恋愛にも活用できる! アメリカ軍人捕虜も“洗脳”した「心理トリック」とは?

朝鮮戦争で、中国共産党は捕虜したアメリカ軍人を洗脳しました。驚くことに、そこで使われた尋問は肉体的な拷問ではなく、捕虜自身が主体的に敵に寝返る洗脳方法だったのです。このやり方を応用すれば、あなたが気になっている意中の人の心さえもこちらに向けることが可能になるでしょう。
今回は、中国共産党がアメリカ軍人捕虜も洗脳した心理トリックと、その心理トリックを恋愛の実践に活用するための方法をご紹介したいと思います。

アメリカ軍人捕虜も”洗脳”した「一貫性の法則」「コミットメント」

image1

戦争で捕虜した人に対しては、通常「軍事機密」を聞き出すために尋問を行うものですが、朝鮮戦争において、中国共産党はアメリカ軍人捕虜に対して心理的なトリックを使って洗脳しました。そのトリックが「一貫性の法則」という心理セオリー。この「一貫性の法則」とは、自分の言葉や意志、態度、行動に対して一貫性を貫こうとする心理を使ったトリックのこと。

通常 人間という生き物は、行動に一貫性がない人(言っていることとやっていることが違うなど)のことを「よく分からない人」「信用できない人」「表裏のある人」と他人に見られてしまうため、極力一貫性のある行動を取ることを考えます。その効果を高めることが『コミットメント』と呼ばれるもの。人間は、本能的に自分の言ったことに対して逆らうことができないのです。

それでは朝鮮戦争において、中国共産党はこの「一貫性の法則」をどのように活用したのでしょうか?
あくまで洗脳の目的は、捕虜したアメリカ軍人から他国の軍事情報を聞き出すこと。つまり中国共産党は、捕虜したアメリカ軍人に自国を裏切るよう洗脳し寝返らせる必要があったのです。

中国共産党が仕掛けた心理トリック・5ステップ

image2

中国共産党はアメリカ軍人捕虜を洗脳させるために、次のようなステップでトリックを仕掛けました。

第一ステップ=共産主義にも良いところがあることを認めさせること
第二ステップ=共産主義の良さ、資本主義の問題点についてのディスカッション
第三ステップ=このことについてのリスト化とリストへのサイン
第四ステップ=共産主義の良さ、資本主義の問題点について作文を書くこと
第五ステップ=書いた作文を米国向けのラジオで公表すること

まず第一ステップでは、アメリカ軍人の捕虜に共産主義にも良いところがあることを認めさせました。共産主義にも良いところがあるのは当然であり、認めても問題はありません。
第二ステップでは、共産主義の良さ、資本主義の問題点について、ディスカッションを通じてコミットさせること。ここで自分の発言に対して「一貫性の法則」が働きます。
そして第三ステップのリスト化とリストへのサインに難色を示すと、「君が言ったことではないか」と言い、「一貫性の法則」の効力を活用し、拒否できないようにしたのです。更に、書き出すことやサインすることで、コミットメントを強くしました。
第四ステップでは、完全に共産党の立場になって文章を書く事になります。
そして最後、第五ステップにおいて自国である米国に向けて内容を公表することで、「味方を裏切ってしまった」「もう昔には戻れない」という裏切りの念をアメリカ軍人の捕虜に強く抱かせることへと成功したのです。

このように「一貫性の法則」を活用し、一つ一つステップを踏ませ徐々にコミットメントを強く抱かせることで、アメリカ軍人捕虜の考え方や価値観を少しずつ変えていったのです。そして最終的には、考え方や価値観を180°塗り替えることに成功したのです。

「一貫性の法則」を恋愛に活用した『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』

image3

さて、中国共産党がアメリカ軍人捕虜を洗脳した心理トリックについてご紹介しましたが、わざわざここまで手の込んだ方法を使わなくても、この法則を活用した交渉テクニックもあります。それが、『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』と呼ばれるもの。
このフット・イン・ザ・ドア・テクニックとは、相手からの承諾を得たい時、単純に依頼するよりも、「まず小さな依頼をして、その後に大きな依頼(本来の要求)を通した方が承諾を得やすくなる」というものです。


心理学者のフリードマンとフレーザーがこの実験を行いました。

まず始めに、外の庭に「交通安全」の看板を設置させてくれるように依頼を出したところ、承諾を得られたのはわずか17%という結果に。これに対して「どこでも良いので、この小さな交通安全のステッカーを貼って欲しいと」と依頼を出したところ、ほとんどの人がOK(承諾)の意を示しました。その後、ふたたび外の庭に「交通安全」の看板を設置させてくれるように依頼を出したところ、承諾をした人の割合は55%と引き上がる結果を生みました。これは、事前に小さな承諾を得てから大きな依頼を出したこと、そして「交通安全」に協力しているという自負の心理が働いた結果と考えられます。

なぜ、承諾する人の数が増えるのかと言えば、始めに交通安全のステッカーを貼ることへ承諾したことにより、「自分は社会貢献をしている良き市民だ」という意識が働いたからです。その状況に看板設置という依頼が舞い込み、“社会貢献をする良き市民”という自己のイメージを崩さないよう「一貫性の法則」が働き、断ることが難しくなったのです。

『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』の恋愛活用法

image4

さて、では実際にこの『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』を恋愛に活用する方法をご紹介しましょう。

貴男はA子さんという女性をデートに誘いたいと思っています。A子さんは絵画が好きということで、美術館へ誘うことになりました。

【1】貴男:「A子さんは、絵画が好きなんだって?」
【2】A子さん:「ええ」
【3】貴男:「今度、○○の美術展があるよね」
【4】A子さん:「行きたいな」
【5】貴男:「入場券が手に入ることになったので、一緒に行かない?」
【6】A子さん:「うれしい」

まず【1】で「一貫性の法則」に火をつけるよう誘導する。また、A子さんのプライドをくすぐるように聞き出しています。A子さんは【2】でコミットし、絵画が好きだということに縛られます。そして【3】ではさらに「一貫性の法則」が働くよう誘導をかける。【4】でさらにコミットさせ、縛られるように誘導を促す。そして最後【5】でトドメを刺します。

ご紹介した通り、相手の好きなことや興味関心が強いものを利用し、プライドをくすぐるように誘うことが、このテクニックを最大限有効活用するためのポイントです。

「一貫性の法則」は使い方によっては、相手を洗脳させるパワーを秘めています。それをアシストするのが『コミットメント』。
この心理を巧みに活用することで、相手を上手にコントロールすることできるようになるでしょう。気になる女性をデートへ誘いたいときにでも是非活用してみてください。

恋愛・デート #心理 #恋愛 #洗脳 #活用 #方法

この記事のライター
村田 芳実
村田 芳実
心理士の村田です。 認定心理士として、おもにビジネス・モチベーション・メンタル・恋愛・摂食障害など、誰でも使える心理学の記事を執筆しています。 人間の心は不思議でいっぱい。男性の皆さんが恋愛や仕事に活用できる心理をご紹介していきたいと思います。