からの定番、フライトジャケットのみならず、トータルコーディネートも楽しめるメーカーですので、気になる方はぜひ一度店舗を覗いてみてはいかがでしょうか。

Cover画像: wear.jp

ファッション #アヴィレックス #フライトジャケット #MA-1 #ミリタリー

この記事のライター
ヨシカズ
ヨシカズ
DCブランドのコレクター。 MENDYのアンバサダーとして「ファッション」をテーマに執筆活動しています。