「え? それもハラスメント?」現代社会のセクハラ行為が、本来の意味合いとかけ離れつつある現状

みなさんは、セクハラに対して普段から危機感を抱いていますでしょうか。
一般的かつ善良な社会人男性にとって、セクシャルハラスメント行為。略して「セクハラ」はほとんど無縁な、遠い存在とも言うべきワードかもしれません。

しかし、いまの現在社会において、セクハラ行為をやっているという疑いを向けられるだけでも、かなりリスキーな状況を招きかねないことは、きっと誰しもが理解していることでしょう。
このところセクハラ行為についての解釈は大きく広がり、服を褒めても、肩にぶつかっても、何なら目を見て話すだけでもセクハラ認定されることもあると聞きます。
昔はなんとなく問題なしと目されていた行為がセクハラとして認知されるようになり、かつてそのような行為を存分にやらかしていた世代の男性がドロップアウトした上で、今度は残った現在の働き手世代に強い監視の目が向けられている……これが今の社会人男性を取り巻く、セクハラ事情。

ただし本来セクハラとは、男性から女性に向けられる行為だけを指すのではなく、その逆も十分ありうることです。
その割には女性から男性に向けられるセクハラ問題については、ほとんど言及されるケースがなく、なんとなく不公平感を抱いている方も、きっといることでしょう。

今回は、現代社会で男性を取り巻くセクハラ、ハラスメント行為の拡大解釈について、かつてのセクハラとはいささか異なり、より男性が息苦しく感じるようになりつつある状況について、いくつかその事例を省みたいと思います。

男性のやることなすこと全てがハラスメントになりつつある…

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一昔前であれば特別問題視されることもなかった言動が、今の時代では重大なハラスメントに当たるケースも、残念ながら増えてきました。

たとえば髪の毛を切った女性社員に、職場で「お、髪切ったんだ。似合うね~」と何気なく話しかけただけでも、これが相手の捉え方次第ではセクハラ行為に該当してしまいます。

「そんなバカな!」と憤る方もいらっしゃるかもしれませんが、恐ろしいことに筆者の知るかぎり、ある編集部ではこれと全く同じ発言をした男性が、部下に「セクハラはやめてください」と指摘され、社内でも針のむしろのような日々を送ることになってしまった人も実際にいます。(その後、部署異動をしたことで、なんとか穏便に片付いたようです)

また、たまたま女性社員と目が合う機会が重なっただけで「いつも監視していて、いやらしい」という女性側の主張によって、一方的にセクハラ上司の烙印を押されてしまったという男性も、筆者は知っています。

褒めてもダメ。目が合ってもアウト。
本当にこれが、ハラスメント行為を世間からなくすために役立つ風潮なのでしょうか。

いまの現代社会においては、直接の性的な嫌がらせ行為以外も、立派なセクハラ要因になりうる時代であると考えておかないと、私たち男性陣は思わぬ形でセクハラの誤解を受けかねない現実があるということです。

ハラスメント行為であると受け取られた瞬間にアウトな時代…

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「セクハラ」というワードが日本で用いられるようになったのは、今から約30年ほど前のこと。それから今日に至るまで、その意味合いは徐々に変化しつつあります。

女性に対する直接的ないやがらせ発言、痴漢行為…。
これらは当然許せない卑劣な行為ではあるのですが、一方で悪意がなくとも、相手の捉え方次第でどこまででも追及されるリスクが増しているのが、現代におけるセクハラ問題です。

今、全国には大勢の、セクハラをするつもりがなくてもそういう目的があると目されたため、社会的な地位を脅かされている男性がいます。
コミュニケーションを兼ねたちょっとした雑談や、たまたま目線が合うなどの偶発的アクションすらも、相手の受け取り方次第ではハラスメント行為に該当してしまうというわけです。

そして、こういう事例で槍玉に挙げられやすい男性って、結局物静かで自己主張が苦手なタイプが多いんですよね。
少なくとも筆者の知人で、セクハラをやっていると糾弾された男性は、みなそういう性質でした。
傍目に見れば、まったく問題のない言動であった場合でも、結局はそれを誰が言うのか(行うのか)、どんな相手が受け取ったのかで、セクハラ認定の結果も変わるという現実。これが本当に珍しくないのです。

イケメンで頼りがいのある上司が「俺と付き合ってよ」と言っても、女性はヘラヘラしている一方で、内気な男性社員がちょっと服装を褒めれば、ムッとした表情で「それ、セクハラですよ」と詰め寄ってくるなんてこと、世間にはゴロゴロしているようですね。

そして、一度でも会社内でそういうレッテルを貼られたら最後、悪質なウワサは面白いように広まり、もはやその職場ではこれまでのように働くことすら難しい空気感を味わうこととなるのです。

無尽蔵に広がるハラスメント行為の疑い、一体男性はどうやって身を守れというのか?

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とにかく今の現代社会において、男性の立場は昔とは違い、弱いものになりつつあります。

それこそ粗探しをされれば、大抵の言動にハラスメントの芽を見出すことはできるところですよね。
目を見て話してもセクハラ、なんとなく肩をぽんと叩いてもセクハラ、飲みに誘ってもセクハラ、社内の飲み会で隣に座っただけでもセクハラ……。

受け手が「これはアウトでしょ」と思えば、その瞬間に男性はセクハラ野郎になってしまい、そこに男性側の本心の有無は関係ないのですから、恐ろしいことです。

この調子で拡大解釈が続けば、男性はもう女性の目も見れず、話もできない状態に追いやられる可能性があるのではないでしょうか。いやむしろ、既にそんな状況に陥っている男性もいるのではないでしょうか?

たしかに悪質なセクハラ行為は社会に蔓延しています。
断じて許せないハラスメント行為もあるのが現実です。

しかし、一方で何から何まで、気に入らない、生理的に受け付けないような男性をに対して、過剰なまでにセクハラのレッテルを貼ることが、何か良い結果をもたらすものでしょうか。
男女が本当の意味で平等な社会が、そういう状況を経て生まれるのか、甚だ疑問です。

仕事・ビジネス #セクハラ #ハラスメント #行為

この記事のライター
松本 ミゾレ
松本 ミゾレ
2013年よりフリーで活動開始。自宅に引きこもり原稿をこなす日々で慢性腰痛に。 趣味は怪獣フィギュア収集。 特技は猫あやしと怪獣フィギュア製作。 座右の銘は“休まず書け”で、野菜ソムリエの資格を持つ野菜嫌い。