【トレーナー直伝!】中年男性に多い「ポッコリお腹」の原因と、お腹をへこますための解消法3つ

中年になると、どうしても体型の崩れが目立つようになってきます。その中でも特に崩れが目立つカラダの部位といえば「お腹まわり」。どんなに服で隠そうとしても、ポッコリお腹だけはなかなか隠しきれません。

今回は、中年男性に多い、お腹まわりだけがポッコリと出てしまう原因と、このポッコリお腹をへこますための解消法についてご紹介したいと思います。

なぜ、お腹だけがポッコリと出てしまうのか?

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そもそも、なぜお腹だけがポッコリと出てしまうのでしょうか?
他の部位に比べて、お腹まわりに脂肪がつきやすいことにはきちんと理由が存在します。

まず人間の腹部には、胃や腸・肝臓など生命活動を維持していくための重要な臓器が集まっています。しかし、この腹部には重要な臓器が集合しているにも関わらず、肝心の内臓を守るための骨がありません。
つまりこの重要な臓器群を外部の衝撃から守るために、元々お腹まわりは他の腕や脚まわりに比べて脂肪が蓄積されやすいよう設計されているのです。

加えて腹部まわりはカラダの中心部に存在するため、日常的に動かす機会が少ないことも理由の一つ。普段の日常生活において腹筋はあまり使われず、筋肉に対する刺激量が少ないために脂肪が蓄積されやすいのです。

さらに、お腹まわりは脂肪が蓄積しやすい部位であるにも関わらず、毎日の悪い生活習慣が積み重なることによって、お腹だけがポッコリと出た歪な体型に変わってしまうのです。

ポッコリお腹の原因①|運動不足による筋力の低下

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年々カラダを動かす機会が少なくなることで、筋力は徐々に衰えていくもの。この運動不足による筋力の低下は、ポッコリお腹にも顕著に影響を及ぼします。

●腹部の筋力低下

まずは腹筋群の筋力が衰えることで「腹圧」が低下し、ポッコリお腹になってしまうことがあります。

腹筋には“腹直筋(ふくちょくきん)”と呼ばれるお腹の前面にある筋肉や、“腹斜筋(ふくしゃきん)”と呼ばれるウエスト部分にある筋肉、“腹横筋(ふくおうきん)”と呼ばれるお腹全体をコルセットのように囲っている筋肉があります。

この腹直筋や腹横筋の筋力が低下することにより、内臓が本来の位置より下に下がってきてしまい、脂肪があまり蓄積していなくても、ポッコリお腹に見えてしまうのです。

●姿勢が悪くなる

ポッコリお腹になる原因は、腹筋の筋力低下だけとは限りません。正しい姿勢を保つための筋力が低下することで猫背になりやすく、猫背になることでポッコリお腹が強調されてしまうこともあるのです。

特に仕事でデスクワークなどを続けている人は、その傾向が強いと言えるでしょう。
日常生活の大半を過ごす仕事において、カラダを動かす時間がほとんどゼロに等しいことはもちろん、長時間PCで作業するなどの行為は、ただでさえ背中が丸くなりやすく、猫背の姿勢を増長させてしまいます。

よく周りの人からも猫背を指摘されるという方は、背中や腰部の筋肉量が低下し、全体的に筋力が衰えている可能性が高いと言えるでしょう。

ポッコリお腹の原因②|体脂肪の蓄積

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先ほどお腹まわりに脂肪がつきやすい原因として、日頃の運動不足以外にも体脂肪の蓄積による影響が大きいと紹介しましたが、この体脂肪は「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2つに分類することができます。

また女性に比べて男性の方がポッコリお腹になりやすい原因としては、男性の方が内臓脂肪を蓄積しやすいからという点が挙げられるでしょう。

そして、なぜ男女でポッコリお腹の大きさに差が出てしまうのかと言えば、それはホルモンの働きが影響を及ぼしているからです。
女性の場合は、女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の影響によって主に“皮下脂肪”が蓄積されやすいのが特徴的。反対に男性の場合は、エストロゲンの働きが弱いため主に“内臓脂肪”が蓄積しやすくなっているのです。

さらに男性の内臓脂肪が蓄積されやすい理由としては、運動量の低下以外にも、食事のとり方が大きく関係しています。

●食事量が増えている

以前よりも運動量が低下しているのにもかかわらず、食事量が変わっていなければ脂肪を溜め込むのは当然です。また、お酒をたくさん飲んだり、炭水化物ばかり食べてしまうなど、食事の内容に問題があるケースも少なくありません。

●食事時間が遅い

仕事が忙しくて食事の時間が夜遅くになってしまうことも、ポッコリお腹の原因に繋がります。
脂肪を溜め込む働きを持っているBMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質は、主に22時~深夜2時頃の働きが最も活発になります。そのため、その時間帯に食事をすれば自然といつもよりも脂肪が蓄積しやすくなってしまうのです。

●早食いをしている

早食いは満腹中枢を刺激しにくい食べ方のため、暴飲暴食などの食べ過ぎに繋がります。
これもホルモンの一種である「レプチン」の働きによるもの。
通常レプチンが分泌されるまでには20分程度必要とされていますが、それまでにたくさんの量を摂取してしまうと食べ過ぎに繋がってしまうのです。

また、太ってくるとこのレプチンの働きも弱くなってしまい、食欲が止められなくなるという悪循環に陥り、どんどんポッコリお腹を増長させてしまいます。


では、このたくさんの脂肪で包まれたポッコリお腹は、一体どうすれば効果的に痩せられるのでしょうか?
次項からは、具体的にポッコリお腹をへこますための解消法についてご紹介していきます。

ポッコリお腹の解消法①|腹圧を高めるエクササイズ

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まずお腹まわりについた脂肪を減らすためには、日々の運動量を増やし筋肉を刺激することで筋力を高めるというトレーニングの実践が効果的です。

幸いなことに内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすいため、毎日コツコツと運動に取り組めば、比較的短期間のうちにポッコリお腹の解消に繋げられるでしょう。

そして数ある運動の中でも、ポッコリお腹をへこますために最も効果が期待できるトレーニングは、腹圧を高めるエクササイズです。
この腹圧を高める代表的なエクササイズとしては、下記の2つをオススメします。

▶腹圧を鍛えるエクササイズ法(1):ドローイン

【Step1】
・膝を90度に曲げて足の裏を床につけ、仰向けに寝ます。頭と背中、お尻、足の裏がしっかり床についていることを確認しましょう。

【Step2】
・大きく息を吸いながら、お腹を膨らませるように意識します。

【Step3】
・お腹が膨らんだら、今度はゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませていきましょう。この際、息はしっかりと吐ききり、お腹と背中がくっつくくらいの“へこみ”を意識することがポイントです。


この動作を繰り返し、10回を目安に行いましょう。

ドローインは、主に腹横筋を刺激するエクササイズ。お腹をへこますことを意識するだけですので、比較的いつでもどこでも簡単に実践可能なトレーニングです。椅子に腰かけたデスクワーク中や、通勤電車の移動中など、日常生活のちょっとしたスキマ時間も意識的にお腹をへこますことで、より効果を高められるでしょう。

▶腹圧を鍛えるエクササイズ法(2):レッグレイズ

【Step1】
・膝を曲げずに脚を伸ばして仰向けの状態で寝ます。その際、手は軽く開いてカラダの横(両脇)に置き、カラダを支えるようにしましょう。

【Step2】
・腰部をしっかりと床につけるよう意識し、脚をまっすぐに伸ばしたまま、両脚を地面から少し浮かせます。

【Step3】
・そこからさらに、地面と脚のつま先が垂直になる位置まで両脚を持ち上げていきます。脚を持ち上げる際は、腰が反って床から浮かないようにすること、また持ち上げる膝が曲がらないように気をつけましょう。

【Step4】
・脚を垂直まで持ち上げたら、今度はゆっくりと元の姿勢まで戻していきます。脚を地面に戻していく際も、脚を床から少し浮かせた状態をキープしましょう。この際、お腹をへこますように息を吐きながら行うとよりポッコリお腹の解消に効果的です。


この動作を繰り返し、10回を目安に行いましょう。

レッグレイズは、主に腹筋の下部を中心に鍛えるエクササイズ。もし膝をまっすぐに伸ばしておくのがキツいようであれば、軽く曲げた状態で行うと少し負荷の強度が下がり、実践しやすくなります。

ポッコリお腹の解消法②|猫背を改善するエクササイズ

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ポッコリお腹の原因でもある猫背の姿勢。背中全体の動きを良くして、猫背を改善するエクササイズもポッコリお腹の解消に効果的です。
そしてこの猫背を改善するためには、「キャットバック」と呼ばれる代表的なエクササイズがオススメ。

▶猫背改善のエクササイズ法:キャットバック

【Step1】
まずは地面に対して四つんばいの姿勢になります。手は肩の真下、膝は股関節の真下にくるようにしましょう。

【Step2】
次におへそを覗き込むように、頭を下げながら背中をグーッと丸めていきます。その際、お腹をへこませつつおへそを天井方向へ持ち上げるような意識で行いましょう。

【Step3】
お腹まわりにしっかりと刺激を与えられていることを確認できたら、今度は頭を上げて背中を反らせていきます。背中と首まわりがしっかり反れていることを実感できるまでグーッと反らせるようにしましょう。


この動作を繰り返し、10回を目安に行いましょう。

キャットバックは、背中全体に広がる筋肉の動きを良くし、主に猫背や腰痛の改善に効果が期待できるエクササイズです。動作は焦らず、ゆっくり大きく動かすことを意識しましょう。


またポッコリお腹を解消する上で、これまでご紹介した腹圧を高めるトレーニングや猫背の姿勢を改善するエクササイズ以外にも、脂肪燃焼を目的とした「有酸素運動」の実践も、副次効果という意味で大きな効果が期待できます。
ウォーキングでもジョギングでも水泳でも何でも構いませんので、自分が継続的に取り組める有酸素運動をひとつ加えて実践すると良いでしょう。

ポッコリお腹の解消法③|食事のコントロール

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ポッコリお腹を解消するためには、カラダを使った運動のみならず、それぞれのエクササイズと並行して、食事の内容も改善してみましょう。

食事を摂取する上でのポイントは、先ほどポッコリお腹の原因でご紹介した通り「食事の量を少なくする」「食事の時間を早める」「早食いをしない」ということ。
特にポッコリお腹に悩む男性は、夕飯時のお酒の摂取量を控えたり、体内に取り入れる炭水化物の量・回数を減らすだけでも十分効果が期待できるはずです。
摂取する食材、時間、食べ方を意識して改善を図ってみましょう。

ポッコリお腹は見た目のダラしなさだけではなく、健康にも害悪を及ぼすため早め早めの改善が大切です。
スキマ時間を狙ったお腹まわりのエクササイズや、普段の食事内容を見直したうえで、ポッコリお腹の解消に励みましょう!

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この記事のライター
和田 拓巳
和田 拓巳
プロスポーツトレーナー歴16年。 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガに関する知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関す...